◎2024年2月14日(水)
城里町赤沢駐車場(9:40)……赤澤富士(10:00)……鶏足山手前三角点(10:20)……鶏足山山頂(10:28)……護摩焚石(10:30)……鶏石(10:36)……三角点戻り(10:58)……ミツマタ群生地入口(11:04)……雷神神社(11:20)……焼森山・鶏足山登山口(11:31)……こだま岩(12;14)……焼森山(12:19)……駐車場分岐(12:34)……駐車場(13:01)
半端に過ごした学業を終え、働き始めた頃のはるか昔の話。職場の仲間たちと焼肉屋に行き、定番の肉やらモツを食べ、イレギュラーの豚足までいったところで、仲間の一人が「モミジって食べてみないか。おいしいらしいよ」と言い出し、それもいいなと皆同意で注文した。酒の勢いもあったろう。そのまんまの姿で大皿に盛られて運ばれてきたモミジを見て酔いも醒めかかった。「ちょっとこれは…」と言いつつ鉄板にのせたはいいが、箸を出す者はいない。結局、目障りだからと、ほとんど食べずに空いているイスの上に皿を置き、視界から外した。自分にもあまりにストレートで美味には程遠いような姿に食欲は失せた。話は飛ぶ。以来、山歩きにしても、鶏頂山、鶏冠山、鶏鳴山、鶏岳と登ったことはあっても、鶏足山だけは意識的に避けてきた。目に入った、グロにも思える光景の記憶は忘れることはない。蛇足になるが、ここでトサカもいっしょに注文していたら、黒川鶏冠山に行くこともなかったろう。
鶏足山にはミツマタの群生地があるらしく、そのせいか、ここのところ、ミツマタの咲き具合を下見に行った記事をよく目にする。ミツマタそのものには興味はないが、よく記事を読むと、鶏足山が楽しいかどうかは別にして「良い山だ」という感想の書き込みがほとんどだ。じゃ、行ってみるかとなった次第だが、本当のところでは富士山を見に行きたかったが、山梨方面は残雪が多いらしく、まして、路面の凍結もあるようなので、鶏足山で間に合わせたといったところもある。
この鶏足山は栃木百名山になっているようで、本来なら茂木町側から登るべきだろうが、地図を見る限りは林道だか車道歩きが長そうなので、茨城側の城里町から登るオーソドックスなコースにする。赤沢駐車場までは自宅から2時間もかからなかったが、その大半が高速で、平日ゆえに2,500円の高速代は痛かった。帰りは50号をずっと走って負担半分にしよう。それはともかく、平日なのに駐車場には20台ほどの車があった。「良い山だ」の証のようで、地元ナンバーがほとんどのところからして、イメージ的に、うちの近所では太田の金山、桐生の吾妻山、足利の両崖山といったところだろうか。ミツマタの下見を兼ねたハイカーも多かろう。
家を出た時は3℃だった。その前の犬の散歩でも寒かった。暑くなる予想はわかっていても、駐車場到着ですでに12℃になっている。用心して厚手と薄手のフリースを持って来ていたが、風も無いので、薄いフリースにした。車の中では、厚いフリースとアノラックを着ていた。この薄手とて、赤沢冨士で手袋ともに脱いだが、シャツ一枚ですら、下山まで汗をかき、手拭いをかなり濡らした。
相変わらずに前置きが長い。後は手短にあっさりと記したい。元より、特別なコースを歩いたわけではなく、むしろ、GPS軌跡を見ると、無駄な歩きをしているようにも思える。言い訳になるが、これは、持参した地図の歩道以外にやたらと分岐した道があり、これでいいのかなと思いながらも標識と置かれたイラスト地図板を頼りに歩いていた。だから、肝心な見るべきところは通ってはいないかもしれない。
(赤沢駐車場)
(駐車場から。鶏足山なのか、それとも三角点峰だろうか)
(駐車場の先に置かれた案内図。帰路は、ここに表示の「町道中ノ沢」に出ることになるが、このハイキングマップではハイキングコースも極めて単純な歩きになっている)
(最初は緩く歩く)
(次第に傾斜はきつくなる)
(中宮跡。看板だけなら置かなきゃいいのにと思った)
(ゼーゼーの登り)
(赤沢冨士に到着)
(赤沢冨士を過ぎた小ピークから鶏足山)
