たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

スッカン沢で滝めぐり。

2022年08月03日 | 近所じゃない栃木県の山
◎2022年7月31日(日)

駐車場(8:22)……素連の滝(8:43)……仁三郎の滝(9:04)……雄飛滝(9:40)……スッカン橋(9:52)……薙刀岩(9:57)……雄飛の滝線歩道・八方ヶ原線歩道合流(10:18)……咆哮霹靂の滝(10:26)……歩道合流点(10:59)……雷霆の滝(11:16)……歩道合流点(11:40)……スッカン沢(11:45)……スッカン橋(12:00)……休憩(12:04~12:27)……駐車場(12:53)
※時間は休憩タイムを除いてすべて滝の真下への到着時刻。

 那須塩原市にあるスッカン沢と桜沢の滝群は氷瀑見物の名所のようだが、氷瀑にはあまり興味がないから行ったこともなかった。存在だけはかなり前から知っていた。無雪季の滝と沢はどうなのだろう。調べると沢屋さんの世界らしい。いろいろと記録の写真を見ると、氷っていない滝も見ごたえがありそうだ。まして、ここのところ北関東に記録的短時間大雨情報が毎日のように出され、川の水量も豊富のはず。自分に歩ける滝見の在庫もないので行ってみることにした。
 予定としては昨日の土曜日だったが、栃木県北部では昼から大雨情報だったのでやめた。その時点で、翌日の日曜日に雨情報はなかった。ところが、土曜日の夕方になってから、予報は翌日の昼過ぎから大雨になってしまった。どうしようか迷ったが、天気次第で戻ることにして出かけた。行きたいと思った時に行かないと、時間が経てば忘れてしまうし、その気もなくなる。
 今はスッカン橋の先が通行止めになっていて、スッカン沢側の<雄飛の滝線歩道>と桜沢側の<八方ヶ原線歩道>をつなぎ歩きすることはできないようだ。東日本大震災と2019年の台風19号の影響で歩道が崩壊したのだろう。歩道がダメなら沢歩きで通すしかあるまい。ただの滝めぐりだ。スッカン沢から入れば桜沢の滝も含めて一回で済むものを、通行止めのおかげで二回に分けて歩くのは面倒な話だ。

(舗装県道にもあったが、駐車場から少し行くと、おしらじの標識。滝は南に面している。日差しは左から。樹林の中の歩きでは薄暗くなる。初っ端から言い訳)


(おしらじの滝。薄暗いが、水流があったのは幸いだった。ここに上から飛び込んでまとめて2名亡くなった事故があったらしい。滝つぼは深いようだ)


(上から。光があたらずに深緑色)


 スッカン沢に行く前に<おしらじの滝>を観ておきたかった。この滝は滝つぼの色がコバルトブルーで深いらしい。滝の水流は気まぐれであったりなかったり。ここ数日の雨で、水流は確実にあるはず。予想はしていたが8時前で駐車場には車がなかった。ラッキーとばかりに滝見を一人で楽しめると喜んだが、これはむしろ事情を知らない愚かさで、光の加減で時間的に早過ぎた。滝は流れてはいたものの、撮れた写真は大方が暗く、三脚も持たずだからピンボケばかり。まして、滝つぼはコバルトブルーどころか深緑だった。戻りがてらに、重そうなカメラと三脚を持ったオッサンに出会ったが、この方も自分と同じで、おしらじの滝は初めてだったのではあるまいか。改めて帰りに寄るつもりでいたが、駐車場は満車で、人も多かったのでやめにした。

(「雄飛の滝線歩道」入口。「雄」の字が隠れてしまった)


(歩道とスッカン沢)


