トロのエンジョイ! チャレンジライフ

「人生で重要なことはたった3つ。どれだけ愛したか。どれだけ優しかったか。どれだけ手放したか」ブッダ

「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル

2021-04-19 06:02:36 | 読書

これは、心理学者である著者が、ナチスの強制収容所での体験を語った本です。

といっても、収容所の状況を、心理学的に分析したものではありません。

著者はあくまで「普通の人」として収監され、そこで生き延びたのです。

 

地獄のような環境で、著者はどのように過ごしていたのか。

そこに描かれているのは、良くも悪くも、「人間」ではないかと思いました。

 

同じ収容者どうし、だまし合い、足を引っ張り合う人間の愚かさ。

あるいは、ガス室に送られても、毅然として祈りの言葉を唱える人間の気高さ。

 

ヒットラーは、異次元からやってきた怪物ではなく、人間であり、

彼の為した所業でさえ、人間の一面である、ということです。

 

これからお読みになるという方は、そういう本だということを留意された方がよろしいかと思います。

よく、「日本人は平和ボケしている」なんて言われますが、

僕は、平和ボケって素晴らしいことだと思うんです。

世界中が一人残らず平和ボケしてしまえば、それは、ある意味で理想の世界ではないでしょうか。

 

しかし、現実には、世界のあちこちで、不毛な殺戮が行われています。

ミャンマーでは、国民に銃口を向ける殺人政権が、国を牛耳っています。

僕らは、戦争ほど愚かしいことはないということを、何度でも学ぶ必要があると思います。

この本を読むか読まないか、それは自由ですけどね。

 

いずれにせよ、たくさんの言葉が溢れ出すような、あるいは言葉に詰まってしまうような、

最近では忘れられたような読書体験でした。

 

コメント (4)
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