430.5mという標高が低い分、歩きは楽かと思っていたが、ヒノキ(ここはスギではないと思う)の林に入ると斜度が増した。「浅間神社中宮跡」という看板があった。そこは平地でもなく、それらしき跡形は確認できない。あるのは看板だけ。由緒も何も記されていない。間もなく石祠が置かれた赤沢富士。ここまで20分。駐車場の案内板には20分とあったから、コースタイムどおりで、いささか残念な気持ちになった。駐車場から自分よりも遅れて出発した単独女性に抜かれなかっただけでも救いだ。この赤沢富士だが、地図上ではこの先にちょっとした340m程のピークがあり、そこが赤沢冨士とばかりに思っていたが、石祠があったのはその手前下で、先でピークに出たが、そこには山名板も標識も何もなく、高く迫った鶏足山が正面に見えるだけだった。
(林道をまたぐ)
(この存在意味がよくわからなかった)
林道(実は「町道」であることを後で知った。以下同)を横切る。「富士ヶ平十字路」とある。地図には、ここまでの歩道は線にはなっていないが、実線が横切ってはいる。そのまま登って行くと、<筆界基準国調>と記された、境界抗らしきものが置かれ、この先でもいくつか見た。初めて見るもので、後で調べたが、自分の頭ではよく理解できかねた。
(三角点ピークかと思う)
(期待もしていなかったが)
(やはり…だ)
(賑やかな標示)
(三角点峰だった。三角点標石は右下)
(ここにあった茂木町作の案内板。茂木町設置であるからして、ミツマタや焼森山は記されていても、北側の鶏石なんかは省略されている。ちなみに、北は右で、地図読みに慣れたつもりでいても少々混乱する)
(これに合わせて県境尾根を北に下る)
傾斜が緩くなって富士山展望地。御大は見えない。この先で左から道が交わる。そちらの標識には「健脚コース入口林道へ358m」とある。地図で確認すると、そんな歩道線は記されていない。ここの標識には「鶏足山375m」ともあるが、358m、375mの細かい表記には感心する。この先にも地図にもない「ぐしヶ峰」やら「富士が平山」だのの分岐があり、例えば尾根通しとかであれば、地図を見ながらの想像もつくが、そうではないから、地図記載の道は頼れず、あちこちに設置された標識に合わせて歩くのが無難のようだ。
三角点設置ピークに到着。さっきまで人の声が聞こえていたがだれもいない。この三角点が鶏足山のピークではないらしい。三角点標石はあるものの、山頂は「見晴台(弘法大師の祠)」として260m先になっている。焼森山に行くには、一旦、ここに戻る必要がある(と思っていた)。ここもまた富士山展望地になっている。ここには、茂木町が設置したマップ図もあり、それによれば、三角点のあるこの場所に「現在地 鶏足山」と書き込まれている。まぁどちらでもよい。鶏石を見るには、どうせ先に行かねばならない。
(三角点からの下り。逆光ゆえ下ってから見上げて撮った)
(多少のアップダウンがある)
(鶏足山のピークらしい)
(山名板もある)
(眺望は良かったが、低山の山並みで、自分に確認できるのは日光連山だけだった)
(これは東側かと思うが、筑波山は見えなかった)
雪の残った腐りかけの階段を下る。そして登り返してピーク。鶏足山の山名板と弘法大師の祠があった。展望はなかなか良い。日光の白い山並もクリアではないが見えている。ここの山頂はさほど広くはない。惜しいのは、二人連れがいたこと。先ほど聞こえた話し声の方々だろう。山頂の写真を撮ろうとしても、二人の姿が入り込んでしまう。どうせ、また戻って来るから、その時に改めて撮ればいいやと鶏石に向かうが、戻って来ると、今度は単独のオッさんが入り込んでしまった。
(護摩焚石)
(よそ者には並柳と記されてもわかるわけがない)
(鶏石)
下ってすぐ左手に護摩焚石。その先は下っては登るを繰り返して鶏石。その手前に「並柳」という所に下る標識があった。後で知ったことだが、この並柳はミツマタ群生地のあるところらしい。そんなことは知らないし、部分的にコピーした地図を見ても、そんな地名はない。せめて、標識にミツマタ群生地と添え書きして欲しいところだ。それはさておき、鶏石は鶏の姿に似ていなくもないといったところだろうか。これを見たくて鶏足山に来たようなもので、ミツマタなんかは自分にはどうでもよく、次は焼森山しか頭にない。
(三角点に戻る。下りでは感じなかったが、初心者にはきつい登りかもしれない)
