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ロンドンから徒然に

長澤知之のライヴ

2009-08-20 | 音楽
 最近の若いミュージシャンは皆器用でセンスいいなと思います。でも、だから感動するかというと別問題で、いまいち心に響くことがありません。もちろんそれは聴く側である自分自身の方の年齢だとか感受性だとかにも問題があるには違いないのでしょうが。

 でも、彼の音楽を聴くと、やはり良い作品はそういったことを超越して感動を与えるものだと思い知るのです。この業界では安易に使われすぎる“才能”とか“感性”とかいった言葉がこれほど素直に当てはまるミュージシャンも久しぶりだと思います。

 長澤知之……少しばかり縁もあって、デビュー以来ずっと見守っていましたが、この間の成長は何だか殻を破った迫力のようなものさえ感じます。比較的短い間隔でリリースし続けた(ミニを含む)アルバムにもそのことを感じます。



 ロンドンに住んでいる身としてはうまくタイミングが合わずに、彼のライヴに接する機会がありませんでしたが、今日初めて生の歌を聴くことができました。
 渋谷のラッシュでの何組かのバンドの間で、アコースティック・ギター1本で立ち向かう彼の歌は、ひとりでやっても魂はロックということを体現していました。

 叫びにも近い歌声とは正反対の木訥としたMCにさえ拍手が起きる現象が、彼と一体化しているファンの気持ちを代弁しています。静かな中にもどこか緊張感を孕んでいるのです。
 そのシャイな様子は、楽屋で会ってほんの少し話をした時も同じ。この細い身体のどこにあんな強靱な音楽と詩を生み出すエネルギーが宿っているんだろう。

 今、もっとも気になるミュージシャンのひとりです。