曇り、27度、88%
私は九州の福岡の生まれ、育ちです。要するに南方、リンゴが木になっているのを見た事がありません。テレビの映像では見ています。それを実際に見たと思い込みかねない、けど、見た事がありません。リンゴは北国の果物です。その反対にみかんは南国の果物、福岡から西に車を走らせれば玄界灘を見渡せるミカン山があります。5月にでもなれば白い花をつけて辺一帯、柑橘系の花の甘い薫りが拡がります。もちろん小さい頃は知人の家でみかん狩りをしました。みかんを傷つけないようにどの辺りから枝を切るのか知っています。
香港は一年中リンゴもオレンジもあります。リンゴは秋から春にかけては北半球アメリカ、フランスから入って来ます。春からは南半球、オーストラリアが主流です。毎日リンゴを欠かしません。フランスから入って来るガラ種の小ぶりなリンゴは半分に切ると種から根が出ています。種を見ると土に植えたくなります。毎年その根の出た種を小さな鉢に蒔きました。必ず芽が出ます。必ず5センチ程は伸びてくれます。そしてある日急に元気が無くなって枯れてしまいます。それを毎年毎年凝りもせずに続けて来ました。
2年前にまいた3つの種、どれも10センチ程まで伸びました。秋に蒔きます。昨年の夏は家の中の陽当たりのいい所に取り入れました。我が家は夏中、クーラーが付いています。少しでも北国環境を作ってやろうと思います。年が開けてぐっと気温が低くなった頃、外の出窓に出しました。そして5月も終わる頃、また家の中にいれました。その時分、3つのうちの2つが葉をすっかり落として枯れてしまいました。1本だけまだ元気です。細い細い幹です。20センチはあります。 古い葉っぱの間から新芽が開きました。
日本よりずっと南の香港です。リンゴの木なんてないと思います。随分以前に花市で日本の姫リンゴの盆栽を売っていました。欲しいなと思いましたが、リンゴは北国のものだと諦めました。
「私は真っ赤なリンゴです。お国は寒い北の国。」で始まる「リンゴのひとりごと」という童謡があります。私が小さい頃には、リンゴは木箱に籾殻の中に入れられて寒い北国から送られて来ました。籾殻からのぞく赤いリンゴの様子が忘れられません。東京にいた時分もリンゴの木を見たことがありません。商業価値のあるリンゴの南限は茨城県だそうです。いつかはリンゴが木になるのを見たいものです。
我が家のフランスのガラリンゴから芽を出したリンゴの木、細い細いリンゴの木です。この夏も暑い香港の家の中でクーラーで涼みながらリンゴは育ちます。