(再び戻った鶏足山で。一人きりにはなれない山頂のようだ)
(弘法大師さまで我慢)
鶏石を眺めていると、その先の左下からの道を登って来る女史がいた。もちろん、地図にそんな道はない。この先に何があるのかと聞くと、下っても何もなさそうだったので戻って来たとのこと。見るべきものは見たので鶏足山に戻ることにしたが、先行したその女史は、並柳への標識を下って行った。この辺にお住まいの方だろうか。結論を先に記すと、この界隈には地図にない道やらコースがやたらとある。それが証拠に、自分の歩いたルートのほとんどが実線でも破線路でもない。これでも標識頼りに歩いている。それすらなかったら、地名も知らずでは、茂木町側の登山口に出て、延々と車道歩きをする羽目になりかねない。
(三角点から焼森山に向かう)
(右にミツマタの小径の標示があったので入ってみる。どんどん下ることになって、その成果もなく、後で後悔する)
(小径? はしっかりした歩道。これも地図には載っていない)
鶏足山三角点に戻った。ここから町境(つまりは県境)の尾根を南西、北西に行けば焼森山に行けると思ったし、そちらに向けて焼森山の標識もあった。道はしっかりしている。少し行くと、右に向けて「ミツマタの小径」の標識があったのでそちらに入ってみる。ミツマタには興味がないとはいっても、せっかく来たのだし、遠回りして焼森山に行ってもいいだろう。ミツマタはともかく、雷神神社というのを見てもよいかなと思ってはいた。確か、ここを下るはずだった。
(ミツマタ。花は開いてもいない。芽だけ)
(日当たりでもこれだ)
(ミツマタの状況はこれでいいだろう。特に咲き具合に興味もなかった。歩道を下る。寒くなった)
どんどん下ると、林道じみた道になった。陽があたらず寒くなった。周囲はスギ林で、花粉症の人にはこれからつらいかも知れない。これがミツマタの小径なのだろうか。まだツボミが固そうなミツマタが出てくる。結構続く。盛りの時は、好きな方には見ほれて足が頻繁に止まるだろう。一応、写真は撮ってみたが、薄暗いから、まともに撮れた写真はない。
鶏足山を下って来てからは茂木町設置の案内看板になっている。それを見ると、すでに第2群生地は終わり、焼森山雷神神社に近づいている。
(鳥居が見えた)
(これが雷神様かと思うが)
(ちょっとがっかりして雷神穴にでも寄るか)
(近づいてみたが、こういう洞窟はどうしても卑猥に見える)
林道脇右に鳥居が見え、「雷神穴」の標識があった。行ってみる。鳥居をくぐると、神社というのもおこがましいほどの石の社があった。その右上に岩の間に穴があり、あれが雷神穴かと思うが、それよりも神社が気になり、さらに奥に行ってみたがヤブっぽくなっていて、見慣れた形の神社にたどり着ける気配もなく、戻って、穴を見ただけ。穴そのものは卑猥な感じがした。中に入りはしなかったが、2mくらいの高さのようだ。
(ミツマ群生地の出口はここらしい。雷神神社まで320歩とある。さらに一方通行らしく、ここは「入口」とありながら、出口専用の標識があった。おそらく、盛りの時は混むのだろう)
(林道ゲート。これではわからないが、先で重機が動いている)
これが小径だったのかは確証はない。ミツマタ群生地はこの小径から右に入ったところにあるらしく、右に下り専用の出口が目に入り、雪に覆われた広場に出た。小屋のようなものが置かれ、その先は車両通行止めのゲートがあり、重機で何やら整備している様子が見えた。ネット記事で目にしたことがあったが、群生地には近くまで車が入れ、小屋で環境保全協力の名目で入園料を払うしくみらしい。工事人以外の人の気配はまったくない。
(ここから焼森山へ)
(意外にきつい)
(このへばりついたような岩場は見た目ほど苦もなく登れたが、今回一番の難所だったかも)
(難所を通ってほっとする)
ゲートを越えると、左手に焼森山と鶏足山に向かう「新ルート」と記された看板が倒れていた。踏み跡は明瞭だが、これまでの歩道に比べ、あまり利用者はいないようだ。正直のところきつかった。広場から焼森山までは150m以上は登らないといけない。まだ早いミツマタと冴えない雷神神社に下ってまでわざわざ見に行くことはなかった。登り返しながら後悔した。
(こだま岩。はて、どれ?)
