ジャズとは一体何か?この本はジャズの誕生からその全盛期に至る歴史をアメリカ史と重ね合わせながら綴っています。そこに見えてくるのは、ジャズを通して黒人の地位向上の苦悶の歴史の一端だ。著者は、一通りの歴史を追った後で最後にジャズを以下のように書いていました。“アメリカ黒人とクリオールが「一緒になってブラス・バンド演奏をしたとき、そこに白人ブラス・バンドとは異質の音楽的表現が生まれたのであった。それは白人のブラス・バンド演奏にない独特のシンコペーション・リズムやスイング感を伴った奇妙で一風変わった躍動感であり、それとともに読譜力の不足からくる即興プレイも部分的に加えられていった」というくだりがあったが、ここにこそジャズの原点があるのだし、その魅力の大部分があるように思う。”(※①クリオールとは黒人奴隷の女性が白人の主人との間に生んだ混血児やその子孫のこと ②“”部分、「ジャズの黄金時代とアメリカの世紀」大和明・著/音楽之友社から引用)
ジャズは西洋とアフリカの出会いであり、黒人の苦闘であり、解放の魂がこもっていた音楽の一形態であり、一方で黒人大統領オバマの再選が象徴しているようにそれはアメリカの歴史を支えた一本の柱でもあった、そんなことを感じたのでした。私は音楽音痴であり、ましてやジャズについては初心者マーク付きの者であります。しかし、そんな私でもこのジャズの歴史に触れ、再びその音楽を聴くとそうしたことを飛躍させて感じたい気にさせられます。
ところで、こうして大雑把にジャズの歴史を読んでいくと、個人的に面白く感じるのは、やはりハード・バップと呼ばれるスタイルが台頭するところです。マイルス・デイビス、クリフォード・ブラウン、ソニー・ロリンズ、ミルト・ジャクソン、セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガスといった私も知っている名前が登場し、それぞれが名盤と言われるアルバムを残していくジャズの全盛期の時代が、文字を追っているだけでも凌ぎを削っているかんじが伝わってきてその地位を確立した印象を持ちます。
ジャズの黄金時代とアメリカの世紀 (はじめて音楽と出会う本) | |
大和 明 | |
音楽之友社 |
Perfect Jazz Collection: 25 Original Recordings | |
Columbia Europe | |
Columbia Europe |
Perfect Jazz Collection Vol. 2 | |
Sony UK | |
Sony UK |
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