キム・ギドク最新作『絶対の愛』は期待が大き過ぎた。
性愛と言うより自己愛に狂っているようにしか見えなくて、笑えなかった。
笑わせようとはしてないかもしれないが。
キム・ギドク物語は寓話なので、湖から引き摺りあげたのに何で服が濡れてないの? (『魚と寝る女』)とか、そういう事はどうでもいい。
というか「異常天才」なので、むしろ楽しい。
でも『絶対の愛』は、混乱し苦しむ女性に、整形したってわかるだろう! 永遠の愛を望む相手なんだからよぉ!と叫びたくなる。
整形を始め、女のやることいちいち、こんなことしたら絶対後悔するよ、と思わせる。
それが全く違う展開になるのかな、と期待したのだが、女の気持ちの変化は予想通りの成行きで、もうどうでも好きにしてくれ状態。
私同様「キム・ギドク愛」の人、宮台真司氏も「困惑した」「しっくりこない」と書いていて、ナルホド。
でも、好きなところもたくさん。
特に、エロティックな彫刻が並ぶ海岸が印象的だった。
キム・ギドク・ワールドのためのセットかと思ったら『ペミクミ彫刻公園』という実在の公園で、全て彫刻家イ・イルホの作品だそうで。
機会があったら是非行ってみたい。本物をそばでじっくり見たい。
青い男女がからみあっている作品とか、妙に惹かれる。
今丁度、中島義道著『ひとを愛することができない マイナスのナルシスの告白』を読んでいたところで、改めて愛について考える。
「絶対の愛」と言われると、「永遠の愛」とか「無償の愛」とかをイメージする。
だからやたらな嫉妬深さとか、顔に飽きられる不安とか、整形で愛をつなぎとめるとか、整形ぐらいで相手がわからなくなるとかは「絶対の愛」とはかけ離れている。ように思える。
しかし、愛は崇高で美しく優しいだけのものではなくて、貧しく愚かで虚しく醜い面もあって暴力的なものと中島義道は教えてくれる。
それを理解すると映画『絶対の愛』を「こんなの本当の愛じゃない!」とは言えない。
やっぱり深いね、キム・ギドク。
続いて劇場未公開の『悪い女~青い門~』。
これは文句なし。痛いけど優しい、キム・ギドクの御伽噺。
飛び込み台でのラブシーンは、好きなラブシーンベスト3に入る。
美しい。気持ち良さそう!
娼館の家業と娼婦のジナを忌み嫌うヘミの心情が、この光景を見て解放されていくのがとてもよくわかる。
『絶対の愛』の後に見た順番も良かった。
『リアル・フィクション』は血の色がまるでオモチャだったが、『悪い女』でトイレットペーパーに染みた血の色はリアルだった。
たいした問題じゃないようで、大事だ。
キム・ギドク愛を一層深め、『MILLIBAR』へ。
映画配給会社のIさんが来ていて、仕事関係の人と一緒の様子。
どうやらキム・ギドクの話をしている。
耳をダンボにして(古い)聞いていると『絶対の愛』を上映、「スーパー・ギドク・マンダラ」イベントをやっている劇場『ユーロスペース』の人? という感じ。
その男性がトイレに行って、席に帰るところを捕まえる。
「私、今日『絶対の愛』と『悪い女』見てきたんです。先週『リアル・フィクション』見ました。『ワイルド・アニマル』も明後日見ます!」と話しかける。
なんと、その人は劇場の人ではなく、「スーパー・ギドク・マンダラ」を企画した人だった。
素晴らしい! ありがとう! 私は興奮してキム・ギドク愛を語ってしまった。
「パーティー行きたかった! 会いたかった! またやって!」
そんな「絶対キム・ギドク愛」の素敵な一日であった。
そしてなんと、私の願いは届き、キム・ギドクの処女作『鰐』が4月28日からユーロスペースで上映されるのにあわせて、特集上映「スーパー・ギドク・マンダラ」も再映されることに!
