植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

生きるも運命 死ぬるも運命

2022年01月21日 | 植物
一年で一番寒い時期なんです。寒いわけです。

 昨日は多くの方から誕生日の祝意を頂戴いたしました。lineという便利なツールのおかげで普段会えない人や仲間達とコミュニケーションが取れるのはありがたいことです。66歳を迎えた昨日まで、特段命の危険にさらされることもなく永らえてきたのは、周りの人々のおかげでもあり、多少の「つき」や運に恵まれてきたのでもありましょう。

 ぶどう棚の整備が終わって、地面に落ちた木っ端や剪定くずを拾い集め、昨日は今年1回目の「消毒剤」を散布いたしました。これから5月頃までは月に1回は消毒してブドウの病気を抑えることにします。植物の内部に菌が入り込み、病気になっているのでしょうがこれも仕方がありません。単に菌やウィルスを殺すだけでなく、病気になったブドウ苗を徐々に治療してくれる薬剤もあります。人間と同じで、薬を飲んでだましだまし生きていくしかないのです。

 昨年の同じ日の当ブログを眺めていたら、柑橘「でこぽん」を試食したと書いていました。十分食べられる程度に熟していたのか甘くて美味しかったとの感想でありました。最近の冷え込みとほとんど降雨がない晴天が続いたので、柑橘類は甘くなっているはずなのです。後ほど一個だけ取ってこようと思います。1年待ってようやく無事に収穫時期を迎えたのです。無農薬で完熟の生成りのデコポンが食べられるのは、頑張ってきた自分へのささやかな褒美と言えますね。

 ワタシの仕事場である2階の廊下から、そのぶどう棚を何気なく見下ろすと野良猫の姿を見つけました。ブドウ棚などの果樹エリアから私道を隔てたこちら側に向いて、フェイジョアの木の下に身構えていたのです。これはネコ科の動物共通の狩をする時の身を低く身構えている姿勢です。ピンと来ました。猫の視線の先には窓下に「清見オレンジ」が植えてあるのです。デコポンや「せとか」と違って、清見はまだ熟していないので皮が固く沢山なっているのです。そこで鳥よけネットも適当に被せてあって隙間だらけ、鳥が侵入してもまぁいいや、という扱いでありました。

 そっと窓を開けて見下ろすと、そのネットの中に小鳥の影が見えました。「メジロ」です。せっかくオレンジジュースとミカンをフェンスの高い位置に置いてやっているのに、わざわざ網の隙間に潜り込んで、厚い皮を突いて盗み食いするのです。結果網にかかって生死の淵に来ているのでした。

 その時ワタシの頭の中を巡った思いはこうでした。メジロ→恩知らず→柑橘類を傷つける害鳥→駆除して貰った方が被害が減る。一方で可愛らしくて弱い小鳥→野鳥を見守るのがワタシの楽しみ→野良猫撃退、という思考が交錯しました。「今から階下へ向かえば助けられる」と思いましたが、自然の営みには出来るだけ手を出さないでおこう、がワタシの結論でありました。

 猫に気付いてパニックになったメジロは、隙間だらけのネットにぶつかって激しく羽ばたいていました。野良猫は一瞬の隙を見逃さず、素早く回り込んでネットの上から噛みつきました。一撃で仕留めたのです。ネットの下から潜り込んでメジロを咥えて勝ち誇ったように去って行きました。

 マイガーデンには、様々な動物がやってきます。猫から鼠、狸も来ました。大きなヒキガエルもみかけたし、多種の鳥類などは毎日やってきます。そのほとんどは、害はあっても益はありません。しかし、自然の動物は可能な限りそっとしておこう、追っ払うのは止そうと思っています。殺生は害虫限定と考えています。

 もし、ワタシが柑橘にネットを掛けなかったら、たまたま猫が通りがかってこなかったら、いまでもあのメジロは元気に飛び回っていたはずですが、それが運命、運不運は誰にでもあることです。野良猫はラッキーだったのです。生きるために必死で残飯を漁り野鳥を襲い、日々を生き延びているのです。

 死んでも地獄に落ちない様、せめて殺生は慎もうと思います。

 


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