 スッカン沢遊歩道の駐車場にはすでに20台ほどあり、2、3台の空いたスペースがあった。犬連れのご夫婦のダンナが話しかけてきた。背中にヘルメットを括りつけていたから興味があったのだろう。「沢歩きとはいってもチョイ沢歩きですよ。ロープも持っていないし」。このご夫婦、先週もいらしたと言っていたが、歩道歩きは、立て続けに来るほどに楽しいところなのだろうか。
 橋を渡り、歩道入口の階段を下りると、すぐ右手にスッカン沢(正確には鹿股川だろう。橋桁にも鹿股川と記されていた)が歩道沿いに流れている。沢を眺めていて違和感を覚えた。いつもの感覚の流れと逆なのである。普通の沢歩きでは上流に向かい、流れに逆らって進むが、歩道の進行方向は下流に向かっているのだ。このいつもの感覚の違いに慣れるまで時間がかかった。実はこれ、桜沢も同じで南から北に流れている。ただ、スッカン沢とは逆向きに歩いたから、雷霆の滝に行く際にはまったく不自然さも感じなかった。
 歩道は、たまに倒木があったり泥濘部分もあるが比較的に歩きやすい。木陰になっていて、沢からの風が涼しい。もう帰る人もいて何人かと行き交う。ほとんどがマスクをしたままだ。平然とマスクを外して歩いている自分は何となく肩身が狭くなった。マスクそのものはザックのポケットに入っている。蒸れてうっとうしいだけだ。

(まずは素連の滝)


(ここを渉る)


(きれいな小滝)


(こんな岩壁伝いの流れがいくつもあった。これが素連の滝だろうか。ここだけが目立った)


(見上げて)


(流れの下もきれい)


(オッサンから教えてもらったスポットから素連の滝)


(戻りかけでスッカン沢。水は濁っているような)


(右岸の岩壁からは、簾状の滝が続いている)


 歩き出して20分ほどで「素連の滝」の看板があった(「素簾の滝」とも書くようだ)。ただ、ここからでは滝らしいものは見えない。名前からして岩壁から簾状に流れ落ちる滝かとは思う。下に降りて沢を渡る。流れは強く、浅瀬を選んだつもりでいたがヒザを越えた。この沢には「スッカンブルー」という色の例えがあるようだが、水は濁っている。
 対岸に渡ると、奥の岩壁伝いに幾筋もの流れが見えた。長靴を履いたカメラマンのオッサンがちらばって3人。滝の特定もできぬままにあちこちの写真を撮ってから、うちの一人に「素連の滝ってどれですか?」と聞いて教えてもらった。確かに、それだけが水流は強かった。遊歩道に戻ろうとしたら、もう一人のカメラマンのオッサンが「ここからの滝が最高だよ」と教えてくれた。オッサンは、今日はこの滝だけが目的で来たそうだ。おそらく常連さんだろう。「私のカメラはコンデジだし」と言ったら、「コンデジでも大丈夫だよ。手前の樹を入れた方がいいよ」と教えてもらい、その通りに撮ったが、果たしてこの構図が最高なのだろうかと思うようなものだった。ついでながらのことだが、オッサンから、雄飛滝を撮るには太陽の位置の関係から2時半がグッドだそうな。午後から雷雨予報だから、今日は撮れませんねと笑いながら別れた。カメラマンも、こう愛想の良い方ばかりならいいが、雄飛滝下に一人でいた若いカメラマンは陰険そのもので、何しに来たんだと言わんばかりの顔で見られた。挨拶しても返事はなかった。沢釣りをしている人にもこういうタイプがいる。楽しみを邪魔されたという気分は分からぬでもないが、かなり大人気ないと思う。

(続いて仁三郎の滝)


(滝は確かに見える。横から見ているだけではつまらない)


(沢に下る。大岩と倒木が美観を損ねる)


(右岸に渉って撮ったが、これでも邪魔者。あきらめ。この先に行ったら溺れる)


(歩道に戻る途中で。右岸側の上から)


(ずっと続いていた)


(歩道に上がる前に。仁三郎の滝。沢歩きをしない方にはこれが限界だろうか)


 遊歩道に戻り、次は仁三郎の滝。この滝、遊歩道からのけぞって見えはするが、大岩とそれにひっかかった倒木が滝の美観を損ねて見える。この下はちょっとした断崖になっていて、直に沢に下ることは出来ない。先に行くと、断崖が消えて緩く沢に出られそうなところがあったので下りてみた。何とか見られはしたが、やはり岩と倒木が入り込んでしまう。勢いが強く水煙が漂い、写真を撮るにしても、その都度にレンズを拭く始末。右岸側に渡ってもみたが、倒木の先に行くには腰越えの深さのようで、あっさりあきらめた。
 遊歩道に戻り、スッカン沢最後の名のある滝「雄飛滝」に向かう。遊歩道を歩く人が多くなってきている。やはりマスク着用者が多い。出発地点からスッカン橋まではなだらかな下り傾斜になっているのでマスク着用でも苦しくはないだろうが、確実に気温は上がっていて、午後から雷雨の予報の気配は感じない。見上げれば青空が広がっている。

