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まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

大学というところ

2006-09-02 06:37:38 | 異文化
8月31日(木)。

水曜日30日、木曜日31日と、日本の某私立獣医大学から、エディンバラ大学獣医学部に、数名先生方がお見えになりました。
水曜日はその先生方のプレゼンテーション、木曜は、両大学の提携が成立するか、どういったことで提携出来るかの会議でした。

僕は両日とも出席しました。
一日目のプレゼンテーションでは、病理学と動物福祉学のとても興味深い講義を聴くことが出来ました。

二日目の会議では、日本とスコットランドでトップの大学との、考え方の違いが見えました。
どちらが良いとか悪いとかではありません。ただし、決定的な違いがあります。

日本は、獣医師を育てることにより重点を置き、人情的。スコットランドは、獣医師を育てる教育もより整備されていることを認めざるを得ませんが、それよりもさらに、研究機関として、世界をリードしていくための戦略に重点を置いています。

日本側からの提案では、数週間学生を交換留学させる、ということが中心で、エディンバラ側は、どの分野の研究にお互い興味と強みがあるかを探りたい、という考えでした。

僕はこちらでしか大学院レベルの教育を受けていないので、もちろん考え方はかなりスコットランド寄りです。

限られた予算で確実にレベルアップし、新しい可能性を切り開いて行く。切り開けばそれだけ予算もつき、可能性もまた広がる。

生物科学系では世界で8番目を誇る大学と提携という美味しい機会を目の前に、学部生の2,3週間の交換留学という案ではもったいないだろう?、と、それとなく双方への質問で可能性を示唆したりしました。結局、エディンバラ大学側の、共同研究は、研究者の個人的繋がりによって行う、という案だけで、特に何も決めることなく終わりました。

日本への一時帰国を目前に、違いを感じることが出来て良かったと思います。でも、今回話を聞いたのは両国とも少人数からであり、日本では今回よりも多くの研究者の方々と話す機会を用意しているので、またもっと感じることがあるでしょう。

日本の獣医大学が、絶対改革しなければならないことが一つあります。それは、大学の実習や研究に必要な作業を手伝う技術者を雇うこと。
イギリスの大学の研究者は、5時に帰ります。日本の大学の研究者は、5時に研究を始めます。
イギリスの学生は、やはり5時には作業を終えます。日本の学生は、5時に研究活動を始めます。
日本の学生も研究者も、今のままでは雑務が多すぎます。今こなしている仕事量を、純粋に自分の仕事に向けることが出来たら、どんなに飛躍的に発展できるか。

僕たちは人間的に生活し、効率良く、自国と世界のことを考えて良い方向に導いていくべきです。

ガンバレ、日本。

権力者のへそ曲がり

2006-08-18 08:13:29 | 異文化
8月17日(木)。

ウガンダでお世話になったドライバーのジョゼフが、大変な目に会っている。

虫の知らせに似た話だが、今日データの処理中、たまたま一箇所空白があり、ある地名についての情報だったので、ジョゼフに聞こうと電話をかけてみた。

すると、向こうもあまりのタイミングに驚き、僕の問いに答えた後、たどたどしい英語で一所懸命説明しだした。

なんでも、エディンバラ大学から振り込まれた給料を毎月ジョゼフに払っているある教授が、先月僕がウガンダにいた時、ジョゼフはエディンバラ大学の車を運転していなかったので、その月の給料は払わない、とごねているらしい。

ジョゼフは、エディンバラ大学がマケレレ大学に置いている車の運転手として雇われている。
先月は、確かに僕の他のエディンバラからのチームが、ウガンダ北部で発生している眠り病の調査のため、その車に乗って現地で一ヶ月間調査を行った。

しかし、ジョゼフは僕の研究内容をよく把握しているし、信頼できる人物なので、僕のサポートに残ってもらった。また、雇用契約書を持っていないため、テロ活動が盛んな北部では、警察に止められた際危険であると判断したという経緯もあった。

ジョゼフは、多忙な僕の代わりに、今回は、安く雇ったタクシードライバーと目的の村を回ってくれ、お陰で今、無事に分析を進めることが出来ている。

その教授には、ウガンダにいる間も、何度も大変な目に会わされた。彼は、今や獣医学部だけでなく、マケレレ大学全体の、大学院教育部長を務めている。
なんでそんなに大物が、車一台の処理に未だに責任を持っているのかも不思議だし、小学校しか出ていない社会的弱者を困らせているのか分からない。
給料も人一倍もらっているし、自家用車も2台持っている。家は、大学内の公邸と、出身県に一つ、首都カンパラにも大きな家を一つ、それから郊外に大きな牧場を持っている。

