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アステラス 世界屈指の開発効率 規模との両立が課題

2015年12月23日 | 医薬

国際比較「稼ぐ力」ライバルに挑む(3) アステラス
世界屈指の開発効率 規模との両立が課題
2015/12/23 3:30 日経朝刊

 収益力で国内トップを走るアステラス製薬。経営規模では米ファイザーや
スイスのノバルティスなどの巨人に見劣りするものの、実は、新薬を生み出す
効率は世界でも屈指の高さを誇る。





 ボストン・コンサルティング・グループの分析では、アステラスが米国で
承認された新薬の予想ピーク売上高の平均は20億ドル(約2400億円)超。
これらの新薬に充てたとみられる年平均の研究開発費とほぼ同水準だ。
年間1兆円もの研究開発費を投じるファイザーやノバルティスより新薬を
生む効率は良い。一般的に新薬の独占販売期間は10年前後とされ、ピークの
1年だけで投資を回収できる計算だ。
 「成功確率などを見極めて開発の優先順位を明確にする」。畑中好彦社長は
効率の高さの秘訣をこう語る。当たり前に聞こえるが、製薬業界では
「画期的な新薬は自由な研究から生まれる」という風潮が残る。
「聖域」にトップダウンを徹底するのは容易ではない。
 アステラスは2005年の旧山之内製薬と旧藤沢薬品工業の合併以来、
一貫して「選択と集中」を進めてきた。06年に大衆薬から撤退し、
がんや泌尿器、移植関連などに資源を集中投資したのが好例だ。
今年11月には新たな重点領域とする眼科関連の米ベンチャーを約460億円で
買収すると発表し、その翌日に皮膚科事業の売却を決めた。
 生活習慣病などかつて大型薬を生んだ領域の新薬開発はほぼ一巡し、
今はがんなど難易度の高い疾患が主戦場だ。ボストン・コンサルティングの
北沢真紀夫氏は「研究開発費の多さでなく、専門性の高さが新薬開発のカギとなる」
と指摘する。専門性の高さは「目利き力」にもつながる。全世界で約2500億円を
売り上げる稼ぎ頭、前立腺がん治療薬「イクスタンジ」は、開発段階の09年に
米ベンチャーから買ったものだ。
 「総合製薬」の看板をいち早く下ろして特化型を選んだ戦略は奏功し、
16年3月期の純利益見通しは前期比27%増の1720億円と武田薬品工業の2.5倍だ。
08年3月期の最高益1774億円も視野に入る。
 それでも株価は昨年末とほぼ同水準にとどまる。予想PER(株価収益率)は
21倍と業種別日経平均「医薬品」(32倍)を下回り、時価総額ではなお武田の
後じんを拝する。バークレイズ証券の関篤史氏は「安定成長が見込める半面、
収益水準が一気に切り上がる期待に乏しい」と話す。
 経営効率の一段の改善にも規模拡大は必要だ。アステラスの売上高純利益率は
今期予想で12%。1兆円超の利益を誇る世界大手は利益率も20%前後と高い。
税負担の違いもあるが、固定費の吸収力などが差を生む。
 「選択と集中」はライバルたちにも広がっている。3月にはノバルティスと
英グラクソ・スミスクラインがワクチン事業などの大規模な事業交換を完了。
武田は今月、海外で展開する呼吸器薬事業売却で英アストラゼネカと合意した。
新薬開発競争は今後、ますます激しさを増す。
 経営陣は大型M&A(合併・買収)には慎重で、畑中社長は「開発領域を
絶えず見直しながら継続的な成長を目指す」と合併後10年で磨いた効率経営を
深化する考えを強調する。だが、今後、新薬需要が急拡大する新興国の開拓などの
課題は自前路線ではハードルが高い。次の10年、規模と効率の両面を追う機は
熟しているようにみえる。
(伊藤正倫)


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