(スッカン沢ラストの雄飛滝展望台)


(展望台からの雄飛滝。これでは半分も見えない。下は垂直の岩壁)


(少し下に行ってのけぞって)


(滝つぼ。正面から見られなきゃ価値も半分)


(岩壁垂れはまだ続いている。まさか桜沢からの伏流ではあるまい)


(あきらめ半分で歩道歩き)


(右手に踏み跡があったので行ってみる)


(スッカン橋が下流に見える。スッカンブルーも少しはきれいになったか)


(深そう)


(戻る形になったが、雄飛の滝下に出られた。ただ、右の大岩が邪魔だ。正面に行きたい。大岩の右手から下れそうだったが、カメラマンがいたので左から強引に沢に浸かった)


(雄飛滝。正面から。やはり2時半だったかなあ)


(戻る。置かれたザックはカメラマンのもの)


 雄飛滝展望台があった。ここからでは滝の上半分しか見えない。土留め用らしいワイヤーが延びていたのでそれを辿って、少し下に行ったが、滝下は見えるもののどうも半端だ。これ以上は断崖で下れない。これで満足しなけゃいけないのか。
 沢に下れそうなところを探しながら先に行くと、スッカン橋が見えるところまで来てしまった。橋の先は通行止め。ということは、沢に出ず、遊歩道だけを歩いている分には、往復2時間少々といったところか。沢の景色を眺めながら歩いているだけでもそれは楽しかろうが、沢歩きをして滝を正面に見たい方にはそれでは不満足レベルになる。
 橋の手前に、左岸の上流に向かう踏み跡があった。もしや、これを行けば雄飛滝の前に出られやしないか。踏み跡は明瞭で、振り返ればスッカン橋が見える。左岸側はやはり岩壁が続き、その下を通って行くわけだが、ロープが垂れているところもあり(つかまずとも上がれるが)、それを過ぎると、雄飛滝が正面に見えた。そして、件の若そうなカメラマンが一人いた。
 ここからでも十分だが、右手前の岩がどうしても邪魔になる。その岩の前に出たいが、カメラマンが陣取っていて先に行けない。仕方なく、岩の左を腰まで水に浸かって前に出た。すごい。轟音と漂う水飛沫は仁三郎の滝以上だ。少しばかり眺めていたが、身体が濡れ出したので、岩の後ろに戻りたい。カメラマンのいる側から戻った方が濡れずに済むのでそうしようとしたら、今度はカメラマンが「そちらに下りますけど」とぶっきらぼうに言うので、「こちらから先に上がらせてもらいます」と返事も待たずに上がった。オレが先に水かきしてまでも岩の前に行ったのが気に入らなかったのだろう。表情に出ている。何となく不快で、さっさとスッカン橋に向かった。

(スッカン橋で。この橋、直線に行って、右上に階段になっている。直線の終点で通行止めになっている)


(橋からのスッカンブルー。ここから雄飛滝は見えない)


(向こうから来て、このテープを越えた。ここにいた方は、掟やぶりにあまり興味も示してないようだった)


 通行止めで終点のスッカン橋では3人ほどスッカン沢を眺めていた。ここから雄飛滝は見えないが、右岸側の岩肌のあちこちから水が糸状に流れ落ちているのは見えるし、遠くから見る限りは、あれがスッカンブルーかと思われるきれいな淵もある。橋の終点には、黄色地に赤字で「立入禁止」と書かれたテープが派手に巻かれている。さてどうしようか。『雄飛の滝線歩道』のイラスト案内にはこの辺に「大木のカツラ」と「薙刀岩」が記されている。いずれもこの先にあるようだ。それくらいは見ても問題はあるまい。というのは表向きの勝手な理由づけ。自己責任云々ではない。立入禁止である以上は危険ゾーンなわけで、テープを越えて先に行っては行けないのだ。それは承知のこと。見たいのはカツラの木でも薙刀岩でもない。せっかくここまで来たからには桜沢の咆哮霹靂の滝と雷霆の滝も一緒に観ておきたいだけのことだ。ヘルメットをかぶり、テープを越えた。だれかに見られていたようだが振り返りはしなかった。