ジョゼフはと言えば、小さな借家に住み、滞りがちで低額な給料のため、ミシンで服を作る内職をしている奥さんに頼り、なんとか2人の子供を小学校へやっている。彼も、仕事を変えようにも、小学校しか出ていないため、学歴社会のウガンダでは、今よりいい仕事もなかなか見つからない。

僕に出来ることは、指導教官に現状を訴えて、教授を車の責任者から外してもらうようお願いすることと、ジョゼフに、就職活動に使うための、僕と働いたことを証明するレターを書いて送ることしかない。指導教官には、すでにメールを送ったが、その教授は、うちの大学にとっても「大事な」人物であるはず。どうなることやら。

電話を切る際、ジョゼフは僕に、
「God bless you. (神の祝福がありますように)」
と言った。

ジョゼフの信仰する神よ。穢れのない彼を、どうか救いたまえ。

ウガンダのトイレ

2006-07-28 21:39:10 | 異文化
7月28日(金)。

こんなにゆっくりもしていられないのですが、戻ってきた嬉しさで、インターネットも使えることだし、もう一つだけ書くことにします。

発展途上国に出て衝撃を受けることの中で、トイレというのは、結構上位に入ると思います。

ネパールに行った時は、それはもう衝撃でした。水でお尻を洗わらねばならないあの状況。最初はビビリます。パンツ、ズボンも濡れる。しかし、それがいつか癖になってしまうほど好きになる。

村での生活は良かった。遠出をしたとき、トイレはほとんど屋外でした。そういう時拭くのは葉っぱです。雄大なヒマラヤを眺めながら用を足すときのあの開放感。ああ、世界は俺のものだぁなどと言って感激しておりました。

やはり村で、夜に用を足したら、便器の中でバシャバシャ音がするので驚いて中を覗くと、なんとネズミが暴れていました。あれは怖かったなあ。

さて、そしてウガンダ。
今回、ムラゴ病院の中で仕事していたわけですが、大変だったのがトイレ。診断記録部の中には洋式トイレがあるのですが、作りが悪くて水が流れない。タンクに水もたまらない。タンクへの水量が少なすぎるんですね。紙は置いていないので、皆新聞紙をちぎって使っているようです。昼過ぎになると、毎日ひどい状況になってます。催した時は、なんとか我慢するか、バイク・タクシーを使ってゲストハウスに戻っていました。あれはストレスだったなあ。なぜ使えるトイレを作らない(作れない)のか?

ゲストハウスにも、今回の途中まで、便座がなかった。今回来たとき、獣医学部長に便座だけは付けてくれ、とお願いしたが、2週間何もなし。周りの人も、どうして?便座はいずれ汚れるし、ない方がいいわよ、と言う。お前ら、それは勘違いしてるぞ。掃除しないから汚いんだろ?
ゲストハウスの管理人に強く要請すると、「私はテレビもソファーも買ってきたのに。」と言い訳にもなっていない言い訳を言う。あんた、トイレの便座とテレビ、どっちを先に買った方がいいと思うの?
どうやら、副学部長がお金を握ったまま何もしていなかったらしい。ちなみに、ゲストハウスの管理人に要請した次の日に、便座は付きました。

前回、村に行ったとき、トイレを借りました。セメントの床に穴だけが開いているいわゆるポットン便所ですが、一般家庭のトイレにも、小さく切った新聞紙が隅に置いてありました。こちらは、拭く文化なんですね。

