
◎2023年11月22日(水)
町営第一駐車場(8:43)……月居山(9:28~9:34)……鍋転山(10:10~10:23)……水根方面分岐(10:51)……車道に出る(11:39~11:51)……奥の滝山荘周辺(12:02~12:07)……袋田の滝分岐(12:20)……袋田の滝見物(12:47~13:11)……駐車場(13:24)
昨年11月16日に月居山に行った。こんなにきれいな紅葉に出会えるとは思いもしなかった。生瀬富士経由で行き、立神山から袋田の滝を見下ろすあたりもきれいだったが、月居山に至ってはその比ではなかった。これなら、来年もまた来ようと思っていた。
情報を集めていると、早いのか遅いのかよくわからない。人それぞれの好みの主観が入る。去年と同じ日の16日を過ぎても、アップされた写真には青葉が目立つ。そこそこに楽しめれば早くともいいかと22日まで待って行った。結果は正解で、欲をいえば、あと2、3日後が最盛かなと思ったりした。これは自分の七分赤好みの主観からで、27日に行った方のヤマップ記事の写真では山頂一面が濃い赤色に染まっていた。全山真っ赤というのも見ごたえがあるかもしれない。ちなみに、ぶなじろうさんも27日に行かれたらしい。
月居山だけでは物足りない。さりとて、去年と同じ歩きの生瀬富士経由では芸がない。今回は反対側に歩いてみよう。男体山まではとても無理だし、戻りが面倒になる。地図を見ると、途中に三角点峰があり、その山の名前は鍋転山というらしい。その先から水根方面に戻るルートがあるようだ。これにしよう。余裕があったら、さらに生瀬富士に向かってもいい。ここでいう「余裕」とは、体力的なこともさることながら、夜に仕事があるので、時間的な余裕も含めてのこと。
(出発。空は真っ青)

(「七曲り」とあるからクネクネしているのだろうか)

(滑ってズルズルする。泥濘もあった)

(なんだ…)

大子町の袋田の滝駐車場までは遠かった。宇都宮インターで下りて延々と一般道。自宅から3時間近くかかった。運よく町営第一駐車場は数台分空いていたものの、一旦入れた駐車スペースは狭っ苦しく、若干広そうなところに移動した。最初に入れたところの後ろには自転車があった。特に気にも留めなかったが、記憶には残った。この所有者と後で出会うことになる。
橋を渡って、月居山の標識に合わせて右に行く。集落は消えて山道。この山道が曲者で、あちこちでぬかるんで滑る。夜にでも雨が降ったのだろうか。嫌らしい道だなと思っていたら、登り半端に下りになり、林道のようなところに出た。舗装され、ガードレールまであるが車両通行止めだろう。その道をオジさんが下から登って来た。どこに起点があったのか、損した気分になった。オジさんに先行する。
(観音堂)

(この辺は色が淡い)

(いい感じになってきた)

(月居城跡の石碑)

標識に合わせて行くと、袋田の滝方面からの道に合流。この先は、去年、帰路で通っている。古戦場を通過して観音堂。この辺に色づきはない。袋田の滝の方から何人か登って来ては鐘を叩いたりしている。
薄い黄色が目に入る。赤系統の色はない。岩場を越えたあたりから赤が見え出す。まだまだ淡い。右手からの陽射しがここでは陰になっていて、全体が暗い。月居城跡の碑の先に行くと、弱いながらも光が入り込み、かなりきれいに紅葉しかけているのがわかる。
その先は別天地の様相だった。木漏れ日にあたった紅葉が何ともいえず素晴らしい。夢中であっちへ行ったり、こっちに来たりで写真を撮りまくった。ヘタな文章で表現するよりも、ヘタな写真を並べた方がいいだろう。












山頂下で追い越した二人連れのダンナが「見頃はあと6時間だな」なんて物知り顔で言っていた。6時間後といったら3時半か。この時期では、そろそろ暗くなりかける時間じゃないのか。西陽があたれば、さらにきれいになるということだろうか。ちなみに、この二人連れ、男体山までの縦走だとおっしゃっていた。
(月居山からの下りで)

(同じく)

