僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

蓮池にて…③

2009年07月20日 | その辺の木や花です
あぁこんな事を繰り返しているといつか地獄へ行く事になるかも知れない。
少し弱気になりかけた時、今の男に出会ったのです。

最初に誘ったのは女でした。

ホテルの受付で小窓の老女からカギを受け取り部屋に入ると、焦る男をなだめながら一緒に服を脱ぎました。
シンプルな黒い下着から匂ってくる女の体臭に男は一層いきり立ちました。
なかなか外れないホックをあきらめ男はブラの上から女をもみました。

洗面台に2人の姿が映ると女はうぅんだめぇと身をよじり、恥ずかしがる振りをして見せました。
バスルームに入る前に照明を少し暗く落としました。
だって恥ずかしいんですものとうつむいてみせました。

そうか、と男が後ろから抱きすくめ首筋を吸いました。

扉を閉めようとした時、どこから来たのか小さな虫が一匹レールを横断中で挟まれそうになりました。

女は陰部をまさぐる男の手を押さえながら虫が行きすぎるまで扉を閉めずに待ってやったのでございます。


虫なんて大嫌いな女がなぜそんなことをしたのか。そしてその女がその後どうなったか、貴方なら分かるかも知れませんね。





そんな出来事も蓮の池からはすっかり見えていたのでございます。

しかし蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着致しません。
その玉のようなうす桃色の花は、御釈迦様の御足のまわりに、ゆらゆら萼(うてな)を動かして、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。

もう午に近くなったのでございましょう。
このお話もそろそろお仕舞いにいたしましょうね。

その辺に転がっているよくあるお話し、だからどうということもない只のお話しでございました。










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