僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 再会(さようなら)

2009年01月11日 | ケータイ小説「パトスと…」
ひとしきり泣くと留美子の顔が浮かんだ。
笑っていた。

「違うよ辰雄君、助けてもらいたくて行ったんじゃない。逢いに行ったの」

そう言っていた。

鎌倉で紫陽花に囲まれた洋館を見上げながら「留美子が好きだ」と言った時、留美子は「知ってる」と答えた。あの写真の笑顔だ。
「ねぇねぇ辰雄君」と言いながら腕を絡ませてきた。その時の顔だ。

笑ってはじけている留美子が好きだった。実際、留美子はいつもそうだった。

そうだ、留美子は辰雄に会いに来たのだ。別の世界に旅立つ前に、辰雄のことを思い出して挨拶をしに来たのだ。


いつになるか分からないけどいつか留美子の世界に行った時、虫を振り払ったことをあやまろう。
それから「サンキュー」って言おう。ほんの一瞬だったけど一緒の時代を同じ場所で過ごせたことが嬉しかったよと言おう。
それからもう一度、今度は顔を見て

「留美子のことずっと好きだった」って言うんだ。

あの世で再会できるかって?できるに決まってるさ、あの世ってそうゆうところだよ。


こんなにいっぱい出るのかと思うくらい涙がとどめなく溢れてまくらをぐしょぐしょにした。
でもきっと留美子は言うんだろうな。

「うん、知ってるってば辰雄君」って。

















コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「パトスとエロス」 知らせ | トップ | それが何? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ケータイ小説「パトスと…」」カテゴリの最新記事