(階段を登っている。いきなりこうだった)


(廃れた階段を意味もなく登って下って、またバリケードだったが、この階段は「大木のカツラ」を見るための周回路だったらしい。まったく気づいていない)


(右手の岩の景観)


(そして、その先にあった岩壁。この時はこれが「薙刀岩」かと思っていたが、どこがナギナタなのかなとは<?>だった。)


(階段が上に見えたので下ったが、石ゴロで歩き方を間違えたようだ。階段はスッカン沢に下っている。本来なら、石ゴロに上がらずとも、沢沿いに歩いた方が正解で、ここから階段を登るようだった。スッカン沢をオニイちゃんが先行し、写真には写っていないが、ネエちゃんが離れて歩いている)


 通行止めにするほどにかなり荒れていた。木の階段は腐りかけ、穴が開いたり、落ちてきた大きな石が乗っていたり、ステップが消えていたりする。手すりはグラグラする。登って行くと今度は下降。また立入禁止のテープ。敷石が並んでいた。それも長くは続かず、道は消え、大きな石がゴロゴロと山のように積まれたエリアに入った。適当に歩くしかないがかなり歩きづらい。乱雑に積まれた石は不安定だ。右を見上げると、おろし金のようにギザギザした突起が続く岩壁があった。これが薙刀岩のようだ(実は違っていたが)。ということは、これが崩れて道を塞いだのか。薙刀岩のことは頭にあってもカツラの巨木のことはすっかり忘れていた。思い出したのは駐車場に戻って案内図板を見てからのこと。おそらく視界には入っていたろうが、最後まで意識もしなかった。
 上に階段が見えた。上がった。これもまともな階段ではない。なぜか階段はそのままスッカン沢に下っていた。休んで沢を眺めていると、腰まで水に浸かった二人連れが上流に向かって行く。この先、沢屋さんたちを随分と見かけた。どうやら沢屋さんの人気スポットらしいが、大方は経験者が初心者を指導しているようだった。

(身体を小さくしてトンネルをくぐれそうではあるが、左が崩れたらアウトだ。手前から巻いた)


(テープバリを越えると)


(桜沢沿いの歩道と合流した)


 階段の先には何もない。結局、戻って、脇に踏み跡が続いていたので入り込む。道だった。倒木が手すり付きのきわどい渡しに斜めに倒れて、これをくぐって行くのは危険。手前に巻きの踏み跡があって難なく越えた。あとは普通の道。目の前に立入禁止のグルグル巻きが出てきて八方ハイキングコース(前山八方ヶ原線歩道)に合流した。道標に咆哮霹靂の滝の文字はない。これを、表示された塩釜温泉バス停方面に行っていいものか迷ったが、それに合わせて手書きの滝名表示があった。ここでヘルメットをかぶったままだと沢屋さんに見られかねないので、ヘルメットは脱いだ。いろいろ話しかけられても困る。

 ほどなく滝が見えてきた。樹の下では二人連れが入渓の準備をしている。話しぶりからして、若い女性の方はハイ、ハイと丁寧に返事をしていたので、男性からの指南を受けているようだ。咆哮霹靂の滝は、左の大きな霹靂の滝と、右の出っ張った感じで丸い咆哮の滝を総称して言うらしく、おしらじの滝と同様に、普段は咆哮の滝はあまり水流がないようだが、今日は水が落ちている。まずは幅の広い霹靂の滝へ向かう。
 この滝の上はナメの広場になっているようで魅力はあるが、両滝ともに自分に登れるわけがない。その辺はわきまえている。強引に登ったとしても降りるに降りられない状況になる。霹靂の滝の右岸側途中に右に回り込んでいる小沢が目についた。この小沢を使えばもしかしたら上に出られるかもなんて考え、確認してみたかったが、まだ雷霆の滝が残っているし、今は晴れてはいるが、いつ雷雨になるかも知れず、雷雨が始まった時点ではせめてスッカン橋を渡り終えていたく、ここは我慢した。

