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ロンドンから徒然に

見たくない雲

2009-08-10 | 日常
 自分の性格からして“ストレス”なんてのには無縁だと思っていたのですが、このところなんだか分かるような気がするんですよね。
 自分だけでできる仕事なら、頑張れば済むことなので、それ自体はどんなに忙しくても全然苦ではないのですが、他人に頼らざるをえないことになると、じっと待つのが苦手なもので、ついイライラが募ります。ましてや、文化の違う国民同士(それでもイギリス人は比較的日本人に近くて楽だと思いますが)だと、けっこう価値観の違いだとかが露呈してしまいます。

 日本にいた時は、自分のうちの“音楽室”で大きな音で楽器を弾いて歌を歌えば、けっこうストレスの解消にはなったのですが、何しろこちらは“長屋”なもので、隣近所への迷惑を考えると、なかなか思った時間にそんなこともできません。

 そんな僕の今一番の癒しは雲を眺めること。
 ロンドンに来て以来、空を見上げることが多くなりました。青い空は本当に奥が深くて透き通るように綺麗だし、そこに浮かぶ雲の自由奔放さは見ていて飽きません。
 比較的風が強いこともあって、片時も同じ姿はなく、今この瞬間を逃せばこの形はないんだという儚さと、逆に今この瞬間に別の場所で同じものを見ている人がいるかもしれないというロマンが、何だか気持ちを温かくしてくれます。






 そんな“雲好き”な僕ですが、決して見たくはない雲があります。
 今日8月9日は長崎に原爆が落とされた日。64年前に多くの人がこの原爆によってもたらされたキノコ雲を見ているのです。
 原爆資料館を初めて訪れた時のショックは未だに忘れられません。頭で理解していたつもりのことが全て覆されました。それほどその悲惨さは身体に沁みました。

 今年はオバマ大統領の“核兵器のない世界を目指す”とのプラハ演説がありました。そのオバマ大統領に是非、広島と長崎を訪れて欲しいと思います。
 いや、この世の元首たる者、必ずこの両都市を訪れるという国連の協定でもできればいいのにと本当に思います。もしここを訪れて何も感じない元首がいたとしたら、そんな感性の人間は国のリーダーたる資格もないと思います。

 遠いロンドンから、改めて平和を祈ります。