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サントリー食品、JT自販機を買収

2015年06月20日 | 企業研究
真相深層 覚悟の1500億円、重く
サントリー食品、JT自販機を買収 コカ逆転へ2位の意地
2015/6/20 3:33 日経朝刊

 サントリー食品インターナショナルが7月をめどに日本たばこ産業(JT)の飲料自動販売機事業を買収する。事前の予想を5割も上回る1500億円という買収額に業界内では「高値づかみ」と冷ややかな声もある。それでも巨額投資に踏み切る背景には国内清涼飲料市場で首位奪取を公約に掲げる創業家出身社長の意地がにじむ。

相乗効果が課題
 「2020年の国内首位を目指すため、非常に強いパートナーが加わった」。5月25日、JTの自販機事業買収を発表した記者会見でサントリー食品の鳥井信宏社長は強調した。JT子会社2社を手に入れるサントリー食品の飲料自販機は全国で約63万台となり、「売り上げは1000億円強増える」(鳥井社長)見通しだ。
 JTの自販機買収にはほかにも飲料メーカーでは日本コカ・コーラ、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、ダイドードリンコの4社が名乗りを上げたとみられる。
 1000億円規模とみられた買収額が5割も跳ね上がった理由は国内首位の日本コカと2位のサントリー食品の「意地の張り合い」(飲料メーカー首脳)。最終的に競り勝ったサントリー食品は巨額の買収金額とともに「桃の天然水」などJTのブランドを引き受けるという条件ものんだ。
 サントリー食品の14年12月期の国内売上高は7223億円。JTから譲り受ける自販機の売上高が加われば、売上高は8000億円を超え、約1兆円とされるコカ・コーラグループに迫る。国内首位を目指す鳥井社長にとって、JTの自販機はどうしてもコカ・コーラグループに譲るわけにはいかなかった。
 ただ、1500億円という買収額について、競合メーカー首脳は「高すぎる。到底、回収できないのではないか」と指摘する。実際、記者会見の翌日、5月26日のサントリー食品の株価は前日比2%安とさえなかった。市場関係者からも「決して安くない買収。どう相乗効果を引き出せるのかが課題」(SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリスト)といった声は多い。
 サントリー食品がJTから買収する自販機事業の中核会社、ジャパンビバレッジホールディングス(JB)の純資産は14年12月期で584億円。取得する発行済み株式70.5%に比例し、うち411億円がサントリー食品の新たな資産になる。
 買収額と資産の差が今後、「のれん」として収益面では足かせになる。仮に20年の定額償却とした場合、のれんの償却額は年間約54億円。14年3月期で28億円だったJBの営業利益に照らせば、サントリー食品は年間20億円以上の減益要因を抱え込むことになる。
 国内の飲料自販機の設置台数はここ数年、250万台程度で横ばいが続く。確実な売り上げが見込める立地はもはや少なく、サントリー食品にとっても「自前では年間数千台増やすのがやっと」(鳥井社長)だ。
なるか成功体験
 人口減少による国内市場の縮小も続くなか、国内首位を狙うためには赤字覚悟でもシェアを上積みする必要がある。「1位になりたいという思いは2位が最も強い」。今回の買収合戦に参画した飲料メーカー首脳はこんな言葉で鳥井社長の執念を代弁する。
 13年のサントリー食品の上場時、親会社であるサントリーホールディングスの佐治信忠会長(当時は社長)は自身と同じ創業家出身の鳥井社長に対し、「成功体験が足りない」とくぎを刺した。一段の成長が求められている鳥井社長。今回のJTの自販機事業買収について、サントリーホールディングスの幹部はそろって「主体はサントリー食品。上場企業として判断は任せている」と一任する姿勢を貫いた。
 佐治会長は祖業であるウイスキーの低迷で存続すら危ぶまれた時期を乗り切り、食品メーカーとしては国内首位の礎を築いた。20年の清涼飲料での国内首位達成に向け、鳥井社長はJTの自販機事業の買収を決めた。赤字覚悟の巨額投資を将来のグループ総帥にふさわしい成功体験とすることができるのか。手腕が問われる。
(篠原英樹)

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