鴻海傘下で構造改革始動
2016/10/23 2:00 日経
シャープは電子部品を生産する三原工場(広島県三原市)を2017年にも閉鎖し、同県内の福山工場(福山市)に集約する方向で調整に入った。液晶テレビの栃木工場(栃木県矢板市)の縮小も検討する。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、経営再建へ向けて構造改革を始動させる。
シャープは現在、鴻海副総裁を兼務する戴正呉社長の下で中期経営計画を策定している。国内拠点の再編も柱の一つとして盛り込む方針だ。
三原工場は発光ダイオード(LED)や半導体レーザーを生産しており、現在の従業員数は約300人。閉鎖の意向を地元自治体に伝えたもよう。稼働率が伸びず、生産を福山工場に移して効率化する。雇用は原則維持する考え。福山工場ではスマートフォン(スマホ)のカメラ部品などを製造している。
今後、国内の複数拠点で生産ラインの縮小といった合理化を検討する。液晶テレビ「アクオス」を生産する栃木工場やスマホの生産・開発拠点の広島工場(東広島市)が対象となる。広島工場では一部の施設や社員寮を売却。奈良県内には3つの生産・開発拠点があり、研究開発が主力の天理工場(天理市)は社員寮を売るほか、太陽電池の拠点である葛城工場(葛城市)も縮小する可能性がある。
スマホ向け有機ELパネルへの投資などの成長戦略と合理化を同時に進める。液晶事業の不振などで16年3月期の連結最終赤字が2559億円だった。18年3月期には最終黒字を目指す。