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まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

自転車が尊重されている国

2006-12-29 10:32:38 | 異文化
12月24日(日)。

家族3人では始めての海外旅行(帰省は除く)、1時間半のフライトで、夜7時にアムステルダムに着いた。

空港駅のホームで、ホテルのあるセントラール駅に向かう列車のホームを聞くと、その人は、掲示板を指差し、今いるホームで次の列車に乗ればいいと教えてくれた。

すぐに電車が来たが、埃をかぶっているし、旧式でスーツ・ケースを置く場所もない。おかしいとは思いながらもそれに乗った。発車してから、隣の客に確かめると、その電車ではセントラール駅に着かないと言う。幸いその方が親切だったので、次の駅で降りて、セントラール駅に行く路線のホームしたまで連れて行ってもらえた。

しかし、お陰で、オランダでの人々の暮らしを垣間見ることが出来た。驚いたのが、ホームに自転車を持ったまま待っている人がいること。電車が来ると、その人は自転車ごと電車に乗り、専用の場所に置いて、自分は座席に座った。次の駅でも、また二人自転車を持った人達が入ってきた。

セントラール駅に着くと、自転車の人はホームから我々と同じリフトに乗って地上に出ると、どこかへ走り去って行った。

クリスマス・イヴだからか、タクシーが全くいない。仕方ないので、地図を見ながら歩き始めた。歩いていると、後ろから自転車のけたたましいベルの音に追われ、道を譲った。よく見てみると、そこには自転車の絵が書いてある。自転車専用レーンだった。

歩いていると、路面電車に追い越された。トラム(Tram)だ。アムステルダムでは、これが発達していて、タクシーはあまり必要とされない。ガイドブックを読んで知ってはいたが、まさに身を持って体験した。

15分ほどでホテルに着き、夕食を食べに出た。この日はインドネシア料理。オランダはインドネシアを植民地としていたので、インドネシア料理店が多く、味も良いという。実際美味しかったが、本国よりも上品な味なのだろう、少しイメージが違った。何はともあれ、初めての子連れ海外旅行。店の人達が、あちこち歩いて行ってしまう天馬の面倒を見てくれたので助かった。

8人分のうどん

2006-12-11 14:31:36 | 異文化
12月9日(土)。

僕はうどんを打つが、今までに一度に打ったうどんは、たかだか家族3人分だった。しかし、この日は8人分に挑戦。えらいことでしたわ。

こちらへ来て、妻が英語学校で知り合った韓国人家族に、8月に招待され、たらふく韓国料理をご馳走になったことがあった。最近になって、2002年のワールドカップを機に日韓両国の仲が良くなったが、特に30才、40才以降の韓国、中国の人たちには、根強い反日感情がある。小泉前首相の靖国参拝も、せっかく関係がほぐれてきたところに、この感情を蒸し返す材料となった。

以前僕たちを招待してくれた家族のご主人、ギユンさんは、その時、自分の中に残る反日感情を説明した後、それでも未来のために、日本人の友人を作りたい、過去は過去として、これから個人レベルでも友好な両国の関係を築いていきたい、と話してくれた。彼も僕と同様家族を連れたPhDの学生であり、神学を学んでいる。韓国に帰れば、キリスト教の神父さんの仕事に戻る。

彼の誠実な態度に僕も好意を持っていたので、是非いい関係を作りたいと願っていた。この日はようやく我が家へ招待できて良かった。

ギユンさんの奥さんと子供2人、それから親戚の子も一人来た。料理は、天婦羅と、豚肉と野菜を煮込んだダシのうどん。とても好評だった。うどんを茹でている後ろで、先に食べ始めた子供たちの、「マシッソヨ(美味しいね)」というささやき声が聞こえる。嬉しい瞬間だ。

子供たちは全員男の子で、食事の後は元気に飛び回って遊んでいた。子供たちには、本当に国境の壁というものが存在しない。大人たちは大人たちで、国境を意識しつつも、前回より格段にお互いの理解が深まり、仲が良くなった。次回は、年末にビビンバップの作り方を教えてもらうことになった。うちのレシピも増えるので、いいことづくめ。

ギユンさんが、喜んで大きな声で、「PhDが終わったら、是非韓国にみんなで遊びに来てください。来なくちゃだめ!」と言ってくれた。この友好関係を、末永く大切にして行きたい。

