曇、29度、84%
もう20年以上、5月から香港では五月法国といって、フランスの様々な文化を紹介するフェスティバルがあります。フイルム、演劇、音楽、食文化に至るまで、しかも3か月近くも続きます。年々、内容も充実して来ました。会場が香港のみならずマカオも含まれるようになりました。今年の絵画の展覧は、中国フランス国交50周年を記念してマカオの美術館で行われています。パリの幾つかの美術館から出展された12枚の絵がかかっています。規模にしては香港より遥かに小さいものです。その12枚の中の一枚、どうしても見たい絵がありました。それで、マカオまで行く事にしました。
香港からマカオまではホバークラフトで1時間ばかりです。なんだか国内旅行のようですが、香港もマカオも中国の特別行政区です。国境を超えなくては行けません。要するにパスポートは必要です。香港マカオは行き来の多い地区ですので、それぞれのIDカードを持っていれば、カード一枚で出入りできます。その上、香港ドルはマカオで通用するので換金の必要もありません。
そう何年ぶりのマカオでしょうか、今のようにカジノがたくさん出来てからは一度も行っていません。20年ほど前は月に一度は訪れたものです。香港と違って、当時のマカオはのんびりとした空気が流れていました。建物も低く、時間の流れまでもがまるでポルトガルのようです。それに、ポルトガルから冷凍ではいって来るイワシを買って帰る楽しみもありました。
フェリー乗り場の周りも様変わりしています。美術館までバスで行くつもりです。うっかりしていました、マカオは広東語、ポルトガル語が公用語で、ついで北京語、英語が通じます。バスの運転手さんに私の下手な広東語で確かめて乗ったにもかかわらず、バスを乗り換えることになりました。それでも10時少しすぎには美術館に。やれやれ。
まだ10年ぐらいの新しい建物です。入館料はたったの5パタカ。 香港よりも安い、70円ぐらいです。常設展も、フランスからの絵もみることが出来ます。静かな美術館です、絵をみている人は私を含めてたったの3人。
ルーブル美術館、ベルサイユ宮殿、オルセー美術館、ポンピドーセンターからの出展です。私が見たかったのは、 マチスの椿のある景色です。いつみても、マチスの赤には元気をもらいます。ポンピドーセンターからのこの絵は初めてみるものです。
モネやルノアールは、もう何度かお目にかかっています。たった12枚の絵、静かな美術館、いい時間です。私と入れ違いに入って来たのは、10人ほどの幼稚園児、続いて、中学生の一団。静かな美術館が俄に活気づいて来ました。
絵を観るだけで、香港に帰ります。家にはちょっとお腹を壊した人が、いえ、モモさんが待っていますから。小さな旅でした。