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■日時:2009年5月9日(土)、16:00~
■劇場:新橋演舞場
■作:鶴屋南北
■出演:中村福助、市川染五郎、市川段四郎、中歌昇、中村錦之助、他
鶴屋南北の歌舞伎「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」を新橋演舞場で観てきました。最近は遅まきながらも歌舞伎の魅力をボクなりにそれを発見し、それを観にいくことが増えてきました。劇場に行く前に、ある程度事前に知識を入れておいた方が、今のボクのレベルでは楽しめることがわかりました。
このお芝居の場合はその見所は、「お染の七役」とあるように、女形が“早替わり”で七つの役を演じるところ。今年の3月に観た同じく鶴谷南北による「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」(このお芝居も早替わりがありました)でも思ったのですが、早替わりの素早さのみならず舞台のソデに引っ込んだと思ったら後方の花道から登場するなど、その舞台裏はどうなっているんだろうと思わせる仕掛けのすごさです。常識的な判断っではこの短時間では無理じゃないのだろうかと思わせればそれはもう舞台の勝ちです。一体どうなっているんでしょうか?ボクなんぞは、替わるぞ、替わるぞとわかっていてもやっぱりその転換の芸に見惚れてしまいます。完全に術中に、この場合南北のと言うべきなんでしょうか、とにかくはまってしまいます。どうもボクは“ケレン”に弱いみたいです。
そしてもうひとつの魅力、“悪婆“と称される毒婦・土手のお六と鬼門の喜平衛です。小梅莨屋の場から瓦町油屋の場は、下世話で間抜け、欲望剥き出しでかつオドロオドロしく、ボクなどは無条件で引き付けられるところです。まがまがしいというか胡散臭いというか、そうしたカオスのような中でこそ光る心意気というのかな、そうしたものには日本版デカダンスの美学のようなものを感じます。この発展形が「東海道四谷怪談」になり、それらが随所に見られるように思います。
とにかくもヤンヤヤンヤの喝采を送りたいのですが、反面、登場人物と物語の展開がややわかりづらい部分があったなと感じたのも事実です。
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