goo blog サービス終了のお知らせ 

ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

「禁止」というハードルを越えようとする輩は必ずいるはずだ

2012-06-28 23:32:14 | Weblog
 童謡「ぞうさん」のメロディーに合わせて、「ぞ~はん、ぞ~はん、処分が甘いのね・・・」と「造反」の唄を歌いたくなる今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 裏切り者まで「ノーサイド」扱いする事は、「大岡裁き」よりも「大甘」だと思いますが、こういう「生温さ」が好きな人もいらっしゃるでしょうから致し方ありません。
 自分たちの身内も裁けないのに7月から「生レバー禁止」に踏み切るとは・・・現場の声もよく聞いてくださいよ、と強引に「生レバー禁止」の話へ持って行こうとしている文章は、当ブログならではの事ですからご了承ください、ね。
 「禁止」と言われると無性にそれを欲してしまうのが人間の性でありますから、そのうち「脱法生レバー」なるものが登場しても不思議ではありません。(この手の話は一度ブログに載せましたが「生レバー禁止」前の刹那的ネタとしてご容赦ください)
 例えば「極厚レバーステーキ」というメニューがあるとします。そのメニューの下に括弧書きがあり、(レバーステーキの焼き加減をご指定ください)と書いてあるとします。
 メニュー注文時に「レアで、極レアで、お願いします。」と注文すると、「ごま油と塩もお付けしますか?」と店員が聞き返し、頷く(うなづく)とオーダーが入ります。
 「極厚レバーステーキ、入りました。」この掛け声が合図です。程なく焼き色が付いたレバーステーキが運ばれ、店員がこう説明します。
 
「こちらでお切り分けしてもよろしいでしょうか?」

 頷くと店員は慣れた手捌きで「極圧レバーステーキ」の焼き色の付いた表面だけ削り取り、中から剥き出しの「レアなレバー」つまり「生レバー」が登場します。
 店員は顔色一つ変えず、その塊レバーをスライスし、削り取った表面を持ち帰る。すると皿に残ったのは「焼いた表面を削り取ったレアレバーのスライス」という名の「ほぼ生レバー刺し」で、それに添えられているのは「おろしニンニク」だったりするわけです。
 店側としては「ちゃんと焼いているから違法ではない。」という主張をし、焼いた表面を削り取った理由として「より美味しいレバーステーキを楽しんでもらう為のパフォーマンスに過ぎない。」と挙げるはずです。
 つまり「質の良いレバーをステーキで提供したいと思って看板メニューにしている。表面は瞬間的に焼いてレアで出し、歯応えが悪い焼いた表面を削り取るのはより美味しく食べてもらう為の工夫とパフォーマンスである。」との主張を崩さず、「法的に問題なし」を譲らないのであります。
 こうして「脱法生レバー」は出来上がるのですが、保健所も対抗策を講じるでしょう。
 「客の目の前でトリミングしているに過ぎない」この論法を持って「脱法生レバー」に対抗するはずです。
 つまり、「レバーステーキを名乗るのであれば中心温度は50℃を超えなければならないのではないか。」という「衛生法規」及び「食品衛生学」を持ち出し、「極厚レバーステーキ」を潰しにかかります。
 しかし、店側もバカではありません。保健所の要請通り、「極厚レバーステーキ」を取り下げ、新たなるメニュー「新鮮レバー焼き」で対抗します。
 このメニューには説明が付いており、

「当店の“新鮮レバー焼き”は、生で食べても問題ない基準の新鮮なレバーを入荷次第殺菌処理し、その日のうちに売り切る事を念頭に販売しております。2012年7月以降、レバーを生で食す事は禁じられておりますので必ず加熱して召し上がりください。ただし、焼き過ぎますとレバー本来の美味しさが損なわれる可能性がありますから十分注意し、レアな状態で召し上がる事をオススメします。仮に間違って生で食べても全く問題の無いレバーでありますから安心してお召し上がりください。当店の“新鮮レバー焼き”はレバーの持ち味を重視し、タレなどを前もって絡めたりしておりません。生レバーそのものですから「レバ刺し」と間違う方もいらっしゃいますが、あくまでも“焼き用”であります。間違って生で召し上がった場合、誰にも言わないでください。焼くか焼かないかは個人の判断に委ねられますのでご了承いただき、食事をお楽しみください。」

 と書いてあります。
 長々と書いてあり判りづらいのですが、最後まで読むと「新鮮な生レバー、焼いて食べるか、生で食べるかはお客さんの判断です。店側としては、焼いてください、と一応勧告しましたから関係ありません。」と「ダメ」と言いながら「黙認」を前提にしているかのような文言です。

 このように、食に対し「禁止」という処分にはそれをすり抜けようとする考えが出てくるようでなりません。

 「禁止にしてしまうと地下に潜る」と言われてきた「レバ刺し」。地下に潜るどころか「脱法」に走るような気がするのは私だけでしょうか。

 締め付けるのではなく「11月から2月までの冬季期間はそれを免除する」という優しさが欲しかったのではないでしょうか。

 大衆が欲し、それに関る業者さんが困っている、そういう時こそ「大甘」にならなければならないのではないですか。

 それだってあなたたちが掲げた「国民の生活が第一」に繋がると思いますけどね、政権与党さん。











最新の画像もっと見る

コメントを投稿