(http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=80)
未見の『うつせみ』も見られる! ああ、シアワセ。
性愛と言うより自己愛に狂っているようにしか見えなくて、笑えなかった。
笑わせようとはしてないかもしれないが。
キム・ギドク物語は寓話なので、湖から引き摺りあげたのに何で服が濡れてないの? (『魚と寝る女』)とか、そういう事はどうでもいい。
というか「異常天才」なので、むしろ楽しい。
でも『絶対の愛』は、混乱し苦しむ女性に、整形したってわかるだろう! 永遠の愛を望む相手なんだからよぉ!と叫びたくなる。
整形を始め、女のやることいちいち、こんなことしたら絶対後悔するよ、と思わせる。
それが全く違う展開になるのかな、と期待したのだが、女の気持ちの変化は予想通りの成行きで、もうどうでも好きにしてくれ状態。
私同様「キム・ギドク愛」の人、宮台真司氏も「困惑した」「しっくりこない」と書いていて、ナルホド。
でも、好きなところもたくさん。
特に、エロティックな彫刻が並ぶ海岸が印象的だった。
キム・ギドク・ワールドのためのセットかと思ったら『ペミクミ彫刻公園』という実在の公園で、全て彫刻家イ・イルホの作品だそうで。
機会があったら是非行ってみたい。本物をそばでじっくり見たい。
青い男女がからみあっている作品とか、妙に惹かれる。
今丁度、中島義道著『ひとを愛することができない マイナスのナルシスの告白』を読んでいたところで、改めて愛について考える。
「絶対の愛」と言われると、「永遠の愛」とか「無償の愛」とかをイメージする。
だからやたらな嫉妬深さとか、顔に飽きられる不安とか、整形で愛をつなぎとめるとか、整形ぐらいで相手がわからなくなるとかは「絶対の愛」とはかけ離れている。ように思える。
しかし、愛は崇高で美しく優しいだけのものではなくて、貧しく愚かで虚しく醜い面もあって暴力的なものと中島義道は教えてくれる。
それを理解すると映画『絶対の愛』を「こんなの本当の愛じゃない!」とは言えない。
やっぱり深いね、キム・ギドク。
続いて劇場未公開の『悪い女~青い門~』。
これは文句なし。痛いけど優しい、キム・ギドクの御伽噺。
飛び込み台でのラブシーンは、好きなラブシーンベスト3に入る。
美しい。気持ち良さそう!
娼館の家業と娼婦のジナを忌み嫌うヘミの心情が、この光景を見て解放されていくのがとてもよくわかる。
『絶対の愛』の後に見た順番も良かった。
『リアル・フィクション』は血の色がまるでオモチャだったが、『悪い女』でトイレットペーパーに染みた血の色はリアルだった。
たいした問題じゃないようで、大事だ。
キム・ギドク愛を一層深め、『MILLIBAR』へ。
映画配給会社のIさんが来ていて、仕事関係の人と一緒の様子。
どうやらキム・ギドクの話をしている。
耳をダンボにして(古い)聞いていると『絶対の愛』を上映、「スーパー・ギドク・マンダラ」イベントをやっている劇場『ユーロスペース』の人? という感じ。
その男性がトイレに行って、席に帰るところを捕まえる。
「私、今日『絶対の愛』と『悪い女』見てきたんです。先週『リアル・フィクション』見ました。『ワイルド・アニマル』も明後日見ます!」と話しかける。
なんと、その人は劇場の人ではなく、「スーパー・ギドク・マンダラ」を企画した人だった。
素晴らしい! ありがとう! 私は興奮してキム・ギドク愛を語ってしまった。
「パーティー行きたかった! 会いたかった! またやって!」
そんな「絶対キム・ギドク愛」の素敵な一日であった。
そしてなんと、私の願いは届き、キム・ギドクの処女作『鰐』が4月28日からユーロスペースで上映されるのにあわせて、特集上映「スーパー・ギドク・マンダラ」も再映されることに!
(http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=80)
未見の『うつせみ』も見られる! ああ、シアワセ。
悪い女は、DVDでしか見ていないけど、その後のいくつかの作品のモチーフが、あちこちに発見することができました。
間もなく公開の『鰐』もそんなところがいっぱいあるのでしょうか。
ドキドキ、楽しみです。