タイ国王の誕生日

2006-12-04 08:45:36 | 異文化
12月3日(日)。

明日月曜日は、タイ国王の誕生日らしい。
なんでそんなことを知っているのかというと、エディンバラで開かれた誕生日を祝う式典に、今日家族で参列してきたため。

タイからの留学生ワンデーに誘われ、他の大学の友人2名、それからワンデーの友達のタイ人2名とご一緒した。

会場に足を踏み入れたら、香辛料の香りと集まっている人たちで、そこはもうタイ。えー感じでしたわー。
タイからのお坊さん達によるお経を聴きながら合掌して座っていると、とてもリラックス出来た。やはりアジア文化はいい。食事も、久々のタイ料理。これが、レストランで出される食事より美味しかった。商売よりも、国王の誕生日の方が気合が入るようだ。
食後は、全員でろうそくに火を灯し、国王をたたえる歌(多分国歌?)を、我々はアルファベットを追いながら一緒に歌った。いい国だなあと、心から感じた。

タイのお寺も、エディンバラに一ヶ所あるそうなので、また今度タイ人の友人たちと行ってみようかな。タイの人たちは、笑顔が優しくて、本当にほっとするね。

イチゴつきクリスマス・ケーキ

2006-11-10 07:20:20 | 異文化
11月16日(木)。

今日は、オランダ人のシッツェという友人と、9月からうちの大学で動物行動学の修士を学ばれているIさんと、外で食事してきました。行ったのは、町の中心部のベジタリアン・カフェで、僕はラザーニャ。ワインを一本シェアしました。

特にシッツェとは、定期的に会っては、お互いの近況を話しまくる間柄なので、今日もかなりしゃべって来ました。

シッツェは環境関係の仕事をしていて、よくいろいろな国に出張しています。大学生のときには、一年間早稲田大学にもいたので、日本語もまあまあ上手です。

今日、異文化の話題になったとき、彼が笑いながら一つ僕たちに質問しました。
「日本のクリスマスでは、なんでケーキにイチゴが乗ってるの?だって、イチゴは春出来るのが普通でしょう?」

外国人は、いつも答えに困る質問をします。多分、僕もどこかで困る質問をしているのだと思うけど。

みなさんだったら、どう答えますか?ちなみに僕は、日本人は、イチゴショート・ケーキに特別な思い入れがあるのだと。あれがなんと言っても一番ハッピーな組み合わせなんだよ、と力説しました。全然説得力がないですね。

世界のアーチ

2006-11-09 08:42:07 | 異文化
11月8日(水)。

昨日は、「心が痛みますね。」という記事に、数名の方が非常に素晴らしいコメントを残してくださいました。

僕のブログ記事なんかよりも、とてもいい文章ですので、どうかこの機会に皆さん読んでいただけたら、と思います。また、もちろんさらなるコメントも歓迎いたします。

さて、また昨日の今日でいいタイミングですが、今日は昼間仕事を休んで、小学校の見学に行ってきました。今日は見学会で、来週の水曜日が、登録の日なのです。こちらイギリスでは、子供は年度中に5歳になる年から、小学校に入れることが出来ます。5歳になってから、その年に入学することも出来ます。どちらかを選べるわけですね。

といっても、最初の1,2年は、アルファベットを習いますが、あとは日本の幼稚園のような感じです。外国人には、ちゃんと特別に英語も教えてくれるので、うちは来年の8月から入れてやりたいと思います。

今日見学に集まったのも、出身地域はほんとに様々です。中国のおじさん1名、日本人は太郎の母子と僕の2名、白人は5人くらい。インド、パキスタン辺りといった方が1名、それから中東の目だけを出したベールをかぶった方が1名でした。

ここでご紹介したいのが、学校の入り口の中に飾られた、色とりどりのアーチ。ここには、世界各国出身の子供たちが、自国の紹介を書いた紙を貼っています。教室の中にも、互いに助け合い、協調しよう、異文化を理解し合おうというメッセージでいっぱい。

