memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

雨の曲

2019-09-05 08:41:34 | MUSIC
夏が終わると季節の変わり目のお約束で秋雨前線が。

そんな雨を感じながら聴きたい曲をご紹介。

1964年東京生まれのpianist鈴木美奈子さんが、2019年6月28日の朝日朝刊「リレーおぴにおん」のコーナーで
「雨にうたえば」と称してご紹介くださったものの中から。

子供のころから雨の音も匂いも好きで、わざわざ窓を開けて味わったことも・・とおっしゃる鈴木さん。
2006年録音のCD「Piano Pieces From Finland」でフィンランドの作曲家3人によるピアノの小品24曲を
二十四節気にあてはめるという試みの中で8曲目の「穀雨」に選んだのがシベリウスの「即興曲」。

高音から低音に流れる音形を初めて聴いたとき、雨が降りしきるように感じたとか。
楽譜も音符が右肩上がりに並び、図形としても天からのシャワーのよう、とはさすが、弾く人ならではの感想。

もう一曲は、ブラームスのバイオリンソナタ第1番「雨の歌」
シューマンの妻クララに深い敬愛を寄せていたといわれるブラームス。
「雨の歌」には彼女への思いがあふれ出ているところと、それをのみこむようなところの両方を感じるとか。
「どんなに悩ましかっただろう」と想像してしまう。昔は弾くだけで幸せな曲だったけど、今になると色々考えます。
と。

宝塚歌劇の若手演出家の中でも才能が突出していると思われる上田久美子氏の「翼ある人々」(2014年宙組)が
ちょうど、このシューマン夫妻とブラームスの微妙な関係と当時の音楽地図を描いた傑作なのですが、
この「雨の歌」の解説を読みながら、この曲は実際にこの作品の中で使われていたかしら、などと思いを馳せてしまいました。
「翼ある人々」はキャスティングも素晴らしく、今はもう同じキャストでの再演はかないませんが、時々思い出す心に残る作品でした。