2週間ほど前、かの有名な近代の画家、SA州のHans Heysen(1877-1968)の個展にMKさんと行って来た。SA州の画家といったらこの人の名前がまずあげられるほどの人。朝っぱらからかなり気温が上がってむわんとする空気のなか、朝一で車を停めたトレンス川沿いからAdelaide大学の構内を通って散歩をしながら待ち合わせのArt Galleryに行く。
この画家は、若いときにドイツから移住してきて、かなり早い時期から画家としての才能を見せ始め、小学生としてパリに留学して数年絵の勉強をした。この人の絵は画集で見たことはあるけど直接、しかもこんなに大掛かりなコレクション見るのはもちろん初めて。彼の絵はそれはもう、個人や企業、各地のアートギャラリーに所蔵されているのでこれだけのものを集めるのは大変だったろう。水彩画のクラスでもよく例に用いられるので、実物を見れるのをとても楽しみにしていた。
この人ははっきり言って、文句なしに上手い。とても正直で繊細な絵。そして何より、絵を描くということ、彼の好んで描いたオーストラリアのガムの木や丘陵に対しての彼の愛を、ただただ強く感じる。それを表現する確かな技術を持っている。描く対象はSA州の田舎の風景がほとんどで、彼のガムの木に対する思い入れは絵を目の前にすればただならぬものだとすぐ分る。彼は画家としてかなり成功していて、ガムの木を保存するために地元のCouncil(役所)にかなりの出資をしたとか。それからFlinders Rangeにも写生旅行に何回か行っている。あの時代に、あそこまで旅行をするのはかなりしんどかっただろう…。この人は油彩・水彩・チャコール・パステル、と使うものはバラエティーに富んでいて、描く対象も風景・肖像・静物と幅広い。展示物の中に留学時代の家計簿なんていう面白いものもあった。これを見てもかなり細かい(几帳面な?)人だということが分る。
一回しか個展に来られなかったのが心残り。もう2-3回くらい生で拝みたかった…。画集をゲットしたのでそれで我慢することにする。
トレンス川から見たAdelaide大学
Adelaide大学の構内
オーストラリア国民記念日だったため、車やら家やら、はたまた人の顔までオーストラリアの国旗がついていた。