ね。昨日のコメントに返信で書いたとおりでしょ?日本の政府、自治体、自治会にも、願わくばうるさいくらい頑張って欲しいと思います。

なきゃないで済むもの

2006-10-05 17:36:38 | 異文化
10月4日(水)。

前日の日記を書いていて、自分でも、よく2年間も体重計なしで過ごしたなあと感心しました。これは、今まで体重にあまり関心がなかったことを表しています。

それで思い出したのですが、この前の日曜日、僕はとうとう傘を買いました。つまり、2年間も傘なしで暮らしていたというわけです。

先日日本に帰国したときに、何日か雨天の日がありましたが、日本の降り方だと、絶対傘がないと歩けない日があります。久しぶりに帰国し、あらためてそれを感じました。

しかしながら、「一日に四季が見られる」とその気候が形容されるスコットランドでは、晴れの日でも突然雨が降ってきたりし、またすぐ晴れるので、予測不可能でもあるし、傘がなくてもなんとかやって行けてしまうのです。傘も、ようやくドラッグ・ストアで見つけましたが、日本のようにどこにでも売っているわけではありません。

傘は軽くて小さい折畳み傘で、いつもかばんに入れて歩くことにしました。さて、実際使う日は来るのかどうか?買ってから毎日、軽くは降られているんですけどね。やはり傘がいるほどひどくはならないのです。

やっぱ英語忘れてるがな。

2006-10-03 05:19:48 | 異文化
10月2日(月)。

時差ボケもあって、朝6時前に起床。

今日は、学費納入の手続きと、パスポートの更新手続きで、ほぼ一日が終わりました。

朝起きてすぐテレビを点けましたが、リスニングは問題なし。しばらく日本にいたので、英語を忘れてないかちょっと心配でした。ニュースを一時間ほどじっくり聴いて、朝の準備をした後、子供を幼稚園に連れて行きました。息子も、日本に帰国したときは、かなり英語が出ていたのに、帰る頃にはすっかり日本語、特に広島弁が上手になっていて、英語は全く出なくなっていました。「しっかり英語忘れてますからー。」と先生方に声を掛けて、すぐあちこち必要なところを回りました。

相手が言っていることは分かるのですが、ちょっと複雑な手続き上の質問をしようとすると、「う・・・」出てこない、英語が。やっぱ忘れてるがな。

聞きたいことはしっかりあるんです。日本に帰る前は、あんまり考えなくても話せていたのに、やっぱりダメですねえ。今週一杯くらいはかかるんでしょうね。

今回気付いた日英の違い

2006-10-01 22:57:14 | 異文化
10月1日(日)。

昨夜、上の階に住む友人のメキシコ人家族に呼ばれ夕食をとっていた時、我が家の電話が不通になっていたことを話しました。
彼らにも帰省している間に同様のことが起こったそうです。彼らも新しい電話番号を伝えられましたが、翌日同じ電話番号を使えるよう頼んだそうです。

そこで、今日また携帯電話からBTという電話会社に電話をし、用事の種類を選択させる録音音声の長いプロセスを経て、電話の不調のため、折り返し電話をしてもらうようメッセージを残しました。

30分ほどでかかってきた電話は、担当者に替わってもらっている間に切れてしまいました。それから1時間はかかってきませんでした。

仕方ないのでこちらからまた電話し、録音音声の長いプロセスを経て、ようやく話すことが出来、前と同じ電話番号を使えるようになりましたが、電話番号の変更の有無に関わらず、10月24日までどうしても電話が開通されないと伝えられました。

かなり抗議もしましたが、BTの対応の悪さは以前からよく知っていたので、文句を言いながらも納得はしていました。全く気楽な会社です。というわけで、親戚の方々、電話の不通をご承知置きください。家のブロードバンドも仕えませんが、インターネットは、大学のワイヤレス・サービスのお陰で使えるので、ホット・メールは送受信が出来ます。SKYPEだったら通話も出来ます。

そうそう、今日は、今回の帰省で気付いた日英の違いを書きたいと思います。あくまでも日常的なことです。

日本における、食事の美味しさ、豊富さ、味に対しての値段の安さは言うまでもありません。

移動中に感じていたことは、田んぼの多さです。減反、中山間地域の農家の減少が取りざたされていますが、やっぱり日本の主食は米。収穫前の田んぼは、夕方になると金色に輝きます。風があって稲が波打つと、とても美しい。これはスコットランドにはありません。こちらは何と言っても、畜産のための牧草地が多い。これはこれでとても美しい。

どこの国に行っても、いつも違いを感じるのはトイレ。日本の鉄道の駅に多い和式便所は、久しぶりで感動しました。あれは、たまにお釣りが来るのが嫌です。でも、毎回股関節と膝関節のストレッチにもなるので、健康に良いのでしょう。
イギリス、スコットランドの公衆便所には、必ずと言っていいほど、紙タオルか、手のドライヤーが付いていますが、ホテル以外では日本のトイレにはありません。自分のハンカチで拭けばいいんですよね。さすがMOTTAINAI・日本。イギリス全体で手を拭いただけで捨てられる紙の総量とハンド・ドライヤーにかかる電気の総量を合わせたら、莫大な環境への負担になっていることでしょう。
ウォシュレットにも感動しました。外国人だって、とてもビックリすることでしょう。電気代はかかるけれど、お尻にとても優しいですね。

