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【cinema】『恋するベーカリー』(試写会)

2010-02-16 00:21:00 | cinema
'10.02.09 『恋するベーカリー』(試写会)@朝日ホール

yaplogで当選。いつもありがとうございます。チラシなどのベーカリーに並んだパンがおいしそうで、大人の恋愛モノもいいだろうってことで応募。見事当選した。

*ネタバレありです。やや辛口かも?

「敏腕弁護士の夫の浮気が原因で離婚して10年。3人の子供の手も離れ、それぞれ家を出た。今では全米No.1に選ばれる人気ベーカリーのオーナーとして充実した毎日を送るジェーン。でも、どこか満たされない日々。そんな時、別れた夫と再会して…」というあらすじだけ読むと、しっとりとした大人のラブストーリーに思えるけれど、これはコメディーで、しかもかなりドタバタ。メリル・ストリープとアレック・ボールドウィンにスティーブ・マーティンが絡むというので、軽いタッチながらも大人な感じを期待したのだけど、違ってた(笑) なので、これはあくまで娯楽作品で、ドタバタ・コメディーだと思って見るべき。そう思って見れば、さすがに皆上手いので、楽しく見ることが出来る。

何故わざわざR15なんだろうと思ってたんだけど、始まりから終わりまで、かなりエッチのことばっかりだった(笑) 息子の卒業式に出席するため滞在したニューヨークのホテルで、偶然元夫のジェイクと再会して、酔っ払った勢いでそうなってしまうのは知ってたし、それをきっかけに揺れ動いてしまうのも知ってた。でも、まさかそのことばっかりとは(笑) イヤ別にいい年してとか言うつもりはないし、いつまでたっても愛し合う関係はいいと思うけど、もうサカリか?というくらいスゴイわけです(笑) アレック・ボールドウィンのメタボぶりからしても、そういう"いい年して"部分も笑っちゃおってことなんだと思うけど、スゴイです(笑)

日本人が慎ましやかなのか、アメリカ人がオープン過ぎるのか分からないけど、最近よく映画の中で、独身中年女性達が集って、恋愛談議を繰り広げ、セックスの重要性を語り、自分の性生活まで赤裸々に語り合っているシーンを見かけるけれど、海外の人はこんなに赤裸々に語るものなんだろうか。下ネタなんてはしたない!と思ってるわけじゃないし、全く話さないってことはない。でももし、この人達の近所になってしまって、お茶に呼ばれて、毎回この感じなんだとすると、ちょっとキビシイかなぁ(笑) でも、ちょっと前に『セックス・アンド・ザ・シティ』が話題になったことを考えると、日本でもこの感じはあるのかな。ドラマも映画も未見なのでよく知らないけど(笑) まぁ、ここは自立して成功している女性が、恋愛も手に入れたいと貪欲に生きる感じや、何でもオープンに話せる友達もいるということを描いているってことなんだと思うので、まぁ深く考えないこととする(笑)

『恋するベーカリー』という邦題から、もう少しこじんまりとしたパン屋さんの話なのかと思っていたら、全米No.1ベーカリーで、カフェ・スペースも併設されてて、スタバみたいな感じ。なのでジェーンはパン屋さんというより経営者。週に何日かカウンセリングに通い、まぶたが被ってきたので美容整形を考えたり(結局しないけど)、子供達が出て行った広い家を増築する計画を進めている。自立した女性の充実した毎日で、結構セレブ。だからというわけではないけれど、年齢的にも、結婚14年で離婚して10年という感じにも、自分の生活と被る部分がほとんどない。だから人生の先輩として参考になればと思ったのですが… ちょっとドタバタだった(笑) でも、多分ドタバタしたコメディーの中に、家族愛とか、女性の自立なんかを描きたいのかなと思うけど、そこに描かれている"家族愛"についても、全然重いものではなくて、今は別れて別の道を歩んでいる両親を、子供達は受け入れているし、それぞれを父親として母親として愛している。だから特別問題があったわけでもない。なので、父親と母親がよりを戻したことに対して戸惑ってはいるけど、それによって波風が立って家族が再生する話でもない。そもそも冒頭から社会的地位を得ているジェーンの成長物語でもない。では一体何って感じですが(笑)