もうこれで、あの病院で働くこともないでしょう。次回からは、草原かレストラン、誰かの家で借りるはず。あー、良かった。しかし、病院の職員には気の毒ですね。

ウガンダの名前

2006-07-08 18:10:42 | 異文化
7月8日(土)。

昨日、エディンバラからまた他の学生が来たので、空港に迎えに行き、食事をして、今朝、必要な買出しを終え、現地へ行くバスの乗り場に送り、戻ってきたところ。

さて、よくこちらで話題になるのが、ウガンダと日本における、人名の相似点。
病院で診断記録を見ていても、毎日日本人のような名前に驚かされます。

加藤(男性の双子)、中藤(女性の双子)・・・双子は苗字が特殊になります。男性はカトウかワスワ、女性の双子はナカトウかバビリエ。

さらにあります。
和歌山、中山、永井、瀬川、長谷川、北、伊賀、正道(まさみち)、川田、などなど。
もちろんアルファベットで表記するのですが。

ちなみに僕の苗字のマキタは、牛乳からとれるバター、インド・ネパールでいうギーという意味なのだそうです。

そう言えば、昨日はオケチという人に会いました。
日本語でドケチは、お金を払いたがらない人だ、と説明すると、
「俺もそうかも知れない。」
と納得していました。

それぞれいいところがある。

2006-06-24 00:56:19 | 異文化
6月23日(金)。

今日、ようやくウガンダのマケレレ大学より、インターネットを使える環境になりました。昨日までは、断続的な停電で、学部内のアクセスポイントが使えなくなっていました(書いている途中にまた停電になり、土曜日になって書いてます)。

さて、今回ウガンダへ来て一番感じていたこと。それは、全ての国は違った性格を持っていて、それぞれいいところがあるのだろうなということ。

こちらに来る直前、家族と友人たちで、エディンバラのトルコ料理屋へ行ったのですが、そこは、内装、店主、料理と3つ揃って良い店でした。
しかも音楽がまた良くて、アジアと中東の雰囲気がミックスしたような曲に聴き惚れ、
「やっぱりアフリカより、繊細な文化圏がいいなあ・・・。」
としみじみ感じました。

イギリスに来てから、以外にも自分の中で中心となってきたのは、日本人としてのアイデンティティー探しでした。イギリスと比較してよい、悪い、という見方に始まり、空手を始め、最近は、特に仏教について調べ始めました。仏教についても、少しずつ分かってきています。

やはり今回ウガンダに来る直前、空手部のTシャツを着て大学の研究室の廊下を歩いていると、センター長である教授に呼び止められ、日本の文化の話になりました。
僕が自国の武道である空手を学んでいることに触発された彼は、次に突然俳句について質問してきました。イギリスのエリートというのは、本当によく世界の歴史、文化を知っているものです。特に、自国に長い歴史と文化を持つイギリスは、同様に歴史と文化を誇る日本に興味があるようです。

お互いあまり時間がない状況だったので、二言三言交わして別れましたが、俳句や短歌をあまり知らない僕は、正直助かったと思いました。俳句、短歌を詠むのはあまり経験がありませんが、読んで味わうのはもともと好きなほうです。また俳句、短歌へと興味を伸ばしてみたくなりました。日本には、多くの文化、芸術などがあるし、国土も美しく、本当にいい国ですね。

さて、そしてウガンダ。ああ、またハードな日々が始まるなあ、と飛行機から空港に降り立った後、ドライバーと再会。お互いの顔を左右に入れ変えながら、両腕でしっかりと抱き合って背中を叩き合う、ウガンダの再会の挨拶をすると、「帰ってきたなあ」と感じました。すっかり自分が住む国の一つになっていました。

うるさいという印象だった音楽も、明るくて爽やかなものに感じます。前回も仕事した、国立ムラゴ病院の診療記録部を訪れると、みんな驚いて、「お帰りー!」と口々に挨拶してくれました。みんなの冗談で、あんなに笑ったのも久しぶりでした。優しくて、明るくて、とてもいい国です。食事も、安くて美味しい。

最近停電が本当に多いけれど、ラジオやステレオの音がなくなって、ろうそくの明かりで過ごす静かな時間が、僕は大好きなのです。ネパールの山の中での2年間を思い出します。灯油のストーヴで食事を作り、ろうそくの明かりで本を読む。しばらくして眠くなると、早い時間でもろうそくを消して、蚊帳の中にもぐりこみ、ベッドで寝てしまう。とてもいいものです。

この世界に、魅力のない国なんてない、と思えます。たしかに戦火の中にいたり、言論の自由がなかったり、独裁者のために飢餓に苦しんでいたり、大変な国は少なくない。どうにか良い状況にならないものか、と歯がゆい思いをする毎日です。

しかし、今回のウガンダへの想いから、国というのは、人もそうだけれど、優劣を比較するという見方は捨てて、違った良さを見つけるべきだと、あらためて思いました。

バナナを煮込め!

