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ロンドンから徒然に

APOCALYPSE ~ ジョン・マーティン

2011-09-26 | アート
 夏の間あれだけ寒かったのに、皮肉なことに9月に入ってからはとても暖かな日が続いています。ネットや新聞でもインディアン・サマーの文字が躍っており、皆失った夏を取り戻そうとはしゃいでいる感じさえします。この気候、どうも10月に入っても続きそうな気配です。(もっともこの冬は厳寒だとの予報も出ていますが。)



 まぁしかし気分はだんだんと芸術の秋。美術館でも新しいプログラムが目白押しになってきました。そこで、とりあえずTate Britainから始めることに。
 この21日から始まったばかりの展覧会のタイトルは「APOCALYPSE」。
 物騒なタイトルですが、19世紀に活躍したイギリス人画家John Martinの作品を集めてのものです。



 彼の評価には浮き沈みがあり、絶大な人気にもかかわらず、いやそれ故に、批評家からは大衆に媚びた作品と批判されたこともあったようですが、近年はきちんと再評価されています。
 また浮き沈みは経済的な面も同様で、版画出版の成功で得た富を後年殆ど失って破産同然となっています。

 実はその理由というのが変わっていて、ロンドンの水道や下水道の改良による都市計画に巨費を注いでしまったからなんです。そのプランも規模が壮大過ぎて実現には至らなかったみたいです。
 多彩な才能のある人のこうした悲劇にはいつも心が痛みます。

 こうして忘れられた存在になっていた彼が、最後に取り組んだ大作が「The “Last Judgement”Triptych(“審判”三部作)」と呼ばれる油彩3点です。
 「The Last Judgement(最後の審判)」、「The Great Day of His Wrath(神の大いなる怒りの日)」、「The Plains of Heaven(天国の平原)」。この3作が今回の展覧会の目玉と言えるでしょう。

 Tate側も工夫を凝らして、今回特別な演出を試みています。
 これらの絵があるRoom 5を30分おきに暗くして、サウンドとライティングを用いた上に、かなりドラマティックなナレーションを添えて、さながら映画上映のような空間にしてしまうのです。
 下手したら臭くなりかねないベタな演出ですが、今回ばかりはそのくらい大げさな方が合っていると感じるくらいのスケールの大きな作品でした。

 来年1月15日まで開催されています。

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