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ロンドンから徒然に

牛乳を注ぐ女

2007-09-26 | アート
 2年前の夏、絵を観るためだけにオランダ旅行に出かけました。その初日に出かけたアムステルダム国立美術館、数ある佳作に目をやりながらも、心はあるコーナーに。そして行き着いた一角、文字通り輝いている絵がそこに!フェルメールの『牛乳を注ぐ女』です。
 この美術館はフェルメールを4点所蔵しています。『恋文』はその時留守でしたが(オーストラリアに貸し出し中で、その後日本に来ました)、残りの2点『小路の眺め』と『青衣の女』と比べても、その絵はひときわ輝きを放って、見事な存在感でした。

 その『牛乳を注ぐ女』が日本にやって来ました。六本木の新国立美術館で、今日が初日です。断言しますが、この絵は絶対に観た方がいいです。美術があまり好きでない人も絵に対する観念が変わると思います。色彩も構図も、もし絵画に完成形というものがあるとしたら、そのひとつの作品がこの絵でしょう。
 化粧気のないメイド、身に付けた服も華美な飾りの何ひとつない質素なもの、釘を刺した痕跡まで見える汚れた壁、むき出しの土間の台所、割れたガラスのはまった窓、........我々を魅了するにはあまりにも質素な材料なのに、絶妙な遠近法と光の処理で、観る側の目は彼女の注ぐミルクに釘付けになって、そのまま時が止まったような静寂の中に引き込まれてしまいます。 

 残念ながらオランダとは違って絵の前に柵があります。でも、まだ空いている今のうちに、できるだけ色んな距離や角度から鑑賞してみて下さい。同じ絵を何度も味わうことができます。
 また、この絵をX線調査した結果分かった意外な事実等も公開されていて楽しめます。

 それにしてもフェルメールは奥が深い!

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