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著者の中山康樹氏は私より9歳年上で、ジャズの専門誌「スイングジャーナル」の編集長を経て音楽評論家になり主にジャズをメインに執筆をしている方です。ジャズを聴くプロの人が書いた、肩の力を抜いたジャズの聴きかた入門。音楽音痴の私は、若い頃、ジャズの難しそうな響き(=それはどこか大人の響きに思えました)に憧れマイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、セロニアス・モンクといったジャズの巨人達のレコードを当時出始めであったレンタル店で借りてきては部屋で聴いていた時期が、ほんの短い間でしたがありました。話はちょっと横にずれますが、私が大学生であった頃の30年前、丁度レンタル・レコード店なるものが街で見かけるようになり、高価なレコードが飛躍的に身近なものになってきた時代でした。で、背伸びしてわかったような、わからないような顔をして聴くジャズの響き。この中山氏も音楽少年ではあったのですが、ジャズとの初遭遇はサッパリわからんかった、つまらなかったと書いています。
中山氏は言います。ジャズを聴いて一発でわかったという人は極稀でそうした人は、おそらくはジャズの雰囲気が気に入った程度のものではないのか?ジャズとの出会いはその時そこに自分の聴きたいものと出会えたかという縁のようなものがあるのだと。中山氏は数多あるジャズのレコードの中で3つの作品と出会い、あれ?と感じた瞬間にジャズに開眼したのだそうです。以後は、いかにして1枚でも多くのジャズを聴くか、ということが命題になり、1杯のコーヒーでいろいろな音楽を聴かせてくれる今では珍しいジャズ喫茶なるところに入り浸るようになったそうだ。レコードが高価な時代で気軽にレンタルもできる仕組みもなかったので、コーヒー一杯で何時間も粘ることができ、かつ大音量で質の良い音を聴かせてくれるジャズ喫茶は大変重宝したとか。私も学生時代、京都であったこともありジャズ喫茶は比較的残っていて、たまに行ったりしたのですが、どちらかというとむずかしい顔して聴いている雰囲気が、あまり好みに合わなかった気がしました(それでも、ジャズ喫茶はどこか特別な場所に思えたのは、小説家・中上健次が若い頃ジャズ喫茶に入り浸り、当時流行っていた睡眠薬を多量にのみラリっていたというエッセイを読んでいたからでしょう)。あるいは、ジャズという憧れ的な響きにより20代の頃、企業の運営する多目的ホールなるものを担当していたときにジャズ・コンサートのイベントも企画したことがあります。
正直言ってウンチクが先行し音楽自体も決して単純でわかりやすいとは言えないジャズですが、中山氏は人間である以上、話せばわかるというのと同じように、ジャズも音楽である以上聴けばわかるのであきらめないことと言っており、特定のミュージシャン、あるいは特定のジャズ・レーベルを中心に世界を広げていくことが、もっとも合理的かつジャズの真髄に触れるための近道とこの本には書いています。で、中山氏の結論としては、幾度の音楽的な変遷を遂げたマイルス・デイビスを聴けばいいのだと。ジャズを聴くことのプロがそう書いているので、なんとなく説得力もあるような気もします。読み終えて再びジャズを聴いてみようかななんて思ったりする日々です。
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