(同じく。上よりもきれいなんじゃないの)

(同じく。紅葉の雨だ)

(同じく)

(同じく)

(いきなり消えた。というか、これからのスポットだろうか)

(展望岩から)

(左奥に筑波山か)

(振り返ると月居山)

ハイカーが増えて来た。そろそろ鍋転山に向かうとするか。南側もまたしばらくは余韻が残っていて、山頂よりもさらに陽のあたりが良いからか、一段ときれいに見えた。だが、これは長くは続かず、ほどなく紅葉は終わって枯れた世界になった。
右手に小高い岩場があったので登ってみる。展望地だった。これから向かう南側、そして西側の山並が見える。はるか遠くに、頭が少し白くなった日光の男体山。ここから奥久慈男体山は見えているのだろうか。ひと際高い山はあるが、それが男体山だと言い切るほどに詳しくはない。その山は鋭峰で、不格好なはずの男体山ではないようだ。
(最初の水根方面への分岐)

(ここに「男体山登」まで出ている石標があった)

(急でもなく道も明瞭)

(出てきた)

(淡いけど黄色も混じっている)

(ピークが見える。鍋転山かも)

(やはり鍋転山。「第一展望台」とある。最近のものだろう。古ければ「臺」になっているはずだ)

(その展望台から。結構、低山ながらも山は深く続いている)

(後回しだったが鍋転山山頂。手前に三角点標石)

ポツラポツラと紅葉が出ては消えて杉林に入り込む。左に国道461号線に向けた分岐が出てくる。そして5分もかからずに今度は水根への分岐。おそらく、途中で合流するのではないだろうか。ゆるゆると登って行くと、左手が広葉樹に変わった。ここだけは淡い色の紅葉が続く。
広葉樹が消え、今度はヒノキの林に入り込む。正面にピークが見えた。鍋転山だった。林が切れた山頂には、三角点標石と「第一展望台」と記された石。展望台とはいっても、先ほどの岩の上からの景色に比べたらたいしたことはない。セルフ撮りをした後、屋根付きのベンチで休んでいると、トレランのオッさんが男体山の方から駆けて月居山の方に下って行った。月居山を過ぎて初めて出会った方だ。
(鍋転山からの下りで)

(同じく。黄色が目立つようになった)

(手前が鍋転山で、奥が月居山だろうか。鍋に月か。月夜に釜を抜かれるということわざがあったな)

(月居山かと思うが。尾根の曲がり具合からして自信はない)

さてと、腰を上げて男体山の方に下る。もう針葉樹はなく、広葉樹の尾根だ。紅葉も続くが、まだ月居山レベルは超えない。あっさりした紅葉だ。それでいて。落ち着きのある紅葉といえばいいのか、気持ち良く歩ける。振り返ると、鍋転山が見えている。ここから見る限りは、山肌の紅葉はきれいだ。こういうものだろうね。遠くから見れば紅葉の盛りに見えるが、いざ至ると、首を傾げてしまう紅葉だったりする。
(また始まった)

(同じく)

(同じく)

(この辺は、そこらの山の紅葉と同じかも)

(鞍部に下っている)

(同じく)

(次第に賑やかになってきた)

(ついため息)

(黄赤で)

(見上げているだけで首が疲れてくる)

(ようやく、目的の分岐に着いた。見えづらいが、オッちゃんが口にほおばりながら休んでいた。ここから左へ)

展望地に着く。ここが第二展望台なのかは不明。何せ、第一のような石碑はなかった(実はそうでなかったらしい)。ここもまた、最初の岩場に比べれば劣る。せいぜい、方向が微妙に違う景色でしかない。素通り。ここから、紅葉が再開した。月居山ほどではないものの、賑やかだ。隠れた紅葉スポットといったところだろうか。
月居山、鍋転山と、緩い起伏が続いた。そろそろ予定の水根への分岐だろうか、鞍部に下った。左に向けた水根への標識があった。オッさんが休んで食事中。話をすると、第一駐車場にチャリを置いて、車で男体山から月居山を経由して生瀬富士に行くそうだ。どうも、第一駐車場に置いてあったチャリの持ち主らしい。このコースを歩くのは初めてらしく、生瀬滝の上の川を生瀬富士まで歩けるようになっているけど、橋でもあるのかと聞かれた。それが心配事らしい。水が少なければそのまま渉れるし、多ければ、長靴も用意されているから問題はないでしょうと答えた。安心したようだ。ここで、オッさんがぼそりと言った。「今年の紅葉はどうなんでしょうね。早いとか遅いとか、ダメとも聞いているけど、きれいなんでしょうかね」と。つまりは、男体山でがっかりしたのだろう。「ここから先は、途切れたりするけど、きれいですよ」と答えておいた。このオッさんとは、またお会いすることになる。
(予想外の登り)

