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ロンドンから徒然に

フレイミング・ジューン~南半球のモナリザ

2008-04-19 | アート
 世界に36点しかないと言われているフェルメールの作品のうち6点が日本に来るということで、今から絵画ファンの方は楽しみにしているに違いありません。さらには先日もう1点追加されて全部で7点になったというニュースが流れていました。
 この追加された絵は個人所蔵のもの(もう個人の手に残されているのはこの1点のみです)なので、見たくてもいつチャンスがあるかは分かりません。8月から12月までの開催期間なので、その間には帰国する機会を作りたいと思っています。

 ところでイギリスにも何点かフェルメールはあるのですが、そのうち2点をナショナル・ギャラリーが所蔵していて、ここは無料で見学することができます。実はそのうちの1点が今貸し出されており、つい最近まで何の案内もなかったもので、日本の観光客と思しき人たちがうろうろと探し回っている姿も見かけました。

 お目当ての作品が貸し出しで展示されていないとなると、がっかりする人も多いと思いますが、その逆の立場で思わぬ名品を観る機会もあります。
 この15日にテート・ブリテンで展示替えが行われましたが、プエルトリコの The Ponce Museum of Art (Museo de Arte Ponce)が改装工事に入る期間を利用して、“南半球のモナリザ”と謳われる、フレデリック・レイトンの『フレイミング・ジューンFlaming June』がやってきたのです。
 ポール・ウェラーのアルバム『スタンリー・ロード』でも取り上げられているので、音楽ファンにもお馴染みの絵画かもしれません。

 それほど人気の絵画ですが、面白い逸話があります。24億円もの評価があるこの絵画、実は60年代にフルハムの骨董品店に額もなく埃をかぶったまま115ポンド(約23,000円)で売られていました。それを見つけたまだ学生だったアンドリュー・ロイド・ウェーバー(『オペラ座の怪人』の作曲家として有名)が、これを買うために自分の祖母に50ポンドの借金を申し出たのですが断られ、結局買えなかったということなのです。
 ヴィクトリア時代のものに対する評価がまだ固まっていなかったこの時代ですから、オークションの最安値で売ることにも失敗して、その後すぐに、このプエルトリコの美術館に買われたそうです。

 よく画廊や骨董品店や蚤の市を回りながらこの話を思い出すのですが、なかなかそういった発掘話を作るのは難しそうです。

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