(焼森山へ)
(焼森山山頂のようだ)
右からの細い道に合流して平らになった。ほっとしたのも束の間、さらに岩場の登りがあった。ここで二人ほどと出会ったが、いずれも自分とは逆方向の歩きだ。ようやく登り切ったようだ。あとは傾斜が緩い。ここにあったのが「こだま岩」。焼森山までは200mとある。この距離表示だが、前述のように、城里町側は几帳面だが、茂木町はアバウトのようだ。
どれがこだま岩なのだろうか。ワンコ連れで、紙巻タバコをうまそうに吸いながら休んでいたオッさんに聞いてみた。彼もわからなかったようだ。タバコの煙に、鼻がヒクヒクした。ここのところ山歩きにタバコは持って歩かない。持ったとしても、車内と山で吸うのは専らアイコスで、人がいないところでは紙巻を吸っている。よほどに、オッさんにタバコを一本恵んでもらおうかなと思ったほどだ。ライターだけは持ち歩いている。
(焼森山。だれもいなかった)
(下る。鶏足山方面に向かっている)
ほどなく焼森山に到着。だれもいなかった。ここも展望はよいが、鶏足山に比べれば劣る。ぼんやりと眺めていると、鶏足山の方からオバちゃんが二人登って来た。それを潮時に下る。さて、ここからどう行かせられるのか。まさかまた鶏足山に登ることになるのではないだろうな。おそらく、この道が、ミツマタの小径の分岐に続く道だろうことは想像がつく。だとすれば、また三角点に出ることになり、登った道を下ることになってしまう。それでは後味が悪くなる。駐車場直通道の分岐でもあれば助かるが。
(この標識ではわかりかねたが、奥に二重になった標識があった)
(これで安心したが、地元の人ならともかく、ここまで、勝手を知らない群馬からやって来た、地図にこだわる初ハイカーには戸惑う標識ばかりだった)
心配するまでもなく分岐があった。右に向けて「下小貫」。これではわからない。下小貫がどこなのか。よく見ると、もう一枚の標識があって、この少し先に鶏足山駐車場とあり、案の定、今度ははっきりと「赤沢駐車場」とあった。この間、さっきのワンコ連れのオッさんが鶏足山の方に向かって行ったが、こだま岩でミツマタの状況を聞かれていたから、てっきり、鶏足山からの下りとばかりに思っていた。これから鶏足山だとすれば、どこをどう歩いて来たのだろう。やはり、地元の方だろうな。
(葉も落ちているから、気持ち良く歩けた)
(ほどなく、向こうに見える林道に出る)
(林道歩き)
ほっとしてというか、同じ道を通らなくて済んでよかった。薄い灌木の中を歩いていると気持ちも良い。ずっと歩いていたい気持ちになったが、間もなく下に林道が見えた。林道の中の歩き、周囲はスギ林。焼森山の山頂から周囲を眺めていたら、下の林から、うっすらと黄色い煙のようなものが流れていた。あれは花粉だろう。やはり、このあたりは、花粉症の方には、つらいはず。ミツマタも見たいだろうが、クシャミ連発だろう。自分には他人事の話になるが。
(合流。手前から下って来た。登り時はフェンス沿いだった)
(咲きが遅いのだろうか。梅一輪。暑いくらいなのに花はこれだけだった)
(帰着)
駐車場に到着。車が増えている。山中では20人ほどと出会った。若い方はいなかった。きれいなトイレで汗ばんだ顔を洗う。メガネをかけたままだった。失敗。帰り支度。あとは延々と50号線で帰るだけ。鶏石山は特別に「良い山」といった感じはしなかったが、楽しめはした。ただ、くどいが、地図頼りで歩ける山ではないようだ。道さえ知っていれば、いろんなコースを歩けるようで、自分にも良い山になるだろう。少なくとも、その心境に至るには、あと数回は歩いてみてのことだろうが。
(今回の歩き)
この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
城里町赤沢駐車場(9:40)……赤澤富士(10:00)……鶏足山手前三角点(10:20)……鶏足山山頂(10:28)……護摩焚石(10:30)……鶏石(10:36)……三角点戻り(10:58)……ミツマタ群生地入口(11:04)……雷神神社(11:20)……焼森山・鶏足山登山口(11:31)……こだま岩(12;14)……焼森山(12:19)……駐車場分岐(12:34)……駐車場(13:01)