(ここもまた派手ではないが好みの紅葉だ)

(また見上げる)

(そろそろ視界から派手さは消えてくる)

(とはいっても、こういう静かな紅葉もいいものだ)

ここから水根方面へは下りだとばかり思っていたが、ちょっとばかりきつい登りが入った。だが、周辺の紅葉が息切れを癒してくれた。登り切って、下りが始まるまでは黄色も楽しめた。茨城の山の紅葉はなかなかだと思う。紅葉の海の歩きはここで終わった。
踏み跡はあるものの、あまり歩かれていない様子で、道を間違えたんじゃないかと気になった。しばらく先に行くと、「水根1.3km」のプレートがあったので安心したが、西側の方から人の声が聞こえる。地図を見ると、尾根筋になっていて、その下は破線路が乗り上げている。この辺にも踏み跡はあちこちにあり、いろんなルートがあるようだ。自分には初めてのところだし、慎重に太そうな踏み跡を選び、テープもまた頼りにして下る。
(紅葉は消えた)

(テープに頼って下っている)

(黄赤が半分、半分)

(作業道に出て)

(間もなく国道)

(ここにあったプレート)

紅葉は次第に終わり、林の中に入った。急に寒くなった。林の区間はさほどでもなく、右からの幅広の作業道にぶつかった。歩きやすくなったところで車道に出た。上に向けて「月居山縦走路1.7km」のプレートがあるから、間違い歩きはしていなかったようだが、自分が下ったルートには破線も何もない。手頃な座り場もなく、地べたに座り込んで一服。
さてどうしよう。ここから生瀬富士を経由して戻れば、早くとも自分の足では2時間半はかかる。となると、これに帰路の3時間を加えると、家に着くのは5時半か。夜の仕事には間に合うが、犬の散歩をしないわけにはいかない。今朝は省略していた。ダメだな。その代わり、袋田の滝を有料で見物したのはもう30年以上も前のことだから、それもありか。気分次第にしておこう。実は、生瀬富士経由で下山する以上に、生瀬滝を間近に見られんものかと思っていた。沢靴はないから、せめてぎりぎりのところまで。去年、来た時は、月居山に登る途中に通行止めが二か所あった。見送って、月居山に登っての紅葉見物がメインだったから、行けないならしょうがないとあっさりと探りも入れなかった。今回は、少しは深入りしてみたい。
(奥の滝山荘への分岐。個人様の別荘らしい)

(下る)

(右手から淵を巻けそうに思えた。あれが踏み跡なのかどうかはわからない)

奥の滝山荘に到着。失礼だが、「山荘」にした意図がわからない。歩いてすぐのところを国道が走っている。川の水量は去年よりも多かった。生瀬富士の方から下って来た女史が渉ろうとして、ためらいながらもそのまま渉ったのを確認して、生瀬滝に下る。やはり無理そうだ。最初の深みを越えるのはとんでもない。左岸側は足場もない。右岸を巻いて滝の真上に下りられそうではあるが、深みの先はカーブして見えないから、下りるどころか、戻れなくなるかもしれない。こうなったら、通行止めを下ってみるしかないようだ。右岸巻きも含め、体験談をネットで探したが、氷瀑時期に袋田の滝を登った記録しかなかった。
(結局、月居山方面へ)

(以前は、しっかりした道があったかと思うが、先は落葉で隠れていて危険がひそんでいるような)

(途中で)

