宇宙に人類を送り込むという壮大な目標に向けて
アメリカとソ連がしのぎを削っていた時代、
トイレ、バス、給水機、図書館・・・あらゆるところで
非白色人種という扱いを黒人は受けていた。
それは、NASAにおいても同じ、
そんな時に、もちまえのバイタリティと才能、反骨精神を持って
未来を切り開いた三人の黒人女性の物語。
ソ連がスプートニク打ち上げに成功し、
アメリカはあせりの色を濃くしていた。
黒人女性ばかりが集められた西計算グループからも
急遽、有能な人材をかき集めることになり、
3人の内、キャサリンはその中枢部へ、メアリーは
技術部へと移動。前任者の代理をしていたドロシーは
いよいよ管理職を任されると期待したが、
上司は「いなくても回っているから大丈夫でしょう」と
ドロシーのがんばりを評価しない。
移動先で、メアリーは「技術者になる気はないか」と進められるが
「黒人で、ましてや女性の自分がなれるはずがない」と。
それを聞いた上司は「何を言ってる俺は国を追われたユダヤ人だぞ・・・」と
彼女にエールを送る。
一方、キャサリンは自分の力を認めてもらえて
期待していたNASAの中枢で仕事ができると思っていたが、
そこもやはり非白人のお前が何をしに来たんだ
という目で見られるところだった。
最初の仕事は検算の仕事、しかも大事な数値には
墨消しがされており「形式だから」と言われる。
それでも、仕事をこなすキャサリンだったが困ったことが起こった。
この建物には非白色人用のトイレがないのだ。
次から次へと検算の為に積みあがるフォルダー、
ついに、そのフォルダーを抱えて
800m離れたかっての職場まで走ることになる。
スプートニクに続いて、ガガーリンの快挙に追い詰められた
責任者のハリソンは「残念な発表が二つある。
一つはこれから今まで以上の残業をしてもらう。
もう一つはそれが給与に反映されないということだ」と中枢部の
職員に告げる。
それぞれの仕事が増える中、相変わらず墨消しの検算を
させられていたキャサリンは墨消しが光にかざすと
透けて見えることに気づき、その数値でちゃんとした検算を行おうとする。
そして、墨消しの中から「アトラス」の文字を読み取り、
黒板に書かれたレッドストーンの出力計算のグラフをみつめる。
やおらに立ち上がった彼女は移動式のはしごを上り、
アトラスロケットとレッドストーンの出力計算の結果を記述し、
グラフに現れた、アトラスロケットなら周回軌道に人間を送り込める
結果に丸をつける。
それをみたハリソンは彼女を呼び出し、最初にかけた言葉は
賞賛でなく「きみはソ連のスパイか」という台詞だった。
「なぜ、アトラスロケットのことを知っている計算の数値はどこから・・・」
期待と違う扱いにまごつきながら「墨消しを光にかざしました」
「数値は」
「前後の文から推測して」
あきれたような納得したような顔をしてハリソンは言う、
「君はソ連のスパイではない。行ってよし」
その後、彼女は大事な計算を任されるようになり、
ついに、大事な会議に潜り込めるようになる。
その席で、着水地点の範囲の割り出しはいつ出来るというハリソンへの
質問に、ハリソンは仕方なさそうにキャサリンに
「キャサリン頼む」とチョークを手渡した。
黒板に数値を口ずさみながら計算式を書き進め
その場所を割り出したキャサリの手際に一番の賞賛を送ったのは
ジョン・グレン。このことは後の重大時に大きな意味を持つことになる。
エールを送られたメアリーは家族の反対を押し切って
技術職の申請を出すが、資格が足りないと受理してもらえない。
足りない資格とは、黒人が入学を許されたことがない学校での
講義の受講だった。
あきらめきれない彼女は今度はその学校での受講が認められるよう
裁判所への嘆願という形にその戦いの場を移すことになる。
管理職への申請を受理されないドロシーは
IBMが巨大な計算機を搬入したという情報を仕入れると、
いち早く、町の白人専用図書館に行き、
専門書をこっそり借り出してきた。
その日から、彼女のコンピューターオペレーターが
自分達の未来だと信じる努力が始まる。
また、長々と2/3ぐらいのあらすじを書いてしまったが、
ここからが結構楽しめるし、
書かなかったエピソードもある。
自分が痛快だと思ったのが
キャサリンの訴えの翌日、
ハリソンが白人、黒人が別れて見守る中での行動。
そしてその後の捨てゼリフ。
歴史に残る出来事なので、その結果は歴然としているが
その影にこんな話が隠れていたんだなぁと・・・。
タイトルからそれほどシリアスな話とは思わず、
半分コメディっぽいのかなと思っていたので
ハードルは下げていた。
観て損はない映画だと思いますよ。