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4月16日 香山リカの「ハッピー孤独死マニュアル」第3弾~「おひとりさま」の理想と現実、教えます。

2009-04-21 04:45:13 | 抱茎亭日乗メモ
 なるほど、2回参加して「ハッピーな孤独死」、大体わかった。
私はお別れの会も遺品もどうなろうといいや。
いつ死んでもいいように、今を楽しく生きるだけ。
香山ゼミももういいかな、と思った。

しかし、フォーラム神保町事務局の岡部さんから「第3回ゼミまでに、講師のNPO「SSSネットワーク」代表松原惇子さんの著書をチェックし、おひとりさまの介護保険について調べよ」との指令。
むむむ。まだ必要に迫られてなくて、知識も興味もそれほどないのだが。
そこへ、たまゆら火災など、孤独死より悲惨な事件も発生し。

ネットで調べたり、新聞社や社保庁勤務の友人に聞いてみた。

朝日新聞では「人生デザイン」という熟年世代向け連載で、ちょうど松原さんに取材した特集「ひとりで暮らす」が始まった。
http://doraku.asahi.com/jinsei/090407.html

そしてどうやら介護保険は家族のいない天涯孤独のおひとりさまには非常に冷たい、そもそもそういうライフスタイルを念頭に置いていない制度らしい、とわかってきた。
厚労省の発表している資料でさえ「これから独居老人が増えるので対応していかなくては」みたいな悠長な事言ってて、実際今何百万人の独居老人がいるんだよ!と呆れてしまった。

結局本屋でチラッと松原さんの著書を立ち読みしただけでは、岡部さんに聞かれた

> 要するに、介護保険制度の落とし穴が知りたいのですが、私もいろ
いろ調べてみて、65才以上でないと介護サービスが受けられない
とか、40才未満の人に介護の保障はされないとか、介護サービス
は現物支給(サービスの提供)は受けられるが、金銭の支給は全く
無い・・・などの現実を知らない人が多いこと。
そして、例えば、ある日突然、自分が介護認定の対象となった時、
それが働き盛りの40代、50代の場合、介護サービスの恩恵は受
けられず、65才まで待たないと介護保険のサービスを受ける権利
は無いという現実のことを指しているのかなぁ・・・

への回答は見つからず、当日質問すればいいか、と思っていたら、松原惇子さん、滅茶苦茶面白い人だった。
そんな細かい真面目な質問しても「知らないわ! やめちゃえばいいのよ、あんな制度。自分たちでやるから!」みたいな。

イヤー、素敵だった。女版宮崎学かも。

NPO「SSSネットワーク」は女性“ひとりの老後”を応援する目的で作られた団体だそうで、現在会員は首都圏中心に約900名。
災害が起きたときのためのネットワークが約200名。
病気の時に、家には上がらず「ドアにバナナを」届けるネットワークも構築中とのこと。

老後をメンバーと一緒に暮らす「グループハウジング」は「やろうやろうって話になったけど、止めたわ!」と松原さん。
「だって無理よ。今まで一人でやってきたのに。一人は嫌な人なの!頑固で我侭。つかず離れずがいいのよ」

なるほど。第2回講師の遺品整理屋吉田さんは「実は自分勝手な人は一人暮らしはできない。一人暮らしの人は周りのことを考えている。」と言っていた。
松原さんも「面倒くさいこと始めちゃったわ、どうしよう」とか言いながら「不安だって言うから『じゃあこうすれば? やってあげるわよ』って言っちゃうのよねえ」。

損を承知で身内を助ける。やっぱり任侠の世界である。

「あの世はどうでもいいじゃない。この世が大事よ。お墓はあるわよ。でも別のところに入るかもしれないわ。あはは」だって。
「男はどうすれば?知らな~い。どうでもいいわ。結婚する人が減る?いいじゃないべつに、滅びりゃいいのよ」
ぎゃはははは。会場大爆笑。
「いや、松原さんのように覚悟を持ってる強い人はいいんですけどね、不安な人もいるでしょう。そういう人はどうすれば?」
と食い下がる香山リカさんと、まるで漫才のよう。
「お金を持っている人ほど不安がる。老後にいくら必要とか、マスコミが言うけど、あんなもの嘘よ!」
「私はもう人間ドックもやらない。保険も入らない。病院に行くから病気になるのよ。60歳過ぎて健康を求めるのは欲張り」
「病気をする人はケチ。いざって時のためにお金を使わない。いざって時なんか、人生に1度か2度しかないのよ」

香山さんがネットワークの人間関係について尋ねると「うまくいかなきゃやめればいいのよ。他へどうぞ、って言うの。でも、やめないのよぉ~」と面白そうに言う松原さん。
松原さん個人のブラックリスト上の人物が、「いい人リスト」に浮上することもあるらしい。

私の質問「具体的にどんな人が何をするとブラックリストから『いい人リスト』にランクインするんですか?」
「第一印象が悪かった。初めて会ったのに文句ばっかり言うとか、人が気にしていることをズケズケ言うとか。でも、非常に心根のいい人だとわかったの。まあ、そういう人はあまりいないわね」

私が意外だったのは、親の介護をした独身女たちは皆「看取って良かった」と言うのだそうだ。
社会システムが駄目で、介護保険などが使いづらくても、女一人でも働きながら親を看取れる、みんなやってる、やって良かったと言う。
へええー。私にもできるだろうか。避けて通りたい道だが。

「金を積むより徳を積むべし」と松原さんは言う。松原さんの実践していることがそれだ。
松原さんも40代までは孤独死なんて絶対嫌だと思っていたらしい。「ミーハーで、直感と視点のみの、出たとこ勝負」。
「お金もなかった。夢も目的もなくて、ずっと死にたいって思っていた」
家を買い、墓を作り、ネットワークを立ち上げ、一つずつ不安を解消してきた。

私の質問「SSSネットワークで自殺した人はいないんですか?」
「いますよ。アナウンサーで有名な人だった」
不安だ不安だ、って訴えるような人ではなくても実は不安だったってことなんだろうか。
「有名人は大変。いつもきれいにしていなくちゃいけないし、疲れる。みなさん無名で良かったわよ」

というわけで、いつ死んでもいいように、今を楽しく生きるだけの私にピッタリなお話で、ああ面白かった!

昨年夏自死した友人Aも「仕事がない、お墓がない、持ち家がない、家族がいない、結婚できない」と頻りに不安を訴えていた。
そこにつけこまれた。不安を解消する振りをして近づく人物に不安を煽られ、雁字搦めにされ、「友達がいるじゃない」という言葉は通じなかった。

Aの遺品はどうなったのだろう。私は友人として遺品整理ぐらいするべきだったのだろうか。
(手を下していないとしても精神的に追い詰めて)Aを殺したBと一緒に? 有り得ん。
しかし、そうして欲しいからAは私に住所を知らせてきたのだろうか。
手紙があるなら読みたい。Bに頼む? ご免だね、Aが生きているならBと戦う意味もあるが。

やはり、生きているうちが花なのよ、死んだらそれまでよ!

2ちゃんねらーのみなさんが「死ね死ね」言うのもお好きにどうぞ、って話だが、あなたも私も間もなく死ぬんだから、大丈夫よ!
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