(霹靂の滝)


(真下から。水流が強くなければフリーで登れそうな気はした)


(右側)


(左端の勢いは強かった)


(咆哮の滝。師弟関係が入り込んでしまった)


(フリーで下るならここを使える感じがしたが。あくまでもど素人の発想だ)


(目を離していたら、先生はここまで登っていた。後は楽勝だろう。写真を見て気づいたこと。滝の上には人の両足が写っていた。先に登った方が下を眺めていたのだろうか)


(去りがけに標識を入れて撮ってみた)


 霹靂の滝の下は大きな石がゴロゴロしていて、真下に行くまで手間取った。その分、豪快な滝を楽しむことはできたものの、横に大き過ぎて、広角レンズならともかく、コンデジに全体像を一枚の写真に収めるには無理だった。
 咆哮の滝に移動。こちらでは、さっきの二人連れが練習中。指導者はさっさと上にロープを垂らして登って行く。ネエチャンは下で指示待ち。こちらの存在は目障りだろうと、遠くから眺めていた。そこにヘルメットの単独オッチャンがやって来た。ロープを持っている。咆哮の滝に登るつもりで来たらしい。先客がいるのでは登りにくいのか、しばらく眺めていたが、スッカン沢に向かって行った。その後、2グループほどが加わり、霹靂の滝の方に行った。この咆哮の滝だが、フリーで自分でも登れそうな気がした。表面は専門用語で何と言うのか知らないが、凹凸が豊富だし、立っていられるところもある。問題は下りだ。ロープなしでは命がけかもしれないが、左側の細い水線の溝を使えば、左の岩の突起もつかむことはできそうだ。ただ一人ではやれない。まして、携帯も圏外だ。

(吊り橋は通行止め。吊り橋でなかったら渡ったかも)


(スッカン沢。肩透かしを食らったオッサンが右岸側を上流に向かっている)


(手前がスッカン沢。右から桜沢。合流して鹿股川なのだろうが、スッカン沢が本流のようだ。出発時の橋にも鹿股川とあったし)


(霹靂の滝に向かう沢屋さんグループ)


 さてどうしよう。暑くなってきて、沢の風は淀み、正直のところもう歩きたくなく、雷霆の滝はあきらめようかと思っていた。決断もつかぬままに咆哮霹靂の吊り橋でも渡ってみようかと思ったが、ここも通行止め。天気が崩れる様子はなく、手頃な理由も見つからず雷霆の滝に向かった。

(雷霆の滝へ。確かに山を巻いている)


(霹靂の吊橋)


(二つ目の橋? 左から流れ込む沢はナメになっていた)


 スッカン橋への分岐からダラダラと登りになった。汗が噴き出し、下着はすべて肌身にべったりとくっついている。たまらずにストックを一本出した。下って来たオッサンに雷霆の滝の滝までどれくらいかかるかつい聞いてしまった。この道は山を巻いていて、先に橋が二つある。その先が滝だとの返答だったが、具体的な数字は出してくれないので20分くらいですか?と聞くと、それくらいだとも言わない。結局は歩道合流点から17分だったから、オッサンと出会ってからは15分未満だった。
 橋が二つということだった。最初の橋は確かに橋。「霹靂の吊橋」。二つ目の橋は、これも橋にカウントするのかなと思いながら先に行くと雷霆の滝に着いた。夫婦らしき二人連れが休憩中だった。悪いことをした。オレの出現で腰を上げ、そそくさと咆哮霹靂の滝の方に向かって行った。

(霹靂の滝)


(左から)


(頭。これなら越えられそうな気がする)


(右から)


(このままナメになるのかなと思ったがそうではなかった)


