あなたがたの中の戦いや争いは、いったい、どこから起るのか。
それはほかではない。
あなたがたの肢体の中で相戦う欲情からではないか。
『ヤコブの手紙』 4章1節 口語訳
すべては小さなものです。
でも、それを神様に差し上げるなら、
途方もなく
大きなものになるのです。
マザーテレサ
欧州を街ごと“コピー”する中国 世界遺産が危ない
■産経新聞 11月18日 14時8分配信

△参拝客らの立ち入りが禁止になっている和歌山県那智勝浦町の那智の滝(写真:産経新聞)
世界遺産がおかしなことになっている。オーストリアの湖岸の美しい町が中国に“コピー”され、日本では和歌山県の那智の滝でロッククライミングをした男らが礼拝所不敬容疑で逮捕されるという珍事件も。一方で、中東では内戦が続くシリアで戦闘による直接的な被害が出たほか、パレスチナ自治政府が推薦したキリスト生誕地とされる「聖誕教会」の登録が決まり、対立するイスラエルとの新たな政争の具となりそう。人々のエゴや無知に翻弄されながらも今年で世界遺産条約採択から40年。大阪では府内初の登録を目指す百舌鳥・古市古墳群で本格的な測量が80年ぶりに行われたのだが…。(篠田丈晴)
■町並みを“コピー”
直接的な被害ではないのだが、ブランド品からテーマパークまで何でも偽造してしまう「コピー天国」の中国が今度は世界遺産の町までもまねてしまった。
“被害”にあったのは、オーストリア中部の湖岸にある美しい世界遺産の町ハルシュタット。2千年以上続く岩塩の採掘や湖岸の歴史的な町並みで知られ、1997年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。町の狭い路地は多くの観光客らでにぎわい、特に中国人の年間宿泊客は同国の経済発展を反映して2005年の約50人から昨年は約2400人に急増していた。
こうした中、中国南部・広東省の広州市近郊に、湖のほとりに教会やホテルなどハルシュタットの中心部や通りをまねた分譲地「ハルシュタット・ビラ」が登場した。販売価格は地元の高級住宅の3倍以上だが、初回分譲400戸の大部分が契約済みという。今年6月の記念式典には、ハルシュタットの町長らが招待された。
ただ、経営するホテルと同じ建物が建設された男性は「無断でコピーされたなんて信じられない。この町には人々が積み重ねてきた歴史がある。建物はまねできても、歴史や暮らしまでまねすることは絶対にできない」と反発する。
そんなことを訴えたところで、中国人には「のれんに腕押し」なのだが、これが恒常化しないよう欧米の人には教訓にしていただきたい。
■戦火で観光地も打撃
一方、昨年3月から内戦状態にある中東シリアは深刻だ。激戦地・北部アレッポで9月末、世界遺産に登録されている旧市街のスーク(市場)がアサド政権と反体制派との戦闘による出火で甚大な被害を受けた。
アレッポのスークは、路地の長さが約13キロにも及ぶ屋根付き市場。13世紀ごろから現在の形に発展、観光の目玉としてだけでなく、市民生活の場として根付いている。反体制派活動家らによると、9月28日から29日にかけて起きた火災で、市場内の商店1500軒以上が損傷。直接の原因は不明だが、反体制派は同月下旬から、アレッポ制圧に向け旧市街にも部隊を展開、これに対し政府軍が集中砲火を浴びせていた。
シリアにはアレッポ旧市街に加え、ローマ時代の遺跡パルミラなど計6カ所の世界遺産がある。内戦が始まる前は日本の旅行代理店も各種ツアーを組むなどしており、人気の観光地だった。しかしロイター通信によればユネスコは、うち5カ所が戦闘などで損壊したと推定している。
日本の外務省は昨年4月26日付で、シリア全土に対して危険情報を出し、渡航延期を呼びかけている。今年10月末に国連などがイスラム教の祝祭「犠牲祭」期間に呼びかけた4日間の一時停戦も実現しなかった。日本人が安心してシリアを訪れる日は遠い。
■中東の火種になるかも