正直、監督がホントに描きたいことが何なのか分からなかったのだけど、作りたかったのはコメディーなんだと思う。そういう意味では楽しめた。ジェイクは離婚の原因となった浮気相手と再婚している。ジェイクよりかなり年下のラテン系美女。離婚したのに煮え切らないジェイクと別れ、別の男性との間に男の子が生まれた後、ジェイクと再婚。ジェイクの子供を欲しがっている。不妊治療の病院と、ジェーンがまぶたの手術の相談にやって来るクリニックが同じビル内にあって鉢合わせとか、コメディーにありがちなご都合主義的な部分が気になるし、そもそも元夫と密会するなら、娘が披露宴(ってアメリカでも言うのかな?)するホテルを使うなよ、というツッコミは一切なしで(笑) そこを気にしてしまうと、全く成り立たない。これはあくまで娯楽作品という意味でのドタバタ・コメディーなので。もちろん、全然バカにしてないです! そういうジャンルの映画であるというだけ。だったらそういう作品だと思って見ればいいので、そういう意味ではホテルのロビーでのドタバタはすごく面白かった。披露宴の打ち合わせをしている長女と婚約者。そこへジェイクが現れチェックイン、婚約者のみ気づき驚いていると、ジェーンがやって来てジェイクの部屋へ。長女に気づかせまいと奮闘する婚約者の姿が笑える。部屋ではジェイクが、持病の薬の副作用で倒れてしまう。医師が2人の部屋に駆けつける姿を見てビックリする婚約者。ジェイクは無事に意識を取り戻し、医師に下ネタで応対する2人。ロビーに戻って来て、インフォメーションの女性に親指を立て、笑顔で去っていく医師、安堵する婚約者。この場面は笑えたけど、笑えるシーンのほとんどは、ほぼこんな感じなので、こういうベタなドタバタ感が苦手な人は、ダメかもしれない。

正直、この映画から得るものは何もなかった(笑) おもしろかったけど下ネタばかりで食傷ぎみ。ジェイクのキャラがちょっと・・・。ドタバタ・コメディーとしてはアリなキャラだけど、50代の敏腕弁護士が、全米No.1ベーカリー経営者となったジェーンとよりを戻したい理由が、エッチが良かったっていうだけに見えてしまう。もちろん、若く気の強い妻が、子供が欲しくてキリキリしている姿より、家事も完璧で、仕事もバリバリこなし余裕のあるジェーンに魅力を感じるのは理解できる。この妻との浮気が原因で離婚したのだから、ジェーンと家族に未練があっても、おちゃらけた態度でしか接しられないのも分かるけど、その感じはせいぜい30代前半までにして欲しい気がする。ジェーンが「私は夫婦であることを諦めていたけど、あなたは違っていたのかも」と言うシーンがあるので、ジェイクの浮気にはジェーンが妻であることより、母であることを優先したからなのかなと思うけど、母であることを優先するのは当然だし、育児でやつれた妻よりも、若い女が良くて、その若い女と結婚してみれば、付き合っていた当時みたいに自分を慕ってくれなくて、家事も未熟でうんざり。子育ても終り、完成された元妻が良く思えて、よりを戻したいというのは、あまりにも身勝手じゃないかと思う。まぁ自分は妻になったことも母になったこともないので、あまり偉そうなことは言えませんが・・・

