「日本の子どもは世界でいちばん礼儀正しい
イギリス育ちの息子が日本の小学校に入学して大感動したワケ」
という興味深い記事が出ている。
イギリス在住で著述家の谷本真由美さんの
「世界のニュースを日本人は何も知らない5」
に掲載されたもの。
「世界のニュースを日本人は何も知らない」のシリーズは、
このブログでも「1」と「2」を紹介したことがある。
もう「5」まで来ていたか。
その要約が↓。
○谷本さんの息子は、
長い間、日本の学校に行くことが夢だった。
アニメや動画で日本の学校が紹介されて、
興味を持っていたのだ。
○ついに日本の学校に行くことが出来るようになり、
その感想は、素晴らしいものだった。
○まず、先生方がイギリスとは全く違う。
イギリスの先生たちはごく一部を除きビジネスライクで、
お金のためにやっている人もおり、
子どもの好き嫌いがひどく、
親身になる感じではない。
自分の担当以外の仕事は一切しないし、
時間になればさっと帰ってしまう。
嫌いな子どもには話しかけないし、
怒るときは小学生に対しても軍隊口調で怒鳴りつける。
○ところが日本の先生方は子どもたちを
まるで家族や親戚のように扱ってくれて、
心底温かい対応をしてくださる。
筆者の息子がゲロをはいてしまったときは、
先生が自ら掃除をしてくれた。
これはイギリスではありえないこと。
掃除はすべて外注の業者がやるからだ。
業者の人がいつもいるわけではないので、
そういう汚れた教室は閉鎖され、
ひどい場合は3日間も放置される。
一方、日本の学校では
先生が5分も経たずに片づけてしまい、
子どもたちは手伝ってくれた。
○同級生は大変親切で、
新参者であり、単なる訪問者にすぎない、
息子に気を配り、
挨拶を欠かさず、
仲良く遊んでくれた。
小学1年生でもこんな大人のような振る舞いができることに、
息子は大変な衝撃を受けた。
登下校時にも同級生が気を遣い、
「いっしょに帰ろうよ」と声をかけてくれ、
下駄箱の場所やさまざまな物の使い方を教えてくれた。
○イギリスの学校では
新参者は警戒され、
友だちは何カ月もできず、
持ち物が古いとか髪型のことなどを揶揄するのが当たり前で、
とても意地悪な子どもがいる。
クラス内では人種や親の職業で派閥ができてしまっており、
誕生会に招いた招かないでいじめが横行。
暴力的ないじめもある。
○日本で通った小学校は、そんな厳しい現実とは無縁で、
息子がお客さんだったからというわけでもなく、
そのクラスの子たちは普段から仲が良く、
みんなで親切にし合っていて
全体が友だちのような雰囲気だった。
○息子が驚いたのは、
生徒たちは「カナヘビ」というトカゲを飼育し、
虫かごに入れて「かわいいね」と
撫でたりして大事にしていたこと。
イギリスの学校では小動物や爬虫類を飼うことはない。
虫や爬虫類を発見すると、踏み潰して殺したり、
いたぶって遊んだりする子どもが多くいる。
小さなものを大事にする感性のある子どもは少なく、
自然にもあまり興味を抱いていない。
○イギリスの子どもたちは裕福な家の子でも、
ゴミを床や道に投げ捨て、
並ぶべきところできちんと並ばず、
人を押しのけ、私語だらけで大騒ぎし、
気を遣わず、意地悪をし、
トイレを汚し、
食べ物を床に投げて足で踏み潰し、
カーペットになすりつける。
大人の「使用人」が掃除すると思っているからわざとやるのだ。
○日本の子どもたちは
全体的に礼儀や共感性がしっかりしており、
小さな子でも「非認知能力」が恐ろしく発達している。
記憶力や学力テストで数値化できる能力は「認知能力」であり、
算数や国語など試験の成績に当たる。
これに対して、非認知能力とは
「社会情緒」に関する能力のことで、
感情の動きをつかさどる。
それは「社会性」「協調性」「忍耐力」「意欲」
「自己肯定感」「予測力」「共感性」などで構成される。
もっと具体的にいうと以下のようなことだ。
◇同級生の体調を気遣う
◇相手の都合を考えて予定を調整する
◇お客さまのニーズを察知する
◇グループ活動をやり目的を達成する
◇ものごとをやり遂げる
◇周りの人と上手にコミュニケーションをとる
○息子が遭遇した学友や街で出会う日本の子どもたちは、
かなり高いレベルで成熟した非認知能力を身につけている。
親が学校へ迎えにいっても、
小学1年生がきちんと挨拶をしたり、
たいへん丁寧に世間話をしたり、
下駄箱に靴をきちんとしまう。
○待ち時間に観察していたところ、
遠足から帰ってきた5年生は
バスから下車して点呼が終わるまで10分かからなかった。
統制がまったくないイギリスやフランス、アメリカの子どもなら
同じ行動に40分ほど要するはず。
○だから日本の公立校に通う
ごく普通の小学生が
イギリスの小学校に転校した場合、
その子どもは礼儀や行動評価で
全学年のトップになってしまうだろう。
えっ、イギリスの学校って、本当にそんなにひどいの?
と思ってしまうが、
イギリス在住の人が
こうして本に書いているくらいだから、
本当なんだろう。
日本人は、江戸時代から、
町人の子どもでも、
寺子屋で教育を受けた。
明治以降、教育に力を注ぎ、
識字率は100パーセント。
漢字、ひらがな、カタカナをこなす。
中国では一つの漢字に一つの音だが、
日本では、同じ漢字でも数々の読み方があり、
それを全部身につけている。
26文字しかないアルファベットを駆使する欧米でさえ
識字率が低いことを考えると、
日本人の頭脳と教育の力の大きさを誇りたい。
「世界のニュースを日本人は何も知らない」の1と2についての
過去のブログを再読してみたが、
欧米、特にイギリスと比べて
日本がどれほど住みやすい国かが分かって興味深い。
そのことを日本人自身が知らない、ということが不幸だ。