同じ中東では、ユネスコの世界遺産委員会が6月29日、パレスチナが推薦していた、キリスト生誕の地とされるヨルダン川西岸ベツレヘムの「聖誕教会」とその巡礼路を世界遺産に登録することを決めた。パレスチナ自治政府は、パレスチナの主権が国際社会に支持されたとして、「パレスチナの大義への希望と自信を与えるものだ」(ファイヤード首相)と歓迎する声明を出した。
昨年10月にユネスコへの正式加盟が承認されたパレスチナは、聖誕教会が「(1967年の第3次中東戦争以降から続く)イスラエルの占領政策で危機的な状況にある」と、保護の必要性を訴えていた。
世界遺産の推薦は原則、国単位で行われるため、今回の決定は教会周辺の土地をパレスチナの「領土」と認める意味合いも持つ。今年9月に国連での位置づけを「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げすることを目指す方針を示すなど、国際機関での国家承認を求めるパレスチナにとっては追い風だ。
だが、和平交渉の当事者であるイスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ側のこうした動きを「一方的だ」と非難し、今回の世界遺産登録についても、「文化ではなく政治的な動機によるものだ」と批判した。
聖誕教会は4世紀に、キリストが生まれたとされる洞窟の上に建てられ、キリスト教徒にとってはエルサレム旧市街の聖墳墓教会と並ぶ聖地でもある。
■罰当たりな岩登り
日本人も騒がせた。著名なロッククライマーを含む男3人が7月、和歌山県那智勝浦町の世界遺産、那智の滝でロッククライミングをしていた。県警は3人を軽犯罪法違反(禁止区域への立ち入り)と礼拝所不敬容疑で書類送検したがその後、起訴猶予となった。
那智の滝は、熊野那智大社の別宮である飛瀧神社のご神体で、落差は133メートルと、日本一を誇る。
3人の逮捕容疑は、敷地への立ち入りが禁止になっている那智の滝の滝つぼ近くにある「立入禁止」の札がかかった柵を乗り越え、岩を登ったとしている。県警や同大社によると、ロープなどを使いながら、滝の約3分の2の高さ約100メートルまで登ったという。
3人は当初「日本一の那智の滝に登りたかった」と供述していたというが、その後「こんな大ごとになるとは思わなかった」と反省の言葉も口にしたようだ。
朝日芳英宮司は「ご神体を土足で汚すとはけしからん。こんなことは初めてで許せない」と憤った。
罰当たりな行為は、熊野那智大社と同じく熊野三山の熊野速玉大社(和歌山県新宮市)でも一昨年発覚。同大社所有の山林を無断伐採したとして、市議らが文化財保護法違反容疑などで書類送検され、その後起訴猶予となった。
■エゴや無知に翻弄され…
1972年の世界遺産条約採択から40周年の今年、ユネスコは本部(パリ)での開幕行事を皮切りに、世界各地で記念会合を開催。11月6~8日には、最終の会合が京都市で開かれ、ユネスコや調査機関のイコモス、締約国の政府関係者が集まり、世界遺産の保全と地域の生活水準を両立させる取り組みの重要性などをうたった提言「京都ビジョン」をまとめた。
一連の記念会合のメーンテーマは「持続可能な発展と地域社会の役割」なのだが、“世界遺産”たちは政治に利用され、人々のエゴや無知に翻弄されてきた。そんな中、大阪府教委などは9月、府内初の世界遺産を目指す堺、羽曳野、藤井寺3市を中心に広がる百舌鳥・古市古墳群の航空レーザー測量図を作成したと発表した。測量は登録に必要なデータの取得のため実施された。古墳の半数近くは、宮内庁が管理する陵墓や陵墓参考地で立ち入り調査ができないため、本格的な測量調査は80年ぶりだったという。こうした地道な努力が実を結んだのち、「世界遺産」がないがしろにされることがないよう望みたい。
(産経新聞 11月18日 14時8分配信)

そういえば、『NHK世界遺産100』のナレーションの松平アナも昔、タクシー運転手殴って捕まったけど、
痴漢の森本アナも復帰するのかな、?。