雨、27度、88%
19年前、香港はイギリスから中国に返還されました。イギリスの統治下と現在と何が変わったのかと思います。イギリス人の高官がいなくなって、確かに中国寄りになっていますが、住んでいる人たちに何ら変化が見られません。返還前、まるでなにかに憑かれるようにカナダやオーストラリアへ移住して行った人たちもその土地での市民権を得るや香港に帰って来ていると聞きます。香港人は逞しい、そう思うのは私ばかりではないはずです。昨日の新聞で、中国に返還されたこと、つまり中国籍を持ったことを好もしく思っている香港人は3分の1にも満たないと書かれていました。この人たちを側で見ていると、確かにそう思います。自分たちは中国人では無いという意識が何処そかに見え隠れしています。よそ者の私等から見れば、中国人も香港人も同じですが、頑として自分たちは香港人なのです。善し悪しは別として、私はそういう香港人が好きです。
ありがたいことにこの香港にイギリス統治下から30年近く住んでいます。狭い土地に何らかの活路を見つけて生活していく香港人、住む所は香港ばかりではありません。ここがチャンスと思う所に自由に動きます。おそらく海外留学をする人は日本より多いかもしれません。イギリス統治下であったばかりでなく、こういう海外経験の多い香港人は、明らかに中国人とは違うかもしれません。そうはいっても中国の近年の経済成長力には追従しています。
私が香港に来た当初は、日本が好景気の時代です。日本人観光客が旗を立てて団体でやって来た時代です。当時は、有名ブランドのお店は、日本人向けの商品を揃えていました。日本のゴールデンウィークの前ともなると商品の品揃えが良くなります。今や中国人向けの品揃えです。有名ブランド自体が中国を意識した商品を作っているようにすら感じます。そういう旗色を読むのは得意な香港人、この土地が面白い歴史を持っているのと同じように住んでいる香港人も面白い気質の持ち主です。
30年近く上り続けている香港島東のマウントパーカー、昨日早朝の景色です。 九龍半島東側のこの景色は昔とは違います。山の緑が美しく、海鮮料理で有名なレイユウムンに行くのも小舟でした。それが今では高い高いマンションが建ち、道路が張り巡らされています。 南シナ海を望むこの景色だけは変わりません。いろいろな思いを胸にこの山に登り、この南シナ海の拡がり行く景色に心を洗われました。昨日は、上る途中で大雨、この後ズカッと晴れ上がりました。
見出し写真は香港島の中心部です。ビルの高さは上に上に伸びています。マカオに向かうフェリーが小さく見えます。長く住んだもんだわ、と大きく深呼吸をします。結局、外面は変わっても、土地も人も変わってはいないのだと妙な安心感が胸に拡がりました。