月居山方面に向かう。最初の通行止め。ロープが張られている。入り込んでみる。踏み跡らしきものはあったが、落葉で先は消えている。どちら方面に下ればよいのか見当がつかない。当然だが、安全ではないから立入禁止にしている。ここはパス。ただ、地図を見ると、生瀬滝の左岸側に破線路が生瀬滝展望台まで続いている。おそらく、以前はここからいけたのではなかろうか。少し上がって次のロープ。ここは右下が急斜面になっている。かなり無理。まださっきのところがよかったようだ。あきらめか。ここで、下って来たオッさんがいた。水根分岐でお会いしたチャリデポのオッさんだ。声をかけたら、すでにオレの顔は忘れられていた。しきりに川の水の状態を気にしていた。やはり生瀬富士まで行くようだ。
(また月居山に登らずに袋田の滝に下る。あれから、見頃らしい6時間も経っていないし)

(かろうじて撮れた生瀬滝。上流は結構強い流れになっている)

(生瀬滝展望台には行けなかった)

階段の分岐を生瀬滝の方に下る。生瀬滝が見えた。ここまで来たら、展望台で我慢するしかない。後ろから声をかけられた。「あれが生瀬滝ですか?」。川を渉っていた女史だった。山荘で一休みしていたのだろう。スマホで滝の写真を撮っていた。その肝心な展望台への入口は土砂崩れの危険があるのでと通行止めになっていた。生瀬滝には今回も前回以上に縁がなかった。危うい思いをしてまで近づく年ではない。
(袋田の滝が見えてきた。陽があたっていれば、滝とモミジだったかも)

(紅葉を入れるには早かったようだ)

(ここを杖をつきハーハーしながら登って来たご老体夫婦がいたし、空身のカップルが、ここから月居山まで行けますかと聞いてきたので、行けなくはないが、その格好ではきついんじゃないかなと見た目で率直に言うと、「やめようか」と下って行った)

(無理に入れてみたがポスターには程遠い)

(観瀑台へ)

(でか過ぎ。広角でもこれだ。まぁ、その程度の道具だが)

(全然、添え物の紅葉にはなっていない)

(縦にして何とか撮れたが、決して全景ではない)

(最上段を)

(この近距離だもんね。しかし、氷瀑になっても、あの垂直に近い壁をどう登るのだろう。落っこちて棚の上で止まってくれればいいけど)

長い階段を下って袋田の滝の観瀑台に向かう。平日なのに混雑している。みんなマスクをしている。ザックの中にマスクは入れていなかった。失礼。料金は300円。物価高では安くも感じる。眼前にすれば、すごい滝だなと思う。カメラに収まらない。そして上に行っても全体が見えない。自分も含め、見物人の多くはモミジを入れた滝の光景を期待していたようだが、残念ながら、すっきりした赤は滝には同居していなかった。
(駐車場へ)

(左に月居山。あの紅葉の賑やかさは、ここからでは感じられない)

(駐車場に帰着。ここからの帰りが長いな。せめて仕事がなかったらなぁと思うとため息が出る)

切り上げて駐車場に向かう。意外に距離が長く感じた。滝に近ければ有料になる。無料なら歩かなければならない。ごく自然な道理だ。
駐車場に到着。オッさんのチャリはそのままだから、生瀬富士にやはり行ったのだろう。仕事がなければなぁと思うと残念。どうせ、また来年も来ることになるだろう。しかし、例のオッさんだが、男体山にどこから登ったのか知らないが、ここからチャリで引き返すには、かなりきついんじゃないだろうか。逆だったらともかく。その辺の地理には詳しくはないから、単にそう思っただけのことだが。
不消化のところもあるが、満足の歩きだった。
(今回の歩き)

