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久しぶりに読んだ新書が「職業としてのAV女優」というもの、著者はフリーライターとしてAV女優や風俗で働く女性を取材し記事にしてきたという中村淳彦氏という方。氏は事情通ではありながらも、どっぷりとその世界に足を突っ込んでいるわけではなく割とクールな視点で彼女らの実態を書いているのでした。それは興味本意感覚的手にとってしまいそうなタイトルでありながら、中味はというと正面からその実態、現状を面白おかしくするでなく真面目によくもわるくもレポートしているのです。つまりタイトルの通り<職業としてのAV女優>とはどんなものなのかを詳しく書いているというものでした。
実際、それを読んでいると厳しい現実も見えてきて、気が沈んでくるというか、ため息が出るような気分になります。AV女優と呼ばれる彼女らが、裸になりセックスを映像化し(時にここまでやるか?といった過激なプレイまで見せ)、それらが公のものとされていくという、完全に性の商品と化しているにもかかわらず、案外その報酬は一部のトップを除けば安く、また経済原則に則り人気がなければ、売れなくなれば消えていくという消費の早さも相俟って厳しい現実が待っているわけです。そうしたことは、容易にわかろうというものですが、ギャランティの数字や単体、企画などといった格付け、AV女優引退後の展開などをまとまって見せられると、やはり、いいねとはけっして言えない過酷さが印象として浮かんでくるのです。
特に最近は簡単に志願してくる女性が多いようで、安易にその世界に飛び込んだことによって、その後の人生をくるわせてしまうケースもあるようなので、著者のあとがきにAV女優を志願する女性にこそ読んで欲しいと書いてあったように、そういう方にこそ事前リサーチとして手に取った方がいいと思うのでした。イメージが作り出した幻想に惑わされないこと、安易な金儲けはしっぺ返しがあること、裸になるのは簡単なので一度とどまって考えてみることなど、使い古された言葉かもしれませんが、そう思ったのでした。その上で後は本人が決めることなのでしょう(決めたからには可能性は難しくともセックス・シンボルとして輝いて欲しいですね)。でも読んでいて思ったのは、どんな仕事でも光と闇はあるので、現在の自分に置き換えて何をベストとして選択するかなど、思考の幅を広げて読んでいくことも大切かなと感じたのでした。
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職業としてのAV女優 (幻冬舎新書) |
中村 淳彦 | |
幻冬舎 |
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