 雷霆の滝はこれまでの滝と違ってナメの美滝だった。水音もサーっといた感じだ。深いところもなく、横切って反対側に出てみた。直瀑ではなく少しカーブ状になり、落ち口も平らになっている。後になって気づいた。暑さのせいで思考に余裕がなかった。落ち口を見ておくべきだった。スッカン沢の滝はともかく、桜沢の滝についてはいくつかの課題が残ってしまったから、いずれまた来ることになろう。おしらじの滝も時間帯を変えて行ってみなきゃいけない。今度は学校平からの歩きになるだろうし、スッカン沢までは回らない。

(流れ込むナメ沢。今日はここから見上げるだけで終わる)


(歩道合流点に戻る)


 戻る。反対側から来ると二つ目の橋のところに別沢が流れ込んでいて、それがナメ沢だったので少し入り込んでみた。今日は余裕もないので真下から眺めただけだった。次回来るとしたら少し歩いてみよう。そんなことを思いながら下っていると、桜沢を遡行する二人連れの姿が見えた。咆哮の滝を登っていた二人だった。
 遊歩道合流に戻る。もう暑くてバテかけている。通行止めの来た道を戻るのもいいが、ここはスッカン沢をスッカン橋まで歩いた方が涼しいかもしれない。最初に見かけた二人は腰まで浸かって遡行していたが、単独のオッサンは器用に深みに入ることもなく歩いていた。ズボンのポケットに入れていた物はすべてザックに入れ、ヘルメットを再びかぶる。

(改めて薙刀岩)


(スッカン橋に戻った。沢から上がる。下だけが写った樹が件のカツラかと思う。通行止めの階段がこの樹をグルリと回っていたし)


 あっけないものだった。時間にして15分もあったか。水を避けながら歩いたが、それもうっとうしくなり、わざわざ水に入り、もう濡れてもいいやと腰くらいのところも歩いた。涼しかったが、水流は強かった気持ちも良かった。ほどなく橋が見えたので、注意しながら橋の下に出た。これなら通行止め区間も問題はあるまい。ヘルメットを脱ぎ、何食わぬ顔をして橋に上がった。だれもいなかった。ズボンとシャツの下は濡れているが、この暑さでは乾かぬまでも水気も大分抜けるだろう。

(この橋そのものもいずれ通行止めではなかろうか)


 橋に突っ立っていたらどんどん人がやって来たので駐車場に向かう。やはりマスク姿が目立つ。中には、逆から来るノーマスクのオレを見てマスクをアゴ下から上げる人もいる。駐車場に戻りながら、犬連れやら、歩くのはもうヤダと泣く子をだます親御さんも見かけた。雄飛滝展望場で腰をおろして休んだ。ここにカメラマンが4人いた。滝はチラとしか見えない。先に行って右に行けば正面で見えるのにと思ったが、カメラマンたちは滝よりもスッカンブルーを楽しんでいる気配があった。菓子パンを食べ、アイコスを吸って立ち上がる。

(復路の遊歩道はやや登り基調になる。左に見えているのが雄飛滝の展望台)


(スッカン沢の流れ)


(光の加減か、スッカンブルーもすっきりしてきた)


(この辺になるとハイカーよりも手ぶらの行楽客が多くなる)


 天気予報ではそろそろ雷雨のはず。出発時のGPV気象予報でも、この時間、このあたりでは雨になっていた。見上げても雨雲は見あたらない。ジリジリと暑い中を駐車場に戻る。ストックをまだ使っていることに気づき、右から流れる沢で泥を流して収納した。河原では水遊びをしているファミリーがかなりいた。平らになっているから下流に流される心配はあるまい。

(階段を登って)


(駐車場)


 駐車場はいっぱいだった。左右の車も変わっていた。それどころか、駐車場に入りきらない車は入り口前の県道の路肩に並んでいる。こちらは天気予報に敏感になりながらの歩きになったが、ハイキングやら行楽目的の人にとっては、「今日は終日晴れ」なのだろう。
 スッカン沢の滝プラス桜沢の咆哮霹靂の滝と雷霆の滝はとりあえずは終えた。かかった時間は4時間半と短い。桜沢側の滝を含めてもっと探索してみたい気持ちがその都度に起きたが、天気予報に惑わされた。いずれ、紅葉を待たずとも、再訪するつもりでいる。前日に雨が降ったとかの、確実に滝の水量が多いだろう日に。

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