植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

奇跡のリンゴを食べる

2021年08月09日 | 植物
ワタシ自慢の果樹園であります。概ね今年は順調で推移しております。
しかし、残念ながら、昨日から今朝にかけてリンゴ「つがる」が3個落果いたしました。たいして風が吹いたわけでもなく、病虫害の形跡もないただの自然落果と見えました。勿論まだ小さく、わずかに赤みが出ている未熟果でありますが、全部で10個ほどしか結実しない貴重なリンゴなので、実食いたしました。

 雑味や酸味がなく、なんともすっきりしたほどよい甘さがあって、味にうるさいワイフには合格点を貰いました。以前「奇跡のリンゴ」という邦画が製作されました。実話に基づくリンゴ農家の無農薬栽培を題材にした映画でした。農薬で体調を崩した妻のことを思いやって、無農薬栽培に悪戦苦闘する農家さんを阿部サダヲさんが好演し、いろんな賞を受賞しましたが、無農薬栽培の難しさゆえ批判されることも多かったようです。

 リンゴ栽培に多種大量の農薬を使用するのはよく知られた事実です。長野県では少なくとも14回散布する決まりになってるようです。これに対して、残留農薬は大したことが無い、とかイチゴに次ぐ2番目に残留農薬が検出されるなど両論あります。一番問題視されるのがリンゴの皮なんです。ほとんどの果実は、外からの病原菌の侵入や水の浸透を阻止する仕組みになっています。その皮がなんでもはねかえすので、農薬は皮の外側に残るのです。

 リンゴの皮は食べなければ心配ない、とか、リンゴの農薬が心配ならリンゴを皮ごと使う食品が沢山出回っているのを食べられなくなるという説は、農薬の害があることを前提にしているのです。一方で、ポリフェノールなど貴重な栄養素が皮に含まれているので出来れば皮ごと食べたいものでもあります。アンチエイジング食材としても有名です。

 残留しているか、健康被害にあうような量かなどとは切り離して考えるべきでしょうが、リンゴに限らず、市販される果実はほぼ100%農薬を多用しています。以前聞いた話では、山梨の果樹農家は自宅用に栽培するものは別に無農薬で育てるのだ、出荷する果物は口にしないということでした。農薬を使った国産果樹を食べて癌になるなど健康被害が起きる確率は極めて低いのかもしれませんが、少なくとも農家さんの健康被害は懸念されます。農薬散布で体に浴び呼吸とともに農薬が体内に入ると、蓄積した成分によって重大なアレルギーなどを引き起こします。

 今回落果したのは農薬を使わなかったせいかもしれませんが、かわりに落ちたリンゴでも一切農薬を使っていないので、安心して皮ごと齧ることが出来ます。ワタシが無農薬にこだわるのは、自分(家族や知り合い含め)で食べることが目的だからです。出荷基準に満たない出来損ないでもかまいません、十分な収量を確保する必要もないのです。農薬を使わないことで、葉っぱが病気になったり害虫が来たりするのは仕方ありません。

 毎年数個しか口にできないリンゴは、「つがる」の他に「ふじ」とシナノゴールドを植えております。シナノゴールドは残念ながらぶどう棚に半分以上覆われほとんど実が付きません。あと2、3年もすれば樹高がぶどう棚を上回るはずなので、それからリンゴができればいいとしています。

 他の2種も、ブドウとイチジクに日照を奪われ肩身の狭い生活なので、いじけているようです(笑)。狭小果樹園なので、仕方ありません。狭い中にごちゃごちゃに植え付けてるので、日照や栄養が行き渡らないのです。そんな過酷な環境で、農薬を使わないでも、けなげに花を咲かせ実をつけているリンゴ、これが晩秋になって真っ赤に熟したら「奇跡のリンゴ」と呼んで差し支えなかろうと思います。

 

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