memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

ファストファッション考

2014-07-27 10:54:58 | BOOK
もう、書評だけで内容もわかるような・・・。
そしてもう、共感するしかない内容。肝に銘じたい。

2014年7月20日書評欄より。

「ファストファッション クローゼットの中の憂鬱」エリザベス・L・クライン著
鈴木素子訳 春秋社 2376円
Elizabeth L. Cline 米国の作家・編集者。雑誌「ニューヨーク」などに執筆。

 今や私たちの日常生活を覆い尽くしている、「ファスト」な消費文化。規模の拡大と、時間やコストの削減とを至上命令として、その伸展は留まることを知らない。とりわけ目を引くのは、H&MやForever21、ZARAなど世界規模で展開する格安ファッションチェーン(ファストファッション)だ。これは「問題の多い現代の消費文化の縮図」と著者は述べる。
 ファストファッションが普及し、衣料品の単価が安くなるのに反比例し、購入点数は増加の一途を辿っている。アメリカでは、過去20年間で国民1人が年間に購入する衣料品の点数は倍になった。それにともない、繊維ごみの量も約10年間で4割増加したと言う。日本も他人事ではない。
 近年ファストファッションの生産拠点は中国やバングラデシュなどに移されているが、繊維産業に用いられる殺虫剤や合繊染料などの有害物質は、現地の大気や水質を汚染している。下請け工場は厳しい納期やコスト削減を強いられ、労働環境は劣悪だ。近年ダッカの衣料品工場が崩落事故や火災を起こし、多くの死傷者を出して問題視された。メ―カ―、アパレル企業、そして消費者の間に横たわる物理的・文化的な隔たりこそが、これらの悲劇の遠因であると著者は指摘する。
 先進諸国の消費者たちは、消費の社会的意義に気付きつつある。リサイクルや手作りなどスローファッションや、現地工場の労働者の待遇まで気を配るエシカル(倫理的)消費への関心の高まりは、この証左であろう。本書の魅力は消費者目線から懺悔に満ちた買い物遍歴が忌憚なく語られる点にもある。著者はかつてファストファッション中毒患者だった。安価な服の魅力に抗うことは大変に難しい。自宅は洋服であふれ、日常的に身につけるのは、そのうちたった4%程度。おかしい?
 そう思ったら見直してみるべきだ。評者も・・・頑張る。

評者は水無田気流氏(詩人・社会学者)
  




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