巨人軍が、十年以上ドラフトで一流の有力選手を取り損ね、他球団と戦力の均衡を行った(笑)結果、生え抜きと言われる選手層がどんどん薄くなりました。それでも、一軍選手の大半をFAやトレードで補強してなんとか優勝戦線に残ってきたのです。もし、そういう補強をしていなかった場合、出場機会を得て経験を重ねた若手が代わって伸びてきたかは疑問であります。
何故なら、素質がありちゃんと努力を重ねていれば自ずと2軍で抜きんでた活躍をしますが、そんな選手は見当たりません。上で怪我をしたり目を覆うような不調の選手を落とした時に呼ばれる選手は二軍でもましな方というだけで、一軍の壁にぶつかって逆戻りの繰り返しです。その理由は「伸びしろのある、一級品の素質を持った高卒選手」をドラフトで取らなかったからです。
球速が最大150km超えで、大学の大会、プロとの交流でちょっと頭の抜けた投手をみれば、即戦力といってドラ一候補になりますが、そうした選手のほとんどは①高校卒業時にプロから認められなかった②大学で楽したり、逆に酷使されたりでコンデション不良が多い③大学で体が出来てピークを迎えていて、それからは伸びない、④最速の球速は計測時の誤差かも、あるいは一回こっきり、というような共通点があります。
高校ドラフトで漏れても、体や筋肉が出来れば大学4年間で球速が10kmほど伸びるのは当たり前、それが150kmならば、高校生の時140km以上出している投手を専門のプログラムと練習漬けで、プロが育てた方がはるかに成長する可能性が上がります。
昔の江川卓から始まって、甲子園の連覇をした島袋、斎藤佑樹、田中正義など大学経由してプロに入って期待外れのドラ一がなんと多いことか。逆に、メジャーリーガーとなって活躍しているのは、昔の松坂、田中マー君、ダルビッシュ、菊池雄星、そして大谷翔平と高卒でプロに入った選手ばかりなのです。
巨人がドラ一を即戦力の大社投手に偏重したのが躓きの元でありました。それからもう一つは、算数に強い編成担当が居なかったことも忘れてはなりません。ドラフト候補のなかで、特別な注目選手は必ず毎年数人います。スカウトは「特A」とかマークして、一位に複数球団が競合確実な選手たちです。
昨年で言えば、大卒で「佐藤（阪神）牧（ベイ）という野手に、早川・伊藤両投手」あたりが注目されました。コロナで高卒選手の実力が図りかねて敬遠されたのが特徴でした。巨人は早い段階から佐藤輝明にいく、と表明し4球団のくじ引きで外し、まさかの無印・怪我明けの平内を獲りました。一昨年も、ぴか一の高校Big３の一人奥川をくじでヤクルトに持っていかれ、外れ一の宮川も外し、結局無名の堀田を指名しましたが、すぐに手術となり全く登板を見ることも出来ません。その年の社会人投手太田も同様でした。
どんな素晴らしい100点評価の特A選手でも、獲得できなければ0点です。「絵に描いた餅」を追っかけたのです。欲を張らずに、一巡目で消えるような80点台の選手を単独指名出来れば成功、と考えるべきだったのです。一位を外し、更に外れ一位も外していると言うことはせいぜい2巡目レベルの選手（70点）しか獲れなかった、これがこの10年の巨人のドラフトでした。くじの確率は2球団で50％、そして3球団33.3％、4球団で25％になります。10年間外しまくった巨人はその確率の悪さだけでは12球団でも最下位であります。
しかも外した挙句にドラ一指名したのは前述のようにピーク過ぎの大社投手が多く、２，３巡目相当と評価されたような選手が多かったのです。少なくともこの10年でワタシが事前にリサーチした獲得にふさわしい一流選手は誰も獲りませんでした。
更に、2巡以降はペナントレースの成績や交流戦の成績で順番が決められます。巨人の場合は大体優勝か2位で推移し、パリーグに劣後する年がほとんどでしたから、指名順位が11位か12位あたりで推移しました。単純に考えると、2巡目に獲得できるのはその年の候補の一番上から数えて23番目くらいの選手となったのです。
というわけで、ずっと空くじしか入っていない箱に手を突っ込んだ挙句、外すのが嫌で、他球団が食指を出さないような選手ばかり獲得した結果が今の巨人の実態なのです。
以下第3回に続く
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