飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

近松門左衛門NO.26・・・文楽公演「曽根崎心中」(国立劇場)

2010-02-25 | 近松門左衛門
■日時:2010年2月21日(日)、18:30~
■劇場:国立劇場・小劇場
■作:近松門左衛門

ようやく念願の文楽による「曽根崎心中」を見ることができました。近松門左衛門の「曽根崎心中」といえばボクにとっては、若い時分、深夜テレビで放送されていた増村保造が監督した映画を見て衝撃を受けた記憶があります。それから「曽根崎心中」は別格の作品になったのですが、文楽や歌舞伎など伝統芸能は面白くないんじゃないかという先入観で、どうしても関心が持てず本家本元をずっと見ないでいました。しかし、食わず嫌いであったことが最近わかり、ようやく伝統芸能に興味が湧いてきて、それらに少し馴染むようになったのですが、今度はなかなか「曽根崎心中」が上演されません。歌舞伎のそれは昨年に見ることができたのですが、文楽はまだ…。それがやっと実現したということで少々観劇も力が入りました。

で、「曽根崎心中」ですが、期待以上の素晴らしい舞台でした。見ていて目頭が熱くなりました。とても人形とは思えない動き、細かい仕草に釘付けになりました。よく文楽は、義太夫、三味線、人形使いの三位一体の芸能といわれるのですが、まさにこの「曽根崎心中」はそれが隙間なく結実している作品と感じました。想像するに人気の作品であるがゆえに公演を重ね、どんどんと完成度を高め何とも言えぬ味わい深いものになっていったのかもしれません。天満屋におけるお初と徳兵衛、道行のお初と徳兵衛、そこには愛するもの同士しかわからない濃密な時間が流れていました。心中を決意しこの世に別れを告げていなくなってしまう前のほんの僅かな時間なのですが、“愛し合う”ことを体現して見せた永遠の時間を逆説的に見せてくれたように思いました。

とにかく今回の文楽「曽根崎心中」は魂に訴えてきて、言葉にするのが難しいです。生の舞台のライヴ感が得も言えぬ振動を心の中に振るい起こしそれに限るのですが、できるならば今回の公演をテレビで放送してくれないものだろうかと思ったりします。なぜならあの震えるような感動は、やがて月日とともに良かったという皮膚感覚のようなものだけが残り、きっと忘却してしまうに違いないからです。欲を言えばいつでもその感動を残しておき味わいたいと我が儘にも思ってしまうから…。

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