半端に過ごした学業を終え、働き始めた頃のはるか昔の話。職場の仲間たちと焼肉屋に行き、定番の肉やらモツを食べ、イレギュラーの豚足までいったところで、仲間の一人が「モミジって食べてみないか。おいしいらしいよ」と言い出し、それもいいなと皆同意で注文した。酒の勢いもあったろう。そのまんまの姿で大皿に盛られて運ばれてきたモミジを見て酔いも醒めかかった。「ちょっとこれは…」と言いつつ鉄板にのせたはいいが、箸を出す者はいない。結局、目障りだからと、ほとんど食べずに空いているイスの上に皿を置き、視界から外した。自分にもあまりにストレートで美味には程遠いような姿に食欲は失せた。話は飛ぶ。以来、山歩きにしても、鶏頂山、鶏冠山、鶏鳴山、鶏岳と登ったことはあっても、鶏足山だけは意識的に避けてきた。目に入った、グロにも思える光景の記憶は忘れることはない。蛇足になるが、ここでトサカもいっしょに注文していたら、黒川鶏冠山に行くこともなかったろう。
鶏足山にはミツマタの群生地があるらしく、そのせいか、ここのところ、ミツマタの咲き具合を下見に行った記事をよく目にする。ミツマタそのものには興味はないが、よく記事を読むと、鶏足山が楽しいかどうかは別にして「良い山だ」という感想の書き込みがほとんどだ。じゃ、行ってみるかとなった次第だが、本当のところでは富士山を見に行きたかったが、山梨方面は残雪が多いらしく、まして、路面の凍結もあるようなので、鶏足山で間に合わせたといったところもある。
この鶏足山は栃木百名山になっているようで、本来なら茂木町側から登るべきだろうが、地図を見る限りは林道だか車道歩きが長そうなので、茨城側の城里町から登るオーソドックスなコースにする。赤沢駐車場までは自宅から2時間もかからなかったが、その大半が高速で、平日ゆえに2,500円の高速代は痛かった。帰りは50号をずっと走って負担半分にしよう。それはともかく、平日なのに駐車場には20台ほどの車があった。「良い山だ」の証のようで、地元ナンバーがほとんどのところからして、イメージ的に、うちの近所では太田の金山、桐生の吾妻山、足利の両崖山といったところだろうか。ミツマタの下見を兼ねたハイカーも多かろう。
家を出た時は3℃だった。その前の犬の散歩でも寒かった。暑くなる予想はわかっていても、駐車場到着ですでに12℃になっている。用心して厚手と薄手のフリースを持って来ていたが、風も無いので、薄いフリースにした。車の中では、厚いフリースとアノラックを着ていた。この薄手とて、赤沢冨士で手袋ともに脱いだが、シャツ一枚ですら、下山まで汗をかき、手拭いをかなり濡らした。
相変わらずに前置きが長い。後は手短にあっさりと記したい。元より、特別なコースを歩いたわけではなく、むしろ、GPS軌跡を見ると、無駄な歩きをしているようにも思える。言い訳になるが、これは、持参した地図の歩道以外にやたらと分岐した道があり、これでいいのかなと思いながらも標識と置かれたイラスト地図板を頼りに歩いていた。だから、肝心な見るべきところは通ってはいないかもしれない。
(赤沢駐車場)
(駐車場から。鶏足山なのか、それとも三角点峰だろうか)
(駐車場の先に置かれた案内図。帰路は、ここに表示の「町道中ノ沢」に出ることになるが、このハイキングマップではハイキングコースも極めて単純な歩きになっている)
(最初は緩く歩く)
(次第に傾斜はきつくなる)
(中宮跡。看板だけなら置かなきゃいいのにと思った)
(ゼーゼーの登り)
(赤沢冨士に到着)
(赤沢冨士を過ぎた小ピークから鶏足山)
430.5mという標高が低い分、歩きは楽かと思っていたが、ヒノキ(ここはスギではないと思う)の林に入ると斜度が増した。「浅間神社中宮跡」という看板があった。そこは平地でもなく、それらしき跡形は確認できない。あるのは看板だけ。由緒も何も記されていない。間もなく石祠が置かれた赤沢富士。ここまで20分。駐車場の案内板には20分とあったから、コースタイムどおりで、いささか残念な気持ちになった。駐車場から自分よりも遅れて出発した単独女性に抜かれなかっただけでも救いだ。この赤沢富士だが、地図上ではこの先にちょっとした340m程のピークがあり、そこが赤沢冨士とばかりに思っていたが、石祠があったのはその手前下で、先でピークに出たが、そこには山名板も標識も何もなく、高く迫った鶏足山が正面に見えるだけだった。
