’08.03.22 「川瀬巴水展 東京風景版画」鑑賞@江戸東京博物館
川瀬巴水は以前この博物館で催された展覧会で初めて見てファンになった。日本の風景を描いた版画家だけど、西洋画の影響を受けたタッチが美しくてすごく好きになった。こちらも大好きな鏑木清方に弟子入り後、版画家として活動。すべて1人でこなすのではなく、巴水が絵を描き、彫師が彫り、摺師が摺るという伝統的な木版画法をとったらしい。これは浮世絵の技法と同じ。
常設展の中の第2企画展示室で公開。あまり広くないので点数も少ない。なので、描かれた場所の現在の写真と比較したり、原画と比較したりと工夫した展示となっていた。
「麻布二の橋の午後」など当時の美しい面影は今ではどこにもない。コンクリートに覆われた無機質な中に、わざとらしい装飾があったり人工的で味気ない。それに比べて版画の中の情緒ある風景が素晴らしい。それを写し取る筆力もすごいけど、繊細でかつ大胆な構図も素晴らしい。しっかりとした色合いと、版画特有のぼかしを利用したグラデーションや、淡い色使いが美しい。
有名な「芝増上寺(雪)」は原画と比較がある。雪の降りしきる境内を和服姿の女性が傘をさして歩く。風があるのか前傾姿勢。真っ白な雪景色の背景に重量感のある増上寺の建物の朱が映える。そして女性の姿がいいアクセントとなっている。原画もとても美しいけれど、版画になるとそれぞれの線がはっきりとして、色の濃淡が際立つ。好みの問題はあるけど、やっぱり巴水は版画の人なのだと思った。
「新大橋」「上野清水堂」などは原画と試摺り、本摺りもしくは、色の濃さや色合いを変えた変わり摺り(だったかな?)と比較して展示。試摺り、本摺りとの間で試行錯誤が感じられて楽しい。中には変わり摺りの方が好みの作品があったりして楽しい。「桔梗門」「二重橋の朝」などが美しかった。
川瀬巴水の版木は戦時中に多くが焼失してしまったのだそう。本当に残念。浮世絵とはまた違うモダンさがあって美しくすごく好き。ちょっと点数は少なかったけど見に行ってよかった。常設展のチケットで見れるのでお得かも。
常設展の写真↓
★川瀬巴水展 東京風景版画:4月6日まで
川瀬巴水展 東京風景版画(江戸東京博物館HP)
川瀬巴水は以前この博物館で催された展覧会で初めて見てファンになった。日本の風景を描いた版画家だけど、西洋画の影響を受けたタッチが美しくてすごく好きになった。こちらも大好きな鏑木清方に弟子入り後、版画家として活動。すべて1人でこなすのではなく、巴水が絵を描き、彫師が彫り、摺師が摺るという伝統的な木版画法をとったらしい。これは浮世絵の技法と同じ。
常設展の中の第2企画展示室で公開。あまり広くないので点数も少ない。なので、描かれた場所の現在の写真と比較したり、原画と比較したりと工夫した展示となっていた。
「麻布二の橋の午後」など当時の美しい面影は今ではどこにもない。コンクリートに覆われた無機質な中に、わざとらしい装飾があったり人工的で味気ない。それに比べて版画の中の情緒ある風景が素晴らしい。それを写し取る筆力もすごいけど、繊細でかつ大胆な構図も素晴らしい。しっかりとした色合いと、版画特有のぼかしを利用したグラデーションや、淡い色使いが美しい。
有名な「芝増上寺(雪)」は原画と比較がある。雪の降りしきる境内を和服姿の女性が傘をさして歩く。風があるのか前傾姿勢。真っ白な雪景色の背景に重量感のある増上寺の建物の朱が映える。そして女性の姿がいいアクセントとなっている。原画もとても美しいけれど、版画になるとそれぞれの線がはっきりとして、色の濃淡が際立つ。好みの問題はあるけど、やっぱり巴水は版画の人なのだと思った。
「新大橋」「上野清水堂」などは原画と試摺り、本摺りもしくは、色の濃さや色合いを変えた変わり摺り(だったかな?)と比較して展示。試摺り、本摺りとの間で試行錯誤が感じられて楽しい。中には変わり摺りの方が好みの作品があったりして楽しい。「桔梗門」「二重橋の朝」などが美しかった。
川瀬巴水の版木は戦時中に多くが焼失してしまったのだそう。本当に残念。浮世絵とはまた違うモダンさがあって美しくすごく好き。ちょっと点数は少なかったけど見に行ってよかった。常設展のチケットで見れるのでお得かも。
常設展の写真↓
★川瀬巴水展 東京風景版画:4月6日まで
川瀬巴水展 東京風景版画(江戸東京博物館HP)