植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

花が咲かなければ実はつかない 受粉できなければ実にならない

2023年05月09日 | 植物
今年の園芸での最大の命題の一つが「摘果」であります。

本格的に果実作りを始めて6年になります。柿・桑・プラム・柑橘類・イチジク・さくらんぼ・アーモンド・リンゴ・ぶどう・各種ベリー類と狭い敷地に、どんどん植えて手を広げたのです。サクランボはあまりにも手間がかかる割に収穫が少量でコスパが悪い、シャインマスカットは病気で樹勢が衰える、アーモンドは小さくて種を割るのが一苦労、などで諦めた果樹もありました。せがれイチオシのプラム「貴陽」は花が咲いても受粉できず一つも収穫に至りませんでした。アブラムシなどの害虫駆除ばかりでありました。

花が咲かないと実はつかない、これが大原則なのです。果樹の多くは個体が充実し大きく育たないと花を咲かせないことも一般的です。
ここをいまだにクリアできないのが熱帯性の果樹「ロンガン(龍眼)」、アイスクリームバナナであります。ロンガンは数年前一度だけ、開花しましたが口に入ったのは数粒で、以降は全く花が咲きません。大きな鉢に植えて、毎年冬を越すために室内に運び込んでいるのです。アイスクリームバナナは冬場に地上部が全て凍って枯れたので、春になると新たに地中から茎をのばします。すると、夏になるまでせいぜい茎が伸びて葉っぱを広げるのがやっとなのです。

果樹の難しいのは「花が咲いても受粉しない」性質の種類が多いことにあります。受粉すると種になる核が形成され、これを感じた木は、鳥や動物に食べてもらいどこかに運んで糞と一緒に種まきしてもらうため、加食の果肉を大きくしはじめます。
それでも自家受粉しない理由は、純粋種のみの交配では長い歳月・環境変化に対応できないため、雑種として種を残して繫栄するための植物の知恵であります。中にはキウイフルーツのように雄樹と雌樹が別々の果樹もあります。

他の品種と交わってお互いの長所を備えた強靭な新しい個体を生み出すことによって、生き残りを選んだ植物が多いのです。勿論、自家受粉して、質より量路線の果樹もたくさんありますが。また、自家受粉する花も、虫媒花ならば花粉を運ぶミツバチなどがいないと受粉しません。世界的には「蜜蜂」が激減しているのです。当地平塚でも、滅多にミツバチはやってきません。

授粉しなければ果実はつかないのであります。そうなると、人間の手による強制的な受粉「人工授粉」が必要になります。自家受粉しない果樹ならば、近種の授粉樹を植えます。混植して収量を増やすというのももっともよく行われる方法で「ブルーベリー」やリンゴなどがこれに該当します。それでも、確実性を求めるならば雄花や他品種の花から花粉を採取して雌花・雌蕊にくっつけるという作業が大事なのです。
ただし「種なしぶどう」だけは特別で、開花したら「受粉させない」かわりに「ジベレリン」で受粉したと勘違いさせる手法を取ります。受粉していないので種はつきませんが、親樹は栄養を送り始めるのです。

今、うちのぶどう「甲斐路」は沢山の花蕾がついています。もうすぐジベレリン処理をいたします。

ようやくそれで受粉すると、雌蕊の根元にある子房が膨らみ始めます。受粉できなかった花はいずれ落下してしまいます。ここからが大事な作業「摘果」となります。ブドウの場合は開花前に先端部だけを残して摘蕾という工夫をします。房自体が大きくなりすぎない、一粒を大きく肥大させるのが目的なのです。

家内から命令されたのが「摘果」しなさい、でありました。あんたの果物は出来が悪くて小さい、というのが彼女の不満であります。これまでは①いまいち摘果の要領がわからない ②食い意地が勝って数を多くしたい ③病気や動物にとられるのを見越して数で勝負する ④実は面倒くさい といった理由で自然のまま摘果を省略してきたのです。

手始めに行ったビワ、これは半分ほど摘み取って、粒がそろってきました。

こちらは今朝のりんご「シナノゴールド」。この木はこれまで「シャインマスカット」の葉っぱで日照不足、ヒョロヒョロで今まで一個しか実がつきませんでしたが、シャインマスカットを諦めて根元から伐採したのです。おかげで今年は見違えるほど受粉しています。これを7割ほど摘果し、最終的には10個以内に減らすつもりです。りんごはこれを含めて4本を植えてあります。

こちらはプラムです。授粉樹に適するといわれる多産種「サンタローザ」で、たくさん受粉しぽつぽつと摘果しておりましたが、ここ数日の強風で勝手に間引いたように落果していました。

柑橘の「不知火」は昨年裏年で、不作であった分今年は沢山開花しました。これが摘果対象であります。家内に文句を言われないよう、暇を見て減らすつもりです。来年春の収穫なのであわてる必要はありません。

下は数日前から咲き始めたフェイジョアであります。これも自家受粉しにくいので人工授粉いたします。「クーリッジ」「アポロ」 の二種を植えてあります。開花時期が少しずれているのが気がかりであります。


雨や強風が続いていましたが本日は絶好の園芸日和であります。
甲斐路の摘蕾とバラや桃・ブドウなどの消毒が本日の最低実施作業であります。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やっとGW終了 充実の日々で... | トップ | 老化とゴルフ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

植物」カテゴリの最新記事