(林道をまたぐ)
(この存在意味がよくわからなかった)
林道(実は「町道」であることを後で知った。以下同)を横切る。「富士ヶ平十字路」とある。地図には、ここまでの歩道は線にはなっていないが、実線が横切ってはいる。そのまま登って行くと、<筆界基準国調>と記された、境界抗らしきものが置かれ、この先でもいくつか見た。初めて見るもので、後で調べたが、自分の頭ではよく理解できかねた。
(三角点ピークかと思う)
(期待もしていなかったが)
(やはり…だ)
(賑やかな標示)
(三角点峰だった。三角点標石は右下)
(ここにあった茂木町作の案内板。茂木町設置であるからして、ミツマタや焼森山は記されていても、北側の鶏石なんかは省略されている。ちなみに、北は右で、地図読みに慣れたつもりでいても少々混乱する)
(これに合わせて県境尾根を北に下る)
傾斜が緩くなって富士山展望地。御大は見えない。この先で左から道が交わる。そちらの標識には「健脚コース入口林道へ358m」とある。地図で確認すると、そんな歩道線は記されていない。ここの標識には「鶏足山375m」ともあるが、358m、375mの細かい表記には感心する。この先にも地図にもない「ぐしヶ峰」やら「富士が平山」だのの分岐があり、例えば尾根通しとかであれば、地図を見ながらの想像もつくが、そうではないから、地図記載の道は頼れず、あちこちに設置された標識に合わせて歩くのが無難のようだ。
三角点設置ピークに到着。さっきまで人の声が聞こえていたがだれもいない。この三角点が鶏足山のピークではないらしい。三角点標石はあるものの、山頂は「見晴台(弘法大師の祠)」として260m先になっている。焼森山に行くには、一旦、ここに戻る必要がある(と思っていた)。ここもまた富士山展望地になっている。ここには、茂木町が設置したマップ図もあり、それによれば、三角点のあるこの場所に「現在地 鶏足山」と書き込まれている。まぁどちらでもよい。鶏石を見るには、どうせ先に行かねばならない。
(三角点からの下り。逆光ゆえ下ってから見上げて撮った)
(多少のアップダウンがある)
(鶏足山のピークらしい)
(山名板もある)
(眺望は良かったが、低山の山並みで、自分に確認できるのは日光連山だけだった)
(これは東側かと思うが、筑波山は見えなかった)
雪の残った腐りかけの階段を下る。そして登り返してピーク。鶏足山の山名板と弘法大師の祠があった。展望はなかなか良い。日光の白い山並もクリアではないが見えている。ここの山頂はさほど広くはない。惜しいのは、二人連れがいたこと。先ほど聞こえた話し声の方々だろう。山頂の写真を撮ろうとしても、二人の姿が入り込んでしまう。どうせ、また戻って来るから、その時に改めて撮ればいいやと鶏石に向かうが、戻って来ると、今度は単独のオッさんが入り込んでしまった。
(護摩焚石)
(よそ者には並柳と記されてもわかるわけがない)
(鶏石)
下ってすぐ左手に護摩焚石。その先は下っては登るを繰り返して鶏石。その手前に「並柳」という所に下る標識があった。後で知ったことだが、この並柳はミツマタ群生地のあるところらしい。そんなことは知らないし、部分的にコピーした地図を見ても、そんな地名はない。せめて、標識にミツマタ群生地と添え書きして欲しいところだ。それはさておき、鶏石は鶏の姿に似ていなくもないといったところだろうか。これを見たくて鶏足山に来たようなもので、ミツマタなんかは自分にはどうでもよく、次は焼森山しか頭にない。
(三角点に戻る。下りでは感じなかったが、初心者にはきつい登りかもしれない)
(再び戻った鶏足山で。一人きりにはなれない山頂のようだ)
(弘法大師さまで我慢)