この、いつまでたってもチビッコ魂なジェイクは、多分若い頃はモテたんでしょう。だからジェーンに対する口説き方もイケメン風というか、自分カッコイイ前提。でも実際はメタボオヤジ。そんな感じも笑っちゃおうってコトだと思うんだけど、この役よく考えるとヒドイ(笑) エッチの相性と元夫という情以外、ジェイクのどこに惹かれて揺れるのかよく分からない。でも、あくまでバカ映画として見れば、愛すべきバカキャラ。もちろんホメてます。ジェーンがアダムにクロックムッシュをふるまいイイ感じなのを覗くシーンがベタで笑える。ジェイクに対して登場するのがジェーンのリフォームを担当するアダム。2年前に離婚し、その傷が癒えていない彼は、ジェイクとは正反対で女性に対して奥手。50代の男性に奥手っていうのもどうかと思うけど、とにかく真面目。おもしろ味はないかもしれないけれど、穏やかに暮らせる気がする。何度もジェーンに打ち合わせの時間を忘れられても怒らないし(笑) このアダムをコメディアンでもあるスティーブ・マーティンが演じているってことも、ひねりなんだろうと思う。パーティーでハッパを吸って、ジェーンと2人ハイ・テンションになるシーンは楽しかった。でも、ここでやり過ぎていないから、ジェイクのダメさが生きてくるので、この演技は見事。その後、ジェーンの店へ行き、チョコクロを作るシーンはすごく好き。ここはとってもロマンティック。アダムとの関係は穏やかでゆったりとしたもの。2人は結局精神的なつながりのみ。肉体的なつながりのジェイクには彼の好きなお肉料理の豪華ディナーを用意する(結局食べないけど)のに、アダムにはクロックムッシュとチョコクロなのも良い対比となっている。この2人のキャラは精神的な愛なのか、肉体的な愛なのかということなんだと思う。

キャストはジェーンにメリル・ストリープ、ジェイクにアレッグ・ボールドウィン、アダムにスティーブ・マーティンとかなり豪華。ちょっと、このドタバタ・コメディーにはもったいないかなという気もするけど、3人やっぱり上手いので、この映画にも多少なりとも奥行きを見出せたんだと思う。って、なんかホメてるのか、けなしてるの分からない感じになってるけど、ホメてます(笑) アレック・ボールドウィンは何故この役引き受けたんだろう(笑) ジェイクの魅力がどうにも分からなかったんだけど、おちゃらけなければ元家族に接しられないんだろうと思えたのは、アレック・ボールドウィンのおかげ。まぁ、ドタバタ・コメディーなので、むりやりそんなところ拾わなくてもいいのかもしれないけれど。スティーブ・マーティンが良かった。真面目でサエないアダムを好演。失礼ながら、少し物足りなさは感じるかもしれないけれど、この人と結婚したら穏やかに暮らせるんじゃないかと思わせる。ジェイクの下品行動のおかげで彼を傷つけてしまったジェーンが、アダムとやり直したいと謝りに来たシーンでの、毅然とした態度も良かった。そして何より前にも書いたハッパのシーンの適度なハイ・テンションぶりが見事。

メリル・ストリープはさすがに上手い。映画版『マンマ・ミーア』は未見だけど、元人気歌手で、父親の分からない娘がいるドナ役には合っていないと思っていた。何より父親候補の3人に、今でもほのかな恋心を抱かせるタイプに思えない(失礼) でも、この映画のジェーンは魅力的。ちょっとドタバタしている部分はあるし、ジェイクに揺れ動いてしまう気持ちは若干理解しきれない部分はあるけれど、それでもイライラしなかったし、なんとなく説得力を持たせてしまうのはさすが。

うーん。原題は『It’s Complicated』で"混乱"とかいう意味らしい。なので、たぶん自分でもビックリな状態ってことなんだと思う。自分でコントロールできない気持ち。そういう意味ではドタバタ・コメディーとして混乱してたので、そのまま納得という感じ。何度も書くけど笑えたし、楽しめた。正直、得るものは何もないけど(笑) 『恋するベーカリー』という邦題からオシャレな感じの映画を想像すると、ちょっと違うかも。ベーカリーほとんど出てこないし(笑)

ということで、あくまで娯楽作品であり、ドタバタ・コメディー(下ネタあり)として見たら楽しめる。ホメてます。


『恋するベーカリー』Official site

コメント (13)
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