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
町営第一駐車場(8:43)……月居山(9:28~9:34)……鍋転山(10:10~10:23)……水根方面分岐(10:51)……車道に出る(11:39~11:51)……奥の滝山荘周辺(12:02~12:07)……袋田の滝分岐(12:20)……袋田の滝見物(12:47~13:11)……駐車場(13:24)
昨年11月16日に月居山に行った。こんなにきれいな紅葉に出会えるとは思いもしなかった。生瀬富士経由で行き、立神山から袋田の滝を見下ろすあたりもきれいだったが、月居山に至ってはその比ではなかった。これなら、来年もまた来ようと思っていた。
情報を集めていると、早いのか遅いのかよくわからない。人それぞれの好みの主観が入る。去年と同じ日の16日を過ぎても、アップされた写真には青葉が目立つ。そこそこに楽しめれば早くともいいかと22日まで待って行った。結果は正解で、欲をいえば、あと2、3日後が最盛かなと思ったりした。これは自分の七分赤好みの主観からで、27日に行った方のヤマップ記事の写真では山頂一面が濃い赤色に染まっていた。全山真っ赤というのも見ごたえがあるかもしれない。ちなみに、ぶなじろうさんも27日に行かれたらしい。
月居山だけでは物足りない。さりとて、去年と同じ歩きの生瀬富士経由では芸がない。今回は反対側に歩いてみよう。男体山まではとても無理だし、戻りが面倒になる。地図を見ると、途中に三角点峰があり、その山の名前は鍋転山というらしい。その先から水根方面に戻るルートがあるようだ。これにしよう。余裕があったら、さらに生瀬富士に向かってもいい。ここでいう「余裕」とは、体力的なこともさることながら、夜に仕事があるので、時間的な余裕も含めてのこと。
(出発。空は真っ青)

(「七曲り」とあるからクネクネしているのだろうか)

(滑ってズルズルする。泥濘もあった)

(なんだ…)

大子町の袋田の滝駐車場までは遠かった。宇都宮インターで下りて延々と一般道。自宅から3時間近くかかった。運よく町営第一駐車場は数台分空いていたものの、一旦入れた駐車スペースは狭っ苦しく、若干広そうなところに移動した。最初に入れたところの後ろには自転車があった。特に気にも留めなかったが、記憶には残った。この所有者と後で出会うことになる。
橋を渡って、月居山の標識に合わせて右に行く。集落は消えて山道。この山道が曲者で、あちこちでぬかるんで滑る。夜にでも雨が降ったのだろうか。嫌らしい道だなと思っていたら、登り半端に下りになり、林道のようなところに出た。舗装され、ガードレールまであるが車両通行止めだろう。その道をオジさんが下から登って来た。どこに起点があったのか、損した気分になった。オジさんに先行する。
(観音堂)

(この辺は色が淡い)

(いい感じになってきた)

(月居城跡の石碑)

標識に合わせて行くと、袋田の滝方面からの道に合流。この先は、去年、帰路で通っている。古戦場を通過して観音堂。この辺に色づきはない。袋田の滝の方から何人か登って来ては鐘を叩いたりしている。
薄い黄色が目に入る。赤系統の色はない。岩場を越えたあたりから赤が見え出す。まだまだ淡い。右手からの陽射しがここでは陰になっていて、全体が暗い。月居城跡の碑の先に行くと、弱いながらも光が入り込み、かなりきれいに紅葉しかけているのがわかる。
その先は別天地の様相だった。木漏れ日にあたった紅葉が何ともいえず素晴らしい。夢中であっちへ行ったり、こっちに来たりで写真を撮りまくった。ヘタな文章で表現するよりも、ヘタな写真を並べた方がいいだろう。












山頂下で追い越した二人連れのダンナが「見頃はあと6時間だな」なんて物知り顔で言っていた。6時間後といったら3時半か。この時期では、そろそろ暗くなりかける時間じゃないのか。西陽があたれば、さらにきれいになるということだろうか。ちなみに、この二人連れ、男体山までの縦走だとおっしゃっていた。
(月居山からの下りで)

(同じく)

(同じく。上よりもきれいなんじゃないの)

(同じく。紅葉の雨だ)

(同じく)

(同じく)

(いきなり消えた。というか、これからのスポットだろうか)

(展望岩から)

(左奥に筑波山か)

(振り返ると月居山)

