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日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

時の記念日

2014-06-15 21:30:00 | 編集手帳

6月10日 編集手帳


列車で旅をすると、
幼児のように景色ばかり眺めている。
読む本は携えているが、
あまりはかどらない。
〈本の栞(しおり)少し動かし旅終る〉(近江(おうみ)砂人(さじん))という句がある。
きっと作者はお仲間だろう。

駅弁をひらく。
車窓を流れる民家の灯や黒い森の影を肴(さかな)に、
酒を口に含む。
手もとの本に目を落とす。
鉄道の旅ならではのゆっくり滴る時間に、
無上の喜びを感じる人は多いはずである。

寝台特急が姿を消すかも知れないという。
「トワイライトエクスプレス」(大阪―札幌)が来春限りで引退するのにつづき、
来年度末の北海道新幹線開業を前に「北斗星」と「カシオペア」(いずれも上野―札幌)の運行終了が噂(うわさ)されている。

小津安二郎が好んで色紙に書いた言葉に、
〈鯛夢出鳴門円也〉がある。
鯛(たい)の夢、鳴門(なると)を出(い)でて円(まど)か也(なり)…という風流な一句かと思えば、
さにあらず。
タイム・イズ・ナット・マネー(時は金ならず=貴い時間は金銭や効率に代えられぬ)と読むそうな。
運行と車両 保有に携わるJR北海道、
東日本の両社には胸の片隅に飾ってほしい色紙である。

きょうは時の記念日。到着だけの人生はつまらない。

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管理職はつらいよ

2014-06-15 11:00:00 | 編集手帳

6月11日 編集手帳
 

製薬会社の副工場長は早く工場長に昇進したくて仕方がない。
肩書にあ る「副」が腹立たしく、
その字をいつも呪っている。

新薬に添付する説明書の草稿をチェックしているときもそうで、
憎さも憎し、
「副」の字を迷わず削ってし まった。
刷り上がった説明書にいわく、
〈本薬はいかなる作用もありません〉。
相原茂さんのジョーク集『笑う中国人』(文春新書)にある。

当節は副工場長氏 とは違い、
「副」よりも「長」の字を敬遠する若い人が増えているらしい。
「管理職になりたい」と答えた新入社員は45%にとどまった。
ある人材育成・研修 会社の調査である。

総合職として営業や研究開発などに携わる1200人に尋ねたところ、
管理職になりたい人は前回調査から10ポイント以上も減り、
半数に満たなかった。
経営陣と部下の板挟みで苦労する。
終身雇用が昔語りになった今、
専門職はほかの企業でも通用するが、
管理職はむずかしい。
そのあたりが敬遠 された理由という。

思い出したサラリーマン川柳がある。
〈「課長いる?」返ったこたえは「いりません!」〉。
いつの世も、
管理職はつらいよ、
ではある。

 
 
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