鶏石を眺めていると、その先の左下からの道を登って来る女史がいた。もちろん、地図にそんな道はない。この先に何があるのかと聞くと、下っても何もなさそうだったので戻って来たとのこと。見るべきものは見たので鶏足山に戻ることにしたが、先行したその女史は、並柳への標識を下って行った。この辺にお住まいの方だろうか。結論を先に記すと、この界隈には地図にない道やらコースがやたらとある。それが証拠に、自分の歩いたルートのほとんどが実線でも破線路でもない。これでも標識頼りに歩いている。それすらなかったら、地名も知らずでは、茂木町側の登山口に出て、延々と車道歩きをする羽目になりかねない。
(三角点から焼森山に向かう)
(右にミツマタの小径の標示があったので入ってみる。どんどん下ることになって、その成果もなく、後で後悔する)
(小径? はしっかりした歩道。これも地図には載っていない)
鶏足山三角点に戻った。ここから町境(つまりは県境)の尾根を南西、北西に行けば焼森山に行けると思ったし、そちらに向けて焼森山の標識もあった。道はしっかりしている。少し行くと、右に向けて「ミツマタの小径」の標識があったのでそちらに入ってみる。ミツマタには興味がないとはいっても、せっかく来たのだし、遠回りして焼森山に行ってもいいだろう。ミツマタはともかく、雷神神社というのを見てもよいかなと思ってはいた。確か、ここを下るはずだった。
(ミツマタ。花は開いてもいない。芽だけ)
(日当たりでもこれだ)
(ミツマタの状況はこれでいいだろう。特に咲き具合に興味もなかった。歩道を下る。寒くなった)
どんどん下ると、林道じみた道になった。陽があたらず寒くなった。周囲はスギ林で、花粉症の人にはこれからつらいかも知れない。これがミツマタの小径なのだろうか。まだツボミが固そうなミツマタが出てくる。結構続く。盛りの時は、好きな方には見ほれて足が頻繁に止まるだろう。一応、写真は撮ってみたが、薄暗いから、まともに撮れた写真はない。
鶏足山を下って来てからは茂木町設置の案内看板になっている。それを見ると、すでに第2群生地は終わり、焼森山雷神神社に近づいている。
(鳥居が見えた)
(これが雷神様かと思うが)
(ちょっとがっかりして雷神穴にでも寄るか)
(近づいてみたが、こういう洞窟はどうしても卑猥に見える)
林道脇右に鳥居が見え、「雷神穴」の標識があった。行ってみる。鳥居をくぐると、神社というのもおこがましいほどの石の社があった。その右上に岩の間に穴があり、あれが雷神穴かと思うが、それよりも神社が気になり、さらに奥に行ってみたがヤブっぽくなっていて、見慣れた形の神社にたどり着ける気配もなく、戻って、穴を見ただけ。穴そのものは卑猥な感じがした。中に入りはしなかったが、2mくらいの高さのようだ。
(ミツマ群生地の出口はここらしい。雷神神社まで320歩とある。さらに一方通行らしく、ここは「入口」とありながら、出口専用の標識があった。おそらく、盛りの時は混むのだろう)
(林道ゲート。これではわからないが、先で重機が動いている)
これが小径だったのかは確証はない。ミツマタ群生地はこの小径から右に入ったところにあるらしく、右に下り専用の出口が目に入り、雪に覆われた広場に出た。小屋のようなものが置かれ、その先は車両通行止めのゲートがあり、重機で何やら整備している様子が見えた。ネット記事で目にしたことがあったが、群生地には近くまで車が入れ、小屋で環境保全協力の名目で入園料を払うしくみらしい。工事人以外の人の気配はまったくない。
(ここから焼森山へ)
(意外にきつい)
(このへばりついたような岩場は見た目ほど苦もなく登れたが、今回一番の難所だったかも)
(難所を通ってほっとする)
ゲートを越えると、左手に焼森山と鶏足山に向かう「新ルート」と記された看板が倒れていた。踏み跡は明瞭だが、これまでの歩道に比べ、あまり利用者はいないようだ。正直のところきつかった。広場から焼森山までは150m以上は登らないといけない。まだ早いミツマタと冴えない雷神神社に下ってまでわざわざ見に行くことはなかった。登り返しながら後悔した。
(こだま岩。はて、どれ?)
