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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鏡花幻想譚への接近#81・・・漫画「高野聖」(杲栄順)を読む

2010-10-13 | 泉鏡花
派手なピンクの地の色に泉鏡花の絵、書店の文庫本のコーナーで直ぐに目がいき本を購入、漫画版泉鏡花の「高野聖」であります。最近は文学作品を漫画にしたものをよく見かけます。流行っているのでしょうね。その鏡花の名作を漫画にしたのは杲栄順という作家、名前を聞いたことがないのでネットで調べると漫画家になるために滋賀から上京、書店でアルバイトをしているという記事を見つけました。まだ若い作家ですが、泉鏡花にチャレンジするとはなかなかのもんです。まだ、ネットで検索する限りではこの「高野聖」しかヒットしないので今後に期待したいです。

というのも、絵のタッチはボクの好みではないのですが、漫画自体はなかなかよくかけているんじゃないのかなと思ったからです。小説をどう読み込みビジュアル化させるかです。「高野聖」の場合は若き修行僧の心情、葛藤をいかに共感が得られるように持っていくのが必須なのですが、それがうまく表現されているように思いました。修行僧は孤家のお嬢の放つエロティシズムに翻弄され全てを投げだそうとするのですが、その辺りの男の葛藤、つまり男が女に抱く幻想のようなものを甘酸っぱい感覚で描いていました。それが共感できました。

ただ鏡花の小説も同じなのですが、どうして孤家の女が人間から妖術を使う魔性の女になっていったのか、その辺りの原因がよくわからないのも事実で、漫画でもそれは同様でした。もしかしたら人間であったのは爺さんの作り話で、もとから人間ではなかったのかも知れません。そんなことを考えさせなくもない女の子変容ぶりなのです。年もとらないというのですから。でも、そうしたことをこの「高野聖」で問うていくのは野暮ってものなんでしょうね。鏡花の文学は感じるものに違いないのですから…。



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