ハイカーが増えて来た。そろそろ鍋転山に向かうとするか。南側もまたしばらくは余韻が残っていて、山頂よりもさらに陽のあたりが良いからか、一段ときれいに見えた。だが、これは長くは続かず、ほどなく紅葉は終わって枯れた世界になった。
右手に小高い岩場があったので登ってみる。展望地だった。これから向かう南側、そして西側の山並が見える。はるか遠くに、頭が少し白くなった日光の男体山。ここから奥久慈男体山は見えているのだろうか。ひと際高い山はあるが、それが男体山だと言い切るほどに詳しくはない。その山は鋭峰で、不格好なはずの男体山ではないようだ。
(最初の水根方面への分岐)

(ここに「男体山登」まで出ている石標があった)

(急でもなく道も明瞭)

(出てきた)

(淡いけど黄色も混じっている)

(ピークが見える。鍋転山かも)

(やはり鍋転山。「第一展望台」とある。最近のものだろう。古ければ「臺」になっているはずだ)

(その展望台から。結構、低山ながらも山は深く続いている)

(後回しだったが鍋転山山頂。手前に三角点標石)

ポツラポツラと紅葉が出ては消えて杉林に入り込む。左に国道461号線に向けた分岐が出てくる。そして5分もかからずに今度は水根への分岐。おそらく、途中で合流するのではないだろうか。ゆるゆると登って行くと、左手が広葉樹に変わった。ここだけは淡い色の紅葉が続く。
広葉樹が消え、今度はヒノキの林に入り込む。正面にピークが見えた。鍋転山だった。林が切れた山頂には、三角点標石と「第一展望台」と記された石。展望台とはいっても、先ほどの岩の上からの景色に比べたらたいしたことはない。セルフ撮りをした後、屋根付きのベンチで休んでいると、トレランのオッさんが男体山の方から駆けて月居山の方に下って行った。月居山を過ぎて初めて出会った方だ。
(鍋転山からの下りで)

(同じく。黄色が目立つようになった)

(手前が鍋転山で、奥が月居山だろうか。鍋に月か。月夜に釜を抜かれるということわざがあったな)

(月居山かと思うが。尾根の曲がり具合からして自信はない)

さてと、腰を上げて男体山の方に下る。もう針葉樹はなく、広葉樹の尾根だ。紅葉も続くが、まだ月居山レベルは超えない。あっさりした紅葉だ。それでいて。落ち着きのある紅葉といえばいいのか、気持ち良く歩ける。振り返ると、鍋転山が見えている。ここから見る限りは、山肌の紅葉はきれいだ。こういうものだろうね。遠くから見れば紅葉の盛りに見えるが、いざ至ると、首を傾げてしまう紅葉だったりする。
(また始まった)

(同じく)

(同じく)

(この辺は、そこらの山の紅葉と同じかも)

(鞍部に下っている)

(同じく)

(次第に賑やかになってきた)

(ついため息)

(黄赤で)

(見上げているだけで首が疲れてくる)

(ようやく、目的の分岐に着いた。見えづらいが、オッちゃんが口にほおばりながら休んでいた。ここから左へ)

展望地に着く。ここが第二展望台なのかは不明。何せ、第一のような石碑はなかった(実はそうでなかったらしい)。ここもまた、最初の岩場に比べれば劣る。せいぜい、方向が微妙に違う景色でしかない。素通り。ここから、紅葉が再開した。月居山ほどではないものの、賑やかだ。隠れた紅葉スポットといったところだろうか。
月居山、鍋転山と、緩い起伏が続いた。そろそろ予定の水根への分岐だろうか、鞍部に下った。左に向けた水根への標識があった。オッさんが休んで食事中。話をすると、第一駐車場にチャリを置いて、車で男体山から月居山を経由して生瀬富士に行くそうだ。どうも、第一駐車場に置いてあったチャリの持ち主らしい。このコースを歩くのは初めてらしく、生瀬滝の上の川を生瀬富士まで歩けるようになっているけど、橋でもあるのかと聞かれた。それが心配事らしい。水が少なければそのまま渉れるし、多ければ、長靴も用意されているから問題はないでしょうと答えた。安心したようだ。ここで、オッさんがぼそりと言った。「今年の紅葉はどうなんでしょうね。早いとか遅いとか、ダメとも聞いているけど、きれいなんでしょうかね」と。つまりは、男体山でがっかりしたのだろう。「ここから先は、途切れたりするけど、きれいですよ」と答えておいた。このオッさんとは、またお会いすることになる。
(予想外の登り)

(ここもまた派手ではないが好みの紅葉だ)

(また見上げる)

(そろそろ視界から派手さは消えてくる)

(とはいっても、こういう静かな紅葉もいいものだ)

ここから水根方面へは下りだとばかり思っていたが、ちょっとばかりきつい登りが入った。だが、周辺の紅葉が息切れを癒してくれた。登り切って、下りが始まるまでは黄色も楽しめた。茨城の山の紅葉はなかなかだと思う。紅葉の海の歩きはここで終わった。
踏み跡はあるものの、あまり歩かれていない様子で、道を間違えたんじゃないかと気になった。しばらく先に行くと、「水根1.3km」のプレートがあったので安心したが、西側の方から人の声が聞こえる。地図を見ると、尾根筋になっていて、その下は破線路が乗り上げている。この辺にも踏み跡はあちこちにあり、いろんなルートがあるようだ。自分には初めてのところだし、慎重に太そうな踏み跡を選び、テープもまた頼りにして下る。
(紅葉は消えた)

(テープに頼って下っている)

(黄赤が半分、半分)

(作業道に出て)

(間もなく国道)

(ここにあったプレート)

紅葉は次第に終わり、林の中に入った。急に寒くなった。林の区間はさほどでもなく、右からの幅広の作業道にぶつかった。歩きやすくなったところで車道に出た。上に向けて「月居山縦走路1.7km」のプレートがあるから、間違い歩きはしていなかったようだが、自分が下ったルートには破線も何もない。手頃な座り場もなく、地べたに座り込んで一服。
さてどうしよう。ここから生瀬富士を経由して戻れば、早くとも自分の足では2時間半はかかる。となると、これに帰路の3時間を加えると、家に着くのは5時半か。夜の仕事には間に合うが、犬の散歩をしないわけにはいかない。今朝は省略していた。ダメだな。その代わり、袋田の滝を有料で見物したのはもう30年以上も前のことだから、それもありか。気分次第にしておこう。実は、生瀬富士経由で下山する以上に、生瀬滝を間近に見られんものかと思っていた。沢靴はないから、せめてぎりぎりのところまで。去年、来た時は、月居山に登る途中に通行止めが二か所あった。見送って、月居山に登っての紅葉見物がメインだったから、行けないならしょうがないとあっさりと探りも入れなかった。今回は、少しは深入りしてみたい。
(奥の滝山荘への分岐。個人様の別荘らしい)

(下る)

(右手から淵を巻けそうに思えた。あれが踏み跡なのかどうかはわからない)

奥の滝山荘に到着。失礼だが、「山荘」にした意図がわからない。歩いてすぐのところを国道が走っている。川の水量は去年よりも多かった。生瀬富士の方から下って来た女史が渉ろうとして、ためらいながらもそのまま渉ったのを確認して、生瀬滝に下る。やはり無理そうだ。最初の深みを越えるのはとんでもない。左岸側は足場もない。右岸を巻いて滝の真上に下りられそうではあるが、深みの先はカーブして見えないから、下りるどころか、戻れなくなるかもしれない。こうなったら、通行止めを下ってみるしかないようだ。右岸巻きも含め、体験談をネットで探したが、氷瀑時期に袋田の滝を登った記録しかなかった。
(結局、月居山方面へ)

(以前は、しっかりした道があったかと思うが、先は落葉で隠れていて危険がひそんでいるような)

(途中で)

月居山方面に向かう。最初の通行止め。ロープが張られている。入り込んでみる。踏み跡らしきものはあったが、落葉で先は消えている。どちら方面に下ればよいのか見当がつかない。当然だが、安全ではないから立入禁止にしている。ここはパス。ただ、地図を見ると、生瀬滝の左岸側に破線路が生瀬滝展望台まで続いている。おそらく、以前はここからいけたのではなかろうか。少し上がって次のロープ。ここは右下が急斜面になっている。かなり無理。まださっきのところがよかったようだ。あきらめか。ここで、下って来たオッさんがいた。水根分岐でお会いしたチャリデポのオッさんだ。声をかけたら、すでにオレの顔は忘れられていた。しきりに川の水の状態を気にしていた。やはり生瀬富士まで行くようだ。
(また月居山に登らずに袋田の滝に下る。あれから、見頃らしい6時間も経っていないし)

(かろうじて撮れた生瀬滝。上流は結構強い流れになっている)

(生瀬滝展望台には行けなかった)

階段の分岐を生瀬滝の方に下る。生瀬滝が見えた。ここまで来たら、展望台で我慢するしかない。後ろから声をかけられた。「あれが生瀬滝ですか?」。川を渉っていた女史だった。山荘で一休みしていたのだろう。スマホで滝の写真を撮っていた。その肝心な展望台への入口は土砂崩れの危険があるのでと通行止めになっていた。生瀬滝には今回も前回以上に縁がなかった。危うい思いをしてまで近づく年ではない。
(袋田の滝が見えてきた。陽があたっていれば、滝とモミジだったかも)

(紅葉を入れるには早かったようだ)

(ここを杖をつきハーハーしながら登って来たご老体夫婦がいたし、空身のカップルが、ここから月居山まで行けますかと聞いてきたので、行けなくはないが、その格好ではきついんじゃないかなと見た目で率直に言うと、「やめようか」と下って行った)

(無理に入れてみたがポスターには程遠い)

(観瀑台へ)

(でか過ぎ。広角でもこれだ。まぁ、その程度の道具だが)

(全然、添え物の紅葉にはなっていない)

(縦にして何とか撮れたが、決して全景ではない)

(最上段を)

(この近距離だもんね。しかし、氷瀑になっても、あの垂直に近い壁をどう登るのだろう。落っこちて棚の上で止まってくれればいいけど)

長い階段を下って袋田の滝の観瀑台に向かう。平日なのに混雑している。みんなマスクをしている。ザックの中にマスクは入れていなかった。失礼。料金は300円。物価高では安くも感じる。眼前にすれば、すごい滝だなと思う。カメラに収まらない。そして上に行っても全体が見えない。自分も含め、見物人の多くはモミジを入れた滝の光景を期待していたようだが、残念ながら、すっきりした赤は滝には同居していなかった。
(駐車場へ)

(左に月居山。あの紅葉の賑やかさは、ここからでは感じられない)

(駐車場に帰着。ここからの帰りが長いな。せめて仕事がなかったらなぁと思うとため息が出る)

切り上げて駐車場に向かう。意外に距離が長く感じた。滝に近ければ有料になる。無料なら歩かなければならない。ごく自然な道理だ。
駐車場に到着。オッさんのチャリはそのままだから、生瀬富士にやはり行ったのだろう。仕事がなければなぁと思うと残念。どうせ、また来年も来ることになるだろう。しかし、例のオッさんだが、男体山にどこから登ったのか知らないが、ここからチャリで引き返すには、かなりきついんじゃないだろうか。逆だったらともかく。その辺の地理には詳しくはないから、単にそう思っただけのことだが。
不消化のところもあるが、満足の歩きだった。
(今回の歩き)

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
いつ本番が報告されるのだろうかと、やきもきしていました。
鍋転山ですか!全くのノーマークでした。足の弱い私でも生瀬富士経由月居山が意外と短時間で回れたので、鍋転山を加えればよかったなと。
それにしても、たそがれさんが行った11/22が見頃のハシリだとして、私が行った11/27が終盤間近とすると、本当に適期は短いのだなと思いました。やっぱり奥久慈精通者の方々のレポをカンニングして適期の精度を上げるしかないのかなと思いました。本文にもありましたが、なにせ奥久慈は遠いですから。
鍋転山立ち寄りは楽勝だと思いますよ。たいした苦痛のない歩きですから。鍋転山の紅葉はどんなものやら知らずに出向きましたけど、月居山の比ではないにしても、密かなスポットといった感じで、男体山の紅葉目的にここを通るとすれば、やはり、標高の違いから、スポットにはなっていないかもしれません。
奥久慈の紅葉のすばらしさをまた来年もということになりますが、ぶなじろうさんのご返信の上山、明山あたりをちょっと調べて見ます。この界隈を外すわけにもいきませんけど。