(焼森山へ)
(焼森山山頂のようだ)
右からの細い道に合流して平らになった。ほっとしたのも束の間、さらに岩場の登りがあった。ここで二人ほどと出会ったが、いずれも自分とは逆方向の歩きだ。ようやく登り切ったようだ。あとは傾斜が緩い。ここにあったのが「こだま岩」。焼森山までは200mとある。この距離表示だが、前述のように、城里町側は几帳面だが、茂木町はアバウトのようだ。
どれがこだま岩なのだろうか。ワンコ連れで、紙巻タバコをうまそうに吸いながら休んでいたオッさんに聞いてみた。彼もわからなかったようだ。タバコの煙に、鼻がヒクヒクした。ここのところ山歩きにタバコは持って歩かない。持ったとしても、車内と山で吸うのは専らアイコスで、人がいないところでは紙巻を吸っている。よほどに、オッさんにタバコを一本恵んでもらおうかなと思ったほどだ。ライターだけは持ち歩いている。
(焼森山。だれもいなかった)
(下る。鶏足山方面に向かっている)
ほどなく焼森山に到着。だれもいなかった。ここも展望はよいが、鶏足山に比べれば劣る。ぼんやりと眺めていると、鶏足山の方からオバちゃんが二人登って来た。それを潮時に下る。さて、ここからどう行かせられるのか。まさかまた鶏足山に登ることになるのではないだろうな。おそらく、この道が、ミツマタの小径の分岐に続く道だろうことは想像がつく。だとすれば、また三角点に出ることになり、登った道を下ることになってしまう。それでは後味が悪くなる。駐車場直通道の分岐でもあれば助かるが。
(この標識ではわかりかねたが、奥に二重になった標識があった)
(これで安心したが、地元の人ならともかく、ここまで、勝手を知らない群馬からやって来た、地図にこだわる初ハイカーには戸惑う標識ばかりだった)
心配するまでもなく分岐があった。右に向けて「下小貫」。これではわからない。下小貫がどこなのか。よく見ると、もう一枚の標識があって、この少し先に鶏足山駐車場とあり、案の定、今度ははっきりと「赤沢駐車場」とあった。この間、さっきのワンコ連れのオッさんが鶏足山の方に向かって行ったが、こだま岩でミツマタの状況を聞かれていたから、てっきり、鶏足山からの下りとばかりに思っていた。これから鶏足山だとすれば、どこをどう歩いて来たのだろう。やはり、地元の方だろうな。
(葉も落ちているから、気持ち良く歩けた)
(ほどなく、向こうに見える林道に出る)
(林道歩き)
ほっとしてというか、同じ道を通らなくて済んでよかった。薄い灌木の中を歩いていると気持ちも良い。ずっと歩いていたい気持ちになったが、間もなく下に林道が見えた。林道の中の歩き、周囲はスギ林。焼森山の山頂から周囲を眺めていたら、下の林から、うっすらと黄色い煙のようなものが流れていた。あれは花粉だろう。やはり、このあたりは、花粉症の方には、つらいはず。ミツマタも見たいだろうが、クシャミ連発だろう。自分には他人事の話になるが。
(合流。手前から下って来た。登り時はフェンス沿いだった)
(咲きが遅いのだろうか。梅一輪。暑いくらいなのに花はこれだけだった)
(帰着)
駐車場に到着。車が増えている。山中では20人ほどと出会った。若い方はいなかった。きれいなトイレで汗ばんだ顔を洗う。メガネをかけたままだった。失敗。帰り支度。あとは延々と50号線で帰るだけ。鶏石山は特別に「良い山」といった感じはしなかったが、楽しめはした。ただ、くどいが、地図頼りで歩ける山ではないようだ。道さえ知っていれば、いろんなコースを歩けるようで、自分にも良い山になるだろう。少なくとも、その心境に至るには、あと数回は歩いてみてのことだろうが。
(今回の歩き)
この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
私が仏頂山に行く際、ぶなじろうさんにチラリと見られたことは覚えていますが、あれからもう9年も経ったんですね。少なくとも今よりは元気だったようで、プチヤブ漕ぎも苦になりませんでした。予定では、場所を変えてそのまま鶏石山に行くつもりでいたのですが、さすがに疲れてやめました。その時の写真を見直すと、吹田Pに春日部ナンバーのハイゼットが写っていました。
鶏足山の山頂についてはよくわかりました。案内板を見ながら不可思議に思っていました。弘法大師のお堂はそのままの位置だろうし、山頂はそちらに持って行ったのでしょうね。
ぶなじろうさんは、あちら方面の地理にお詳しい。駐車場にハイキングマップの箱はあったものの、中は空でした。せめて地元マップがあったら、少しは歩きも変わったろうにと思うと残念です。
この山に関しては、思い出深いものがあります。それは、たそがれオヤジさんを見かけたことです。たそがれさんは、仏ノ山峠近くの吹田Pから仏頂山に向かわれたと思います。私は走る車の中からチラリとその姿を見かけていました。私は吹田Pに車を停めて、県境尾根を辿って鶏足山に登りました。そして、焼森山から(たそがれさんがどこにあるのか分からない)下小貫に下り、Pに登り返しました。
三角点峰にあった「三角点峰」の大きなプレートを良く見ると、「鶏足山」の文字が「三角点峰」の文字の下にうっすらと隠れているのが見えました。ノラさんも確認されていて、以前は三角点峰が鶏足山の時代もあったのだという事がわかりました。