医療に関しても、日本の体制、技術は素晴らしかった。イギリスのGP制度(かかりつけの医者制度)もいいところはあるんですよね。最初に、全ての分野を網羅するかかりつけの医者に診てもらうというのは、複数の科に別々に行かなくてもいいし、間違った科に行かなくてもいい。ただ、小児科については、日本のように、直接受診できる方が有難いし、日本の夜間、休日診療、救急の体制はとても有難かった。

冒頭に書いた、サービスの質の悪さについては、日本における労働条件の悪さと天秤にかけると、日英の中間地点くらいを取れないものかと考えます。中間、という当たりがやっぱり僕も日本人か?もとの職場の友人と話していて、さらに日本の労働条件がさらに悪化して行っているように感じました。法で定められている労働条件が守られるように、国全体で対応しなければいけない時期が来ていると思いました。

こんなにいいところがある国なのだから、欧米のやり方を真似て、わざわざ悪い方向に持っていくという間違った選択はしないように、賢く冷静に歩いていって欲しいです。今回日本で、最も心に残ったのは、長年お世話になったある獣医師から聞いた、「和魂洋才」という言葉でした。この言葉のように、是非日本の魂を忘れずに、しっかりこちらで学んで行きたいと思います。

日本人が恥ずべきこと

2006-09-18 09:13:18 | 異文化
9月18日(月)。

2週間も書けなくてごめんなさい。
9月9日までは実家福井にいまして、その後は自分の専門分野の情報収集と自己紹介のため、東京、北海道、つくばを回っていました。また、長年お世話になった埼玉県では、元同僚たちと会ったり、ある獣医師を通じて、地元の農家の方々に世界の畜産と貧困に関するお話をしてきました。

たくさん書きたいことはあるし、日記形式でこれまでの出来事を書いてもいいな、と思いますが、今日は、昨夜知った日本の恥ずべき実情について、これだけはどうしても日本の方々に考えてもらいたいということを書きます。

昨夜は、ネパールで一緒だった、青年海外協力隊のOB達で新宿のネパール料理店に行きました。久しぶりに気の置けない仲間たちで集まり、料理も美味しく、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

その帰り、11月半ばに出産予定のお腹の大きい友人と、他2名と、京王線の電車に乗りました。電車は立っている人も多く、ある程度混雑していましたが、優先席があるので、優先席に行こう、と僕は皆に言いました。しかし、友人たちは、

「あのね、日本では譲ってもらえないんだよ。」

と言います。
そんな馬鹿な?
実際車両に入って、優先席の前に立つと、そこに座っているのは皆健康な人たちで、2人の20代の女性と1人の20代の男性も含まれていました。
電車が動き出しても、本当に当然のような顔で座り、譲ろうとしません。

僕はとても驚きました。そんなことは、イギリスでは考えられないのです。ウガンダでも考えられないし、ネパールでも皆競うように譲るでしょう。世界で妊婦に座席を譲らないのは、わが祖国、日本だけかも知れない。

お腹の大きい友人に、替わるように言ってあげようか、と聞くと、しばらく行けば空いてくるし、いいよと言いました。

この事実を、新聞などいろいろ投稿してみたいと思います。最近、日本の美徳を書いた小説などで、日本人としての誇りを持てるようにしよう、という風潮がありますので、日本をしばらく見ていなかった自分は、昨日のような恥ずべき現実から遠ざかっていたようです。

笑顔で挨拶できない、弱者と女性に譲ることが出来ないのは、イギリスでは、Shame(恥)です。イギリスでShameという言葉は、非常に強い意味を持ちます。
昔、僕が小学生の頃、学校で、日本のことを紹介した、「恥の文化」という話を聞きました。日本もその頃は、恥の概念を持った、礼儀正しい国民だったのです。

妊婦に席を譲ることが出来ないという社会現象は、「恥」ではないでしょうか?
こんなことは、学校でもう一度教えなければならないのでしょうか?
これを読んだ全員の方々が、職場や家庭で話題にあげていただければ、と願います。