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■製作年:1954年
■配給:大映
■監督:溝口健二
■出演:長谷川一夫、香川京子、進藤英太郎、小沢栄、南田洋子
名匠と名高い溝口健二監督による「近松物語」を見ました。原作は近松門左衛門の 「大経師昔暦」、おさんと茂兵衛の物語です。おさんと茂兵衛の名前も3つの作品(文楽、ドラマ、映画)を連続して見るとだんだん馴染みというか愛着がでてきます。今回のおさんと茂兵衛はどんな展開を見せるのかななんて。溝口健二の作品はこれで3回目(その前は「雨月物語」と「滝の白糸」)ですが、今回この「近松物語」を見て感じたことは、溝口健二が名匠と評され、国際的にも評価が高いのが何となくわかる、わかるという感覚を持ったことです。カメラの長回しと流暢な演出と役者の演技の三位一体が流れるように、隙間なく凝縮し、様式美とも言えるような格調の高さまでを維持していて、エラソーに言えば、非常に良質な映像空間を作り上げていると感じました。細部にまで注意が行き渡り映画自体、とても洗練された感じがします。
この映画におけるおさんと茂兵衛は、一緒に逃げることで2人に愛情が芽生えるという展開になります。原作では間違えて男女の関係を持ってしまったのを、昨日アップした和田勉演出のドラマでは茂兵衛がおさんに恋心を抱いていたように、そして今回の溝口健二演出の映画では二人が逃げる過程のなかでお互いが愛し合っていることを確認するという関係になっています。見比べるとこの映画のパターンが一番自然な感じがしますし、受け入れやすい感じがします。というのもラストにおさんと茂兵衛は、磔にされる前に市中引き回しの見世物にさらされるのですが、お互いの愛を確信しあっているので堂々としているのです。それは魂で結ばれた男と女の姿を表しているのである意味で肉体は消滅しても魂、精神レベルで固く結び合っているという“愛の勝利”のカタルシスが得られるんじゃないかと思うのです。これが何かの間違いで濡れ衣として冤罪の表現であれば、逆に暗く落ち込んでしまうかも知れません。名匠・溝口健二の世界を堪能したような気分にさせてくれた映画でした。
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この映画におけるおさんと茂兵衛は、一緒に逃げることで2人に愛情が芽生えるという展開になります。原作では間違えて男女の関係を持ってしまったのを、昨日アップした和田勉演出のドラマでは茂兵衛がおさんに恋心を抱いていたように、そして今回の溝口健二演出の映画では二人が逃げる過程のなかでお互いが愛し合っていることを確認するという関係になっています。見比べるとこの映画のパターンが一番自然な感じがしますし、受け入れやすい感じがします。というのもラストにおさんと茂兵衛は、磔にされる前に市中引き回しの見世物にさらされるのですが、お互いの愛を確信しあっているので堂々としているのです。それは魂で結ばれた男と女の姿を表しているのである意味で肉体は消滅しても魂、精神レベルで固く結び合っているという“愛の勝利”のカタルシスが得られるんじゃないかと思うのです。これが何かの間違いで濡れ衣として冤罪の表現であれば、逆に暗く落ち込んでしまうかも知れません。名匠・溝口健二の世界を堪能したような気分にさせてくれた映画でした。
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