2006-06-07 06:28:41 | 異文化
6月4日(日)。

今日、ウガンダから、現地の指導教官であるチャールズが仕事のため来ました。彼は今回一ヶ月半ほどイギリスに滞在します。ウガンダで会って、イギリスでも会って、また僕がウガンダに行くと、彼も戻ってきます。ずっと一緒です。

約2年前から、ずっと付き合いが続いているチャールズを、朝空港に迎えに行き、スムーズにイギリスに慣れてもらうため、昼食は家でウガンダ料理を作りました。

ウガンダ料理といえば、なんといっても調理用バナナ。これがエディンバラでも手に入るのです。高いけど。
青いバナナを、包丁で皮を剥いて、お湯で煮込みます。芋のような味です。
これにウガリ(ウガンダではポショという)とご飯を乗せて、トマト味のチキンスープをかけます。なす炒めも添えました。

ちょっと食べちゃってから気付いて写真を撮ったので、美しくなくてごめんなさい。左がバナナ。ちなみに味は、大成功でした。台所が狭いので、調理は、アフリカに行ってなくても上手な妻が担当しました。男二人で、横からあーだこーだ説明しただけ。

チャールズも、これでいつでも郷土料理が食べられる、と大喜び。
良かった、良かった。

アフリカの良心

2006-05-16 03:47:55 | 異文化
5月15日(月)。

今日、寮に住んでいたスーダン人の友人が、イギリスに戻りました。
彼は非常にいいやつで、お陰で楽しく過ごすことが出来ました。ただ彼は敬虔なイスラム教徒なので、酒と豚の話はご法度。カンパラでは、ポーク・ジョイントと呼ばれている、豚肉の炭火焼を出す飲み屋が多く、僕はこれの大ファンなのですが、自然とそこに行くことを遠慮していました。

なので、今日はドライバーと堂々ポーク・ジョイントへ。今飲んで帰ったところです。やっぱ、酒飲んで疲れを癒さなきゃね!

さて、楽しんできたところですが、今日は残念なこともありました。
車に入れておいた貴重な地図が一枚盗まれていたのです。発展途上国では盗みや犯罪は当たり前、置いておいた方が悪い、とその時は気にならなかったのですが、やはり残念です。しかもその車は、教授の家の敷地内、しかも家のまん前に停めてありました。強引に取った形跡はないし、強盗だったら車ごと盗めるわけだし。ようは、関係者ですね。

前回、持って帰るのが大変なので、大学のオフィス内に残しておいた地図も盗まれました。基本的にこの国では、自分以外は信用してはいけない。発展途上国ほとんど全てが同じですけど。

今はストレスにもほとんど感じないけれど、道路を走っていると、そこら中から、
「ムズング(白人)!チャイナ!チャイナ(中国人)!ジェット・リー!」
という声が聞こえてきます。まるで動物園の珍しい動物を見たときのよう、しかもからかうように。
それについては、こちらもまるで珍しい動物を発見したかのように、
「おー!ムガンダ(ウガンダ人だ)!」
と応酬しています。相手は決まって大うけするので、角が立たなくていい方法です。

カンパラより、南アフリカのヨハネスブルグや、ケニアのナイロビの方がもっと怖い。ナイロビでは、外国人相手の、想像を超えたありとあらゆる犯罪が横行していますが(ナイロビ在住の方、ごめんね)、一番ショッキングだった話。

あるイギリス人家族がナイロビに着いて間もないころ、強盗に押し入られました。相手はもちろん銃器で武装しています。拳銃を突きつけられて、奥さんは、恐怖のあまり、犯人の顔をじっと見たまま動けず、うろたえていました。
強盗団が金品を盗んでいるとき、奥さんに拳銃を突きつけている男が、紳士的な態度で奥さんに言いました。

「奥さん、ナイロビへようこそ。しかし、残念ですね、顔を見たらだめじゃないですか。あなたを殺さなくてはいけない。」

途上国で強盗に押し入られたら、基本的に顔を直視してはいけない、とその話をしてくれた指導教官から助言を受けました。相手が銃器を持っていたら、空手もほとんど役に立たない。

カンパラに住んでいる知人の日本人女性も、先日3回目の強盗に会いました。その人は、今回寝ていて気がつかなかったらしいですけど。

ま、ネパールでも空き巣にやられたことはありましたが、やはりいい気がしませんね。形あるものは皆いずれ無くなる。色即是空、空即是色。ま、いいか、ということで。

ちなみに、ナイロビの奥さんは結局解放してもらえたそうです。

縦並び?横並び?

