SONY TA-F333ESL
知人よりチェックの依頼を受けました。バブル時代のアンプでパワーMOS-FETを使用したアンプでリモコンで音量、ファンクションの切り替えができるアンプです。この時代(いつの時代も同じか)ライバルのアンプがたくさんありSANSUI AU-α607DR,ONKYO A-917,DENON PMA-890Dなど競合製品がぞろぞろありました。
前面 入力切替ボタンとボリュームがありあまり使わないのはシーリングパネルの中にあります。重さは21kgもあります。この時代はデジタル対応アンプが出始めていましたがこのアンプは対応していません。簡易的にチェックしたところスピーカーから音が出ていないようでたまに音が小さく出ることがあるようでなんかおかしいです。
後ろ 少し錆が出てきています。スピーカー端子は大きめですが強度は見た目より弱そうです。
上面を取ったところ 埃がびっしりあります。大きなトランスとSONY得意のGシャーシ、コンデンサーは2種類が見えます。これで85,000円は安い気がしますが激戦区だったので儲けは少なかった気がします。左に見える基板はイコライザの基板でもうこの時代は手を抜いてくるのですが手抜きされずしっかりとした回路が入っています。よく見るとスイッチ類やトーンのボリューム類はコストの関係か消耗品と割り切っている製品も見られます。電解コンデンサーは膨らんではいないようです。他の電解コンデンサーも外見上は特に問題はなさそうです。
フロントパネルを取ったところ。 埃がいっぱいです。
フロントパネルの裏
タクトスイッチのチェックとハンダの修正。
ボリュームはアルミの削り出しを使用していて高級感があります。これLEDランプが内蔵されています。
スピーカー端子基盤を外します。
OMRON G5R-2232Pリレー チェックすると接点抵抗が数十Ωあるので分解、接点のクリーニングをします。このアンプは4Ω負荷で140Wも出るのにこういう小さい容量のリレーで大丈夫なんだろうかと心配になります。
ファンクションスイッチを取り出してチェックとハンダの修正をします。
分解しましたが汚れはそれほどありませんでしたがグリス?が溶け出しているのかな。
フロントのコントロール部分。
SONYコントロールIC 三菱製?
裏から ハンダの修正、ネジの増し締め。
東芝製パワーMOS-FET 2SJ200,2SK1529をパラで使用しています。この時代はパワーMOS-FETを使用したアンプが溢れていました。好みの問題ですが私はどうもこの時代のパワーMOS-FETの音が好きになれませんでした。昔は東芝といえば世界でも有数の半導体メーカーでしたが今は半導体部門も無く会社そのものも無くなりそうですね。
音量用ボリュームを取り外します。
ボリュームは「ガリ」があるので洗浄、接点クリーナーをごく少量吹きかけました。
BIAS調整 T.Pの電圧を30mVに調整 (VR402-Lch VR452-Rch)けっこう電流を流すんですね。
DCバランス調整は横にあります。
DCバランス調整 スピーカー端子の電圧を0mV近くに (VR401-Lch VR451-Rch)
調整中 DCバランスはクリチカルなのでほどほどに 10mV以下ならOK
L,R=100Hz
L,R=10KHz
完成 残留雑音 L,R=1mV 周波数特性 7-80KHz -1db 今回は部品の交換はしませんでした。残留雑音を下げるには電解コンデンサーの全交換と2SK389や2SA1349などのTRや,ICの交換が必要ですがスピーカーから30cm離れれば雑音は聞こえないのでこのままとしました。
試聴中 特に問題は見られませんでした。