Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

21th TIFF Selection : 「モーツァルトの街」

2008-10-23 23:32:21 | K-Movie Notes


「モーツァルトの街」

原題: 모차르트 타운 (2008 年 韓国)
監督:
チョン・ギュファン
出演: オ・ソンテ、チョ・ユラン、ブレイズ・グバト
link to
TIFF



「超」 低予算(3000 万ウォン= 270 万円)、撮影回数 12 回。監督さん、初めての長編だということで、予算がなくて頑張って撮ったという熱意は伝わってきた。でも・・・

① カンペ(ヤクザ)、② 上から出すもの、③ 下から出すもの。
韓国映画の定番的要素とも言える描写。

こうした新進(?)の監督作品ですら、この定番的要素がついてまわり 「またか」 と。特に ③ については Q&A でもショックを受けたと述べた観客がいた。このタイトルだけを見てチケット買われた方は、イメージと違うと思う内容かもしれない。



                   * * * * * *


Q&A 概要メモ
2008/10/19 [TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6]


 この作品を撮ったきっかけは何か。

旅行者の視点を通してみた社会を撮りたかった。旅行者の目に映るものというのは、一過性のものでしかなく、社会に潜む人々の哀しみの深さまでは推し量れない。そういう人々が抱える哀しみを描きたかった。


 「モーツアルトの街」 というタイトルについて。異邦人から見た街、違和感を表現したかったのか。なぜベートーベンでないのか。

実は、ベートーベンであっても、メンデルスゾーンであってもよかった。ただシナリオを書いているときに、偶然ラジオからモーツアルトのソナタがかかり、ソナタはどこか哀しみを伴っており、やはりモーツアルトがしっくりくると思えた。

また、場所もソウルでなくとも、東京でもロンドンでも北京でも成立するストーリーだと思う。


 女性の視点から、月経の染みと排泄というシーンはショッキングだ。そこまでして描く理由は何か。

不快感を与えてしまったとしたら申し訳ない。悲しみの象徴として月経を、不条理の象徴として排泄を表現しており、そこにインパクトを与えたかった。


 キャスティングの苦労話を。

ともかく低予算作品なので、キャストは全員ノーギャラ。知名度のある俳優にも声をかけたが、ことごとく断られた。韓国人のキャストは、演劇方面の俳優にお願いした。また、外国人のキャストが必要だったが、何しろノーギャラなので、外国人が多く行き交う梨泰院(イテウォン)を歩き回っては声をかけて見つけた。外国人キャストは、みな素人なので演技トレーニングをしてから、演じてもらった。


                              *  *  *  *  *  *


旅行者の視点というが、そんな視点ってあったっけ?(ワタシ、寝てた?)
どちらかというと、交差点の売店に一日中座り、時々カメラを取り出し、行き交う人々を写す女性に焦点が当てられ、彼女がのぞくファインダーを通した視点というなら話はわかるけれど。

その彼女と彼女が撮影した写真に残された複数の人々の日常のストーリーが並行していて、それがところどころ繋がっていくというプロットは良かったかな。低予算という割りには、あれもこれもと話を詰め込まれていた。

奇をてらったインパクトとか挿入しなくても(韓国映画を見慣れていても不快に感じた)、淡々とカメラをのぞいていてくれたらなぁと。

 

 


21th TIFF Selection : 「がんばればいいこともある」

2008-10-23 23:19:17 | Cinema な時間


「がんばればいいこともある」

原題: Aide toi et le ciel t'aidera (2008 年 フランス)
監督: フランソワ・デュペイロン
出演: フェリシテ・ウワシー、クロード・リッシュ、エリザベス・オポン
 link to
TIFF

前半・・・テンポも良くて、ちょっとシニカルな含み笑いもあり。
後半・・・隣のじいさん絡みの話で、やや重たくなってくる。

上映時間 90 分というコンパクトさは GOOD。

主演のフェリシテ・ウワシー、とてもチャーミングで、次から次へのふりかかる災難の解決策を見つけていく姿は好感が持てる。娘の結婚式で涙、涙する母・・・でも涙の意味が・・・(笑)。本来笑っちゃいけないところで、笑えてしまうというブラックな面白さと、不幸と幸せの絶妙なミックスが見どころ。

登場するのがアフリカ系フランス人(黒人)がほとんどというフランス映画は、これが初めてらしい。

Q&A では、フェリシテ・ウワシーが登場。
フェリシテ・ウワシーは、14 才から舞台に立ち、長編映画 15 本に出演。

                   
                 * * * * * *


Q&A 概要メモ
2008/10/19 [TOHO シネマズ 六本木ヒルズ Screen7]


 この作品に出演するきっかけは。

ロマン・ポランスキーの <Doute> という舞台に出演していたときに、監督が舞台をご覧になって、この作品への出演をオファーしてくれた。シナリオを読んだら面白くて、すぐに監督に電話をして、「本当にこんな politically incorrect な内容で撮るのですか」 と聞いたら、「撮る」 と仰ったので OK した。

 どんな問題にも解決策はあるという主人公をご自身はどのようにとらえたか。

監督とはいろいろ共通点がある。たとえば、70 年代のイタリア映画が好きなところなど。中でも、不幸を笑いで吹き飛ばすという主題が良いと思っている。不幸を真剣に考えると頭に銃を撃ち込むことになってしまうから。主人公のソニアを突き動かすものは、諦めないということ。問題を一つづつ解決して希望を持っている。私も解決策はあると思うのでソニアと似ている。


  原題の「Aide toi et le ciel t'aidera」 は、「天は自らを助くる者を助ける」 という意味だが、邦題の 「がんばればいいこともある」 とは違いがあるように思えるのだが、どう考えるか。

原題を聞いたときに、ロマン・ポランスキーのジョークを思い出した。そのジョークとは、「モシェという男は、『宝くじが当たりますように』 と毎日神に祈りを捧げている。しかし1ヶ月すると、神はモシェの前に現れ、『モシェよ、少なくとも宝くじを買っておくれ』 と言う」。

この作品で描かれている背景は、パリのメインストリートを外れた、疎外された社会が設定されている。