2006-04-16 20:05:18 | 異文化
4月16日(日)。

今日は、以前に削除した記事を再掲載(rebrought)しました。

なぜなら、その記事を削除した後、知人からメールをいただき、英語を学んでいる仲間に記事を紹介して話し合ってみたいとの意見をいただいたためです。

読者の皆様の中には、外国生活に興味がある方もいれば、実際外国を旅行したり、住んだことによってculture shock、異文化体験をされた方もいらっしゃると思います。これからまた、思いついたときに異文化について書いていこうと考えていますので、コメントをいただき、読者の皆様の間で体験や考えをシェアしていただければ幸いです。なお、異なる文化についての中傷(slander)・非難(criticism)は出来るだけ避けたいと思います。

4月4日(火)。

最近になって、イギリス人の考え方が身に付いてきたように思えます。
来たときは日本人の視点で未知の国、イギリス、スコットランドを見ていたわけだけど、長く住んでいると、だんだんとその国の考え方が染み付いてくるもの。これはまた、帰国時のカウンター・カルチャー・ショックが恐ろしい。

うちの大学では、先生達も、大学院の学生も、夕方5時を過ぎて働いていることはほとんどありません。もちろん、特に忙しいときは遅くまで仕事をするけれど、そういう時は、学生は本校舎の図書館か自宅でやります。先生方は週末に自宅でやることはあるみたいです。

昨年うちの大学を卒業して、今はNPOで働いているオランダ人の友人も、普段は5時に仕事を終えます。

ところが日本ではというと、僕が学生の頃は、実習で5時を過ぎることはしょっちゅうで、遅いと9時、10時までかかったことがあったし、それから研究室の仕事が始まる、という友人もいました。毎日夜中過ぎまで電気が煌々(こうこう)と点いていて、誰かは研究していました。
先日、大学院生たちで昼食会をし、その後飲みに行ったとき、当然のことと思い、この日本の大学生活について話すと、
「げ!?そんなのくず(rubbish)だよ!」
という反応が返ってきました。

先日来られた日本の大学の先生も、5時までは通常の勤務、それから学生の指導と自分の研究が始まる。定時で帰るようなら、クビになっちゃうかもね、とおっしゃっていました。

以前の職場では、僕がいた時でさえ過酷な肉体労働の職場でしたが、さらに2名人員が削減され、ぎりぎりのラインを超えてしまったように思えます。

そして今日、MSN.co.jpのウェブで、「縦並び社会」と題され、悲惨ヒサンな過労死の記事が載っていました。思わず感想のメールを投稿しましたが、これは異常です。人権が無視されています。日本のいいところも、こちらに来て見えたけれど、悪い面も同じくらい見えます。

その記事では「縦並び」と書かれていて、言わんとすることはよく分かるのだけれど、僕にはそれは、「横並び文化」のなせる業に思えます。皆が競争を激化させ、セーフティーネットも十分でない社会なので、出遅れると倒産、クビ、生き残れない、とブレーキの壊(こわ)れた恐怖の歯車に乗ってしまう。そんな馬鹿げたやり方、誰がやるもんか、という冷静な方向に行かない。

イギリスには、皆個人は幸せになるべき、という価値観があります。人種、考え方など、多様性のある国です。会うと必ず笑顔で挨拶するのが礼儀だし、Fairな範囲で皆Fine、Happyであるのが原則。仕事のスケジュールより家族の用事が優先されます。少なくともうちの大学では。

以前、僕は一生懸命やるのが昔から好きだったと書きましたが、最近は専ら(もっぱら)仕事と生活(家庭を含む)のバランスに気を配っています。仕事時間中は一生懸命やるけど、オフの時間も充実すると、仕事もなおさら上手くいくはず。

こんなイギリス流の考え方は、日本に受け入れられるのだろうか?果たして、ネパール、ウガンダ、イギリスの異文化体験を還元return to origins; できる土壌(どじょう)arena/stageはあるのか?そろそろ卒業後の進路も考え始めた今、日々日本について考えてしまうのでした。

参照(references):
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/tatenarabi/news/20060405k0000m040019000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060405k0000m040019000c.html
http://www.asyura2.com/0406/senkyo4/msg/650.html

縦並び社会: vertical competitive society (author's translation)
横並び社会: horizontally egalitarian society

