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地域農協、問われる自立 改正法成立、JA全中の指導権廃止

2015年08月29日 | 農業
地域農協、問われる自立 改正法成立、JA全中の指導権廃止
農地活用策 課題残る
2015/8/29 3:30 日経朝刊

 政府が成長戦略の一つに位置づける農業改革の柱である改正農協法が28日、成立した。全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限を縮小し、地域農協や農家の競争を促す内容だ。農協や農家が新需要を開拓すれば所得を増やせる半面、手をこまぬけば衰退しかねない。日本の農業の競争力を高めるには、今回先送りした企業の農地所有など農地の有効活用策も課題になる。



 改正農協法の柱は、現在は農協組織の頂点としているJA全中や全国農業協同組合連合会(JA全農)の位置づけを「地域農協をサポートする」と変えたことだ。JA全中が地域農協に対して持つ監査・指導権をなくす。
 今後は各農協がJA全中に頼らず自らマーケティングなどを考える必要がある。地域農協の理事の過半数を将来性があると自治体が認めた生産者や、農産品の販売に優れた「農業のプロ」とすることも規定した。
 「農協や農家は売れるものを自ら考える工夫が求められる。大変だが所得増大のチャンスだ」。ミカンの生産や加工販売を手掛ける三ケ日町農業協同組合(浜松市)の後藤善一組合長は改正農協法の成立に改めて身を引き締める。
資材費減に期待
 千葉県のある地域農協の組合長も「直売所での野菜や畜産品の売り上げを伸ばし、若い人たちを取り込んでいきたい」と意気込んでいる。
 これまで一部の地域農協は、農産品の集荷と引き換えに、肥料や資材を農家に購入させていた。制度上は強制力はないものの「購入を渋り続けると集荷してもらえなくなることもある」(四国の農家)ため、やむを得ず量販店より高い値段で買わざるを得ない農家も多い。こうした強制販売は改正で禁止される。コメ生産などを手掛けるドリームファーム(富山県入善町)の鍋嶋太郎代表は「競争原理の導入で価格が下がるのではないか」と期待している。
 農協改革の追い風となったのはJA全中の会長交代だ。農協改革で政権と対立し、事実上の辞任に追い込まれた万歳章・前会長に対し、11日に就任した奥野長衛・新会長は「JA全中がピラミッドの頂点にある組織を変える」と明言している。 政権との距離も万歳時代の対立から融和姿勢に転換。27日に安倍晋三首相と会談した際には、首相からの「ともに改革に汗をかいていきたい」との呼びかけに「いろんな知恵をお貸しいただきたい」と応じた。
改革効果疑問も
 ただ、農協改革への評価は地域農協によって温度差がある。梨北農業協同組合(山梨県韮崎市)の仲沢秀美常務理事は「(政府の説明では)改革で生産者所得の向上につながるという論理が分からない」と話す。
 国内農業の競争力を高めるための改革は農協以外にも課題が多い。
 改正農協法とともに成立した改正農地法では、農地を保有する法人への企業の出資比率の上限を上げた一方、直接の所有は認めなかった。企業が大規模に設備投資すれば生産性の向上が見込めるが、自社保有できないため投資に二の足を踏む企業も多い。
 農林水産省が農地集約を目指して昨年度に始めた「農地中間管理機構(農地バンク)」も、初年度の利用実績は目標の2割程度にとどまった。
 高齢化も深刻だ。現在の農業就業人口は227万人で、うち65歳以上の割合は6割強を占めている。若い担い手の育成や農地の有効活用に向けた取り組みが重要になる。