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T O W E R 中藤毅彦写真展

2009-05-18 21:38:54 | お知らせ
Roppongi004


締切りは刻々と迫っているのに、原稿は全く進んでいない。いつもの悪い癖なのだが、手を広げすぎてしまい、収拾がつかなくなっているのだ。こういう時は、あきらめて素直に時間を取り、落ち着いて現在の状況を整理しなおすほかないのだが、それをする気持ちの余裕がないほどに煮詰まっている。



というわけで、気持ちをほぐすとかなんとか適当な言い訳を自分にしつつ、先週から気になっていた中藤毅彦写真展「T O W E R」を鑑賞するため、神保町のgallery福果へ足を運んだ。



かねてから、中藤氏の作品には人柄のよさがにじんでいると思っていたが、今回の展示は特にそれが際立っていたように思える。端的に言ってしまうと、とても無邪気に塔が存在していることを受け止め、そしてなんのてらいもなくシャッターを切っているような、そんな作品が展示されていた。
中藤氏は下から塔を見上げるでもなく、また塔から下界を見下ろすでもなく、あるときは遠くから、またあるときはその足元から、塔が存在している光景とありのままに向き合っている。そういう作家のストレートな心理が、これまたストレートに作品へ反映されていると、自分にはそう思えた。



自分は、塔だの高楼だのを眺めるたび、つい「そこから自分を見下している何者か」を想像してしまい、どうしても素直にその存在を受け止めることが出来ない。そもそも、神話の頃から高楼は人間の持つ野心や傲慢さの象徴だし、バベルの塔やタロットの塔を引き合いに出すまでもなく、塔はいつか必ず崩壊する存在ではないか。



しかし、中藤氏の作品にはそういった塔と言う存在に対する否定的なところがかけらもなく、しかしながらそれでいて塔の持つなにか威圧的なところまで含めた、いわば圧倒的な存在感が本当に素直な形で表現されているところに、よき人々のよき世界があるように思える。中藤氏の作品にある塔の中には、どこか不安定ではかなげに見えるものもあるのだが、それでも決して崩れることはないのだろう。



出来れば、時間を作って足を運んでいただきたい。


中藤毅彦 展
会場: gallery 福果
スケジュール: 2009年05月11日 ~ 2009年05月23日
住所: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-11 2F
電話: 03-3259-6555 ファックス: 03-3259-6555