ひまわりもぐったりするような酷暑の余韻がなかなか消えない。
台風で一気に終息したかに思えたが、晩夏の尻尾はおもいのほか太い。
7/11のブログにも載せた、代官山に突如出現したひまわり畑の
ひまわりたちも 旺盛に咲き誇った末、もはや青息吐息というのに。
東京都心では8月末に熱帯夜の日数が1994年以来の最多記録を更新したそう。
エンドレスサマー。もはやこの暑さをどこかで愉しんでさえいるような気がする。
とまれ、恐ろしく暑かった夏のことはいつまでも鮮烈に覚えているけれど、
冷夏のことはとんと覚えていなかったりするから
あと10年もすれば、この夏がきっと猛烈に懐かしくなったりするのかもしれない。ふぅ。
それでも、9月頭に恵比寿や代々木公園を行き来した折、
秋めいた羊雲が頭上にぽこぽこ群れなしていた。
薔薇園には、かわいた薔薇の代わりに、
夕陽に翅をきらきらさせた蜻蛉の群れが
羊雲の海を泳ぐようにすいすい飛び交っていた。
☆
実は最近、仕事で別のブログを始めたこともあり、自分のブログ更新がめっきり遅れがち。
思いも写真も日々溜まり続けてはや9月。つらつら思い出しつつ、晩夏をプレイバック。
8月最後の週末、吉祥寺でコーチングの先生をインタビューした後、井の頭公園をしばし散策した。
といっても、この日も獰猛なまでの陽射しと熱気で、歩いている人はほぼ皆無。
鴨さんたち とても気持ちよさげだったけど、池もきっととろとろのぬるま湯にちがいなく。
晩夏の白昼に広い公園をそぞろ歩くと、懐かしさがふうっとこみあげてくる。
幼い頃、夏休みに家族とよく行楽に出かけた時の光に どこか似ているからなのか。
☆
さかのぼることお盆あけ、木下ときわさんのライブ@クーリーズクリークへ。
レイちゃんてば、やっぱり「海へ来なさい」で落涙していた。
バックにピアノも入って一段とエレガントなパワーを増したときわさんのボッサと
クーリーズならではのモヒート&ゴハンで、仕事三昧の頭と身体に一服の涼と滋養。
この3日後、キムリエさん、ちよさん、マイカ社長と久々に集合。みんな、5年前に
とあるWEBサイトや雑誌の仕事で意気投合して以来のかけがえのないお仲間。
夜はうちでキムリエさんとまた夜明けまでお喋り。なんだか女子高生みたいな楽しい夜。
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9/1、仕事で先日お世話になった南村さん(写真左。撮影してる金髪の方はアイロンママ田形氏)が
主宰する「Kitchen DOG!」のリニューアルオープンパーティへ。
骨董通り側にある心地よいお店には、「Red Lily Magnolia」も併設されています。
写真中央の方は会場で知り合った東京わん!Lifeペットシッターの國分さん。
バッグのわんちゃんは保護した子なのだそう。いい人に保護されてよかったね。
しかし、猫と長く暮らしてきた身としては、猫よりずっと華奢なわんちゃんたちが
みんなぬいぐるみみたいにお行儀よくしているのにびっくり!
これがもし猫なら、パーティ会場はまさに 猫ふんじゃった状態で大騒ぎになりそうだもの。
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とっくに終わっちゃったけど、銀座松屋で8月に開催していた「ゲゲゲ展」にも行ってきました。
エントランスから、デザイナー祖父江慎さんのワンダーチャイルドなアートワークが炸裂。
チケットブースも、ぬりかべ。
子供の頃は、墓石や卒塔婆の画も鬼太郎も怖くて、漫画もTVも横目でしか見ていなかったのだけど
あらためて水木ワールドを俯瞰すると、もの凄いクリエイターだなあと、今さらながら。
会場ではやっぱり号泣してるお子様がいたけど、水木しげるの描く目玉って
子供には妙に怖いのよね。
会場に隣接したグッズ売場には、猫娘の無添加ミスト、一反もめんタオル、目玉おやじプリンetc…
その見事な商魂と、グッズを大量に抱えてレジに並ぶ長蛇の列にびっくり。
ちなみに、ねずみ男グッズがほぼ皆無に等しかったのだけど、なぜ?所属事務所が違うの?
会場では、鬼太郎の原画の背景が恐ろしく細密で目を見張ったけれど、
帰宅して水木しげるの『猫楠』を改めて見ると、熊野の森の描写が驚くほど緻密。
そういえば、鈴木慶一が映画版「ゲゲゲの女房」の音楽を作ったよう。聴いてみたいな。
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これも8月、近所のラムフロム・ザ・コンセプトストアで開催していた佐藤健寿「新・奇怪遺産」を
観てきた。世界中の奇怪な建造物を撮りおろした写真集の作品が中心だったが、これみよがしに
その奇天烈ぶりを暴くという作風ではなく、キッチュな建造物に実に淡々と向き合っている印象。
被写体としては既に見慣れた場所も多く、むしろ懐かしかったりもした。
イタリアのボマルツォオ怪物庭園もそのひとつ。ボマルツォへは澁澤龍彦も1970年に
嬉々として訪れており、「ヨーロッパの乳房」の冒頭でその仔細を語りつくしている。
と、これは随分昔にボマルツォ庭園に行った時のマイスナップ。佐藤氏の作品じゃなくて恐縮です。
下半身がないように見えるのは、黒いパンツが背景の黒にとけてしまったからです、念のため。
怪物くんの唇には「OGNI PENSIERO VOLA(全ての思考は飛び去る)」と彫られている。いいことかも。
ちなみにこの怪物くんを中から撮影すると、こんな感じ。案外かわいいのです。
この庭園の怪物たちはどれも、バロック萌えの私にはちっとも怖くなく、
むしろ飄々と牧歌的にすら見えた(遠い目)。
ラムフロムの斜向いにある図書館の隅に、夕涼みの猫さんが一匹。
この夏、野良猫たちを真昼にみかけることは皆無だったけれど、
みんなどこで涼んでいたのだろう。
――と、梨を食みながら久々にブログを書いているうち、
日付が変わる前はまだ蒸し暑かった夜風が
随分心地よくなっていることに気付いた。
ここのところ、母が贈ってくれた初秋の風物詩、
幸水を朝な夕なにありがたくいただく日々。
身に染み通るようなみずみずしく澄んだ果汁が、
体の内側から小さな秋を報せているのを感じる。