★これが小泉内閣の結果だ。「貧乏人は死ね!」という小泉内閣の方針は首尾一貫している。これからも続くだろう。
自公の言っていることと実際にやっていることの違いをいい加減国民は認識すべきである。

★自殺者数が過去最悪 経済苦が大幅増、中高年6割
 昨年1年間に自殺した人は前年より2284人(7・1%)増えて3万4427人となり、統計を取り始めた1978年以降、最も多かったことが22日、警察庁のまとめで分かった。
 うち負債や事業不振、生活苦などの「経済・生活問題」が動機とみられる自殺者は初めて8000人を超え8897人と、過去最悪だった前年をさらに更新。動機別の25・8%を占め、94年(11・2%)に比べ2倍以上の割合に増えた。年齢別でも50代以上の中高年が60%近くで、長引く不況の影響を色濃く反映した結果となった。
 自殺者数が3万人を超えたのは6年連続。
 動機別で最も多かったのが「健康問題」で、1万5416人(全体の44・8%)、次いで「経済・生活問題」、「家庭問題」が2928人(同8・5%)の順だった。
 男女別では男性が2万4963人で72・5%を占めた。(共同通信)

ドアを開けたら

2006-04-08 01:22:18 | 異文化
4月7日(金)。

店や職場で、勝手にしまるドアがありますよね。ドアの上についた器具で、ぐいーと閉まります。そんなドアを開けたら、通った後、どうしますか?

普通、そのまま通り過ぎますよね。
勝手に閉まるわけだから。

イギリスでは、必ず後ろを振り返って、まず後ろに人がいるかどうか確認します。
人がいた場合、
1.すぐ後ろにいたら、その後ろの人の手が開いたドアに触れることを確認しながら、ドアを渡すように歩き去る。

2.2、3メートル後ろにいたら、後ろの人が追いつくまでドアを開けたまま待つか、よいしょっとさらに開け放ってあげて、歩き去る。

3.4、5メートル後ろに居たら、よいしょっとドアを開け放ってあげて誠意だけ見せる。

4.さらに後ろだったら、そのままドアを離して歩き去る。

後ろの人は、待ってもらったら、Thank you!とお礼する。

といった暗黙のルールがあって、イギリス中のドアが開け閉めされているわけですが、2から4の感覚が身に付くのにしばらくかかったなあ。
歩くのが遅い、特に太った人や、年配の人がかなり後ろにいるとき、初めは馬鹿正直に待っててあげて、もういいから行って、と手で合図されたりしました。

いろんな親切の表現があるものですね。

あるベジタリアン・カフェ

2006-04-06 02:15:16 | 異文化
4月5日(水)。

昨日、一先ず奨学金の申請が終了したので、今日は町に残って少しゆっくり仕事をすることにしました。
もう随分、友人のサム・サリー夫婦、ユリさんに会っていないなーと考えていたら、丁度昼食に誘われました。サムとサリーは今週末から一ヶ月ほど日本に行くので、今会っておかないと、しばらく会えなくなります。
そこで、二つ返事でご一緒することにしました。忙しくしすぎて、最近イギリスの文化にも触れていなかったなあと思っていたのです。

今日行ったところは、Engine shedというベジタリアン・カフェ。
多分教会が運営しているのだと思いますが、主に身体障害者、知的障害者が働き、そして集うカフェです。
サムは教会で長く仕事をしているので、教会主催の催し物や英語教室などをよく知っているし、サリーはベジタリアンだし、以前からこのカフェを知っていたのでしょう。
店に入ると、店の作りや人の表情から、そのアットホームな雰囲気がすぐに感じられました。彼らは、いい雰囲気の場所をよく知っています。

料理は、金時豆の煮込みかけごはん、カレーパイ、マカロニチーズ、各種サラダ等でした。僕は、キッシュというパイとサラダを注文しました。
一時間ほどみんなの近況や、それぞれ日本やウガンダで何をしてくるか話をして、お開きになりました。まあ、息子、天馬の相手をしてあげながらだったので、いつものように、それほど話せなかったけど。

でも、大して話すことが出来なくても、アットホームな雰囲気の中で久しぶりに友人たちに会えて、とても楽しかったです。最後は天馬も我慢が出来なくなって歩き回っていたけど、こういう店では怒られずに安心です。

妻も気に入ってました。帰ってすぐ、また家族と友人で行くことにしよう、とどちらからともなく話しました。