僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

時  間

2020年11月15日 | ケータイ小説「パトスと…」





留美子、大丈夫? そろそろ疲れてきたんじゃない?
ううん、思ったより着物は平気だけど、草履がちょっとね

そうだよな、普段そんな牛みたいなの履かないし
何よ牛って、足が太いって事?

ち、違いますよ、指が割れてるって事
それじゃ足袋はいてる人はみんな偶蹄目ってことだね

あははは、でもたまにこうやって和服で歩くのものいいもんだね
うん、全部で5000円だったし、辰雄なんか3500円だったしね

レンタル屋さん、結構流行ってるから競争だね
明日返せばいいってすごく良くない?

ゆっくり着替えも出来るし、うちに帰ってからア~レ~ってゆうのもできるし
辰雄ってホントにばかだ、時代劇見過ぎ


何か時間がゆっくり動いてるみたいだね
う~ん、みんなそうゆうけど、時間って何なんだろう

はいはい留美子さん、そんなに真剣に考えないの
真剣でも無いんだけど、時間はそれぞれの人になかにあるような気がするんだ


人の中にあるんじゃさ、バラバラで困るでしょう
それぞれが感じるものだから、みんな一緒に合わせなくていいのよ

何時に待ち合わせって出来なくなっちゃうよ
それは大丈夫なの、時計の時間とそれを感じてる自分は別だから



パラレルワールドみたいな事?
ちょっと違うかな、どっちかって言うと量子かな

それは魚獲る人じゃない、あのぅほら何とかのネコでしょ
そうそう知ってたんだ、シュレディンガーの猫


理科は好きだけど、それはついて行けない、量子コンピューターも意味ワカランし
そうゆうのは私も全然分からないけど、時間ってひとつじゃ無い気がする


バスが来ちゃったからもう帰ろうか
うんと温かくしてさ、今日はゆっくりの時間のままでいたいね


留美子!
ん、突然なに?辰雄

俺いまちょっと分かった気がする、時間の事

留美子は一瞬辰雄の顔をのぞくように見た
そのまま前を向くと、ちょっと微笑んでつないだ手に力を入れた。。





















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