聖週間の行列(数年前のです)
アーモンドが狂い咲きするほどに暖たかったマドリードの2月、3月でしたが4月に入ったら、冬に逆戻りです。マドリードの山は雪がまた降りました。我が家の庭もヒョウで覆われました。不安定な天気と表現するよりも、キチガイ天気です。一日の朝昼晩で気温は冬春夏と変わります。4月なので太陽は夏の輝きです。だからサマータイムになりました。昼間、太陽が輝くとTシャツ一枚です。陰ると肌寒いのでシャツを重ねます。曇り空から雨が降り始めるとジャケットを羽織ります。夜中や明け方はオーバーを着込みます。この重ね着をまた一枚一枚脱いでいくわけですから、もう、玉ねぎと一緒ですね。
サンチェス氏
毎年、聖週間(セマナ・サンタ)の頃は雨の天気なのですが、天候の崩れが二週間早いです。聖週間は来週の18日19日です。その週は学校は休みで会社も四連休です。その聖週間が済んだら、翌週は総選挙です。政府の選挙予想では社会労働者党(PSOE)の圧勝だそうです(社会労働者党が与党です)。何しろ、党の書記長・サンチェス氏(Sanchez)は総選挙もせずに、国会不信任義案で勝って首相の座を手に入れた火事場泥棒です。すぐに総選挙をするよ、と他党の賛同を得ての不信任議案可決でしたが、ズルズルと引き延ばし、8カ月間も首相の座に居座りました。その間に何をしたのか? まずしたのが、首相官邸の寝室のベッドを替えました。その次は党費用ではなく国費を使った選挙運動の前運動でした。次期スペイン首相としての顔を売るために国費を使って海外を漫遊し、結局、国政の重要課題であるカタルーニャの独立問題の解決に進展はありませんでした。国民に自分の顔を売るためになった首相で、ラホイ前首相の2年間分の国費をこの八カ月で使いました。すでに、選挙運動をしていたわけです。
カサド氏(左)
その反面、この半年で正体もばれ、「口先サンチェス」と呼ばれるようになりましたが、そこは100年の歴史を誇る社会労働者党です。ブレーンが上手に尻拭いをしています。国会から追放されたかのように野党に下った国民党(PP)ですが、選ばれたカサド新党首(Casado)はカリスマ性にかけます。中道派のシウダダノス党(Ciudadanos)のリベラ党首(Rivera)や極右翼・ヴォックス党(Vox)のアバスカル党首(Abascal)らのほうがカリスマ性はあります。この三党で中道・右派を組み、サンチェス書記長を首相の座から引きずり下ろすつもりです。ですが、投票者の浮動票率は45%だそうで、選挙予想はあくまでも予想で、選挙箱の蓋を開けてみないと分からないのが今回の総選挙です。
リベラ氏(右)
長年ここに住んでいる僕の勘ですが、今回は社会労働者党のサンチェス書記長の勝ちです。それぞれの党がした選挙運動に入る前の時点でのメディアへの首相候補とその内閣候補者の情報公開の速さと濃さでは社会労働者党が抜きんでていました。ともかく、メディアへの餌の撒き方が巧みです。前のサパテロ社会労働者党書記長が首相になった時のようなマスコミがらみの勝ちムード造りが上手いです。浮動票はムードに流されます。社会労働者党の政治は初めの2年間は庶民にはバラ色です。でも、フランスのように増えた公務員者数やバラマキに近い各種手当が政府の予測以上に税金を食い始めると(必ずそうなります)、物価は上がりインフレになります。それに対処できるほどスペイン企業には体力はありませんので首切りです。失業者数が増え始めると、社会主義政権がすることは公共事業の拡大です。よって欧州中央銀行への借金は増え、EUのお荷物になります。
アバスカル氏
僕のような異邦人には選挙権はないので、対岸の火事の総選挙ですが、結果はフトコロに影響を及します。でも、昔から絵描きは貧乏と相場が決まってるので、安ワインで我慢をしていれば良いのです。そうそう、先に書いたサマータイムですが、何も利益がないのが分かったのでEUでは2021年に廃止となります。気が付くのが遅すぎました。マドリードはポピュリスト(大衆迎合主義者)のカルメナ市長(Carmena)がマドリードの都心から旧い車を追い出しました。20年も使っている僕の車は進入禁止となりました。日本車なので、ボロボロどころか、あともう20年は走ります。もったいない。あ、そうそう、日本の元号が新しくなるとかで、令和をこちらのニュースで知りました。スペイン人から令和って何?と聞かれますが、どのように説明すればよいのでしょうか?
令和のニュース