12月4日 サンデーモーニング
およそ57年ぶりとなるアメリカの国務長官の歴史的な訪問。
その背景には、
ASEAN東南アジア諸国連合の中で最貧国とも言われ
経済を立て直したいをいうミャンマーの事情と、
中国の存在があった。
長期にわたり軍事政権が続いていたミャンマーに対し、
欧米諸国は人権侵害などを理由に経済制裁を実施してきた。
そのミャンマーの軍事政権を支援してきたのは中国。
しかし、去年11月の総選挙後、
民主化運動を抑えるため軟禁されていたスー・チーさんが開放されるなど
ミャンマーでは民主化の動きが加速。
今年3月に民主政権に移管。
新政府が誕生したのを機に、
長い間 蜜月関係にあった中国との関係に変化が見え始めた。
今年9月、ミャンマー政府は中国と合意していた水力発電用ダム建設計画を凍結。
資源ばかりが奪われ、
中国が潤うことに反対した国民の意思を尊重した。
クリントン長官の訪問は
中国の支援だけでは立ち行かなくなった経済難のミャンマーに対し、
経済制裁解除というカードを最大限に利用することで関係改善を図ろうという
アメリカの狙いがあるをみられる。
「(ミャンマーが)一方の国(中国と)友人であるということは
他の国(アメリカ)とゆうじんでいられないという意味ではない。」
と会見で述べ、中国をけん制したクリントン長官。
これに対し中国は
「ミャンマーは西側諸国ともっと接触するべきだ。」
と、表向きは西側諸国との関係改善に余裕を見せたが
中国の新聞は社説で不快感をあらわにしている。
“アメリカは中国のアジアの仲間を1人ずつさらっていく。”
いまやアメリカについで国防費世界2位の軍事大国中国が
なぜミャンマーを経済支援し続けたのか。
ミャンマーが資源国というだけでなく
軍事上重要な国と位置づけているからである。
中国が中東からの資源確保のために
インド洋からの「真珠の首飾り」と呼ばれる海上ルートを重要視しているが
陸路でも最短ルートも確保したいのである。
ミャンマーを縦断する天然ガスを運ぶパイプラインを建設中である。
アメリカは中国をけん制するというねらいだけでなく
アジア・太平洋地域に重点を置き始めたオバマ政権にとって
輸出拡大や新たな生産拠点としての市場開拓を狙っているようである。
アメリカは経済制裁を解除するに当たっては
・軍事政権時代の政治犯の釈放
・北朝鮮との関係を断ち切る(核開発などの解明)
・少数民族との和解 など
の項目を挙げている。
今回のミャンマーの民主化が本物かどうか見極めたいと考えている。
ミャンマーは20144年のASEAN議長国になることが決定した。
2006年には一度は辞退した過去がある。
今回の決定はさらなる民主化への期待である。
ミャンマー連邦共和国
面積 68万平方km
人口 4830万人
主要産業 農業
GDP 77位
あまり豊かではないが、天然ガスや鉱物資源が豊富
ミャンマーの歩み
1886年 イギリスの植民地となる
1948年 ビルマ連邦として独立
1962年 軍事クーデターで社会主義政権樹立
1988年 民主化運動が高まるも軍が弾圧
1989年 国名をミャンマー連邦に変更
(軍事政権が名乗るミャンマーを欧米諸国は今も認めていない)
スー・チーさん自宅軟禁
1990年 総選挙で国民民主連盟が圧勝したが軍事政権は結果を無視
2010年 20年ぶりの総選挙
スー・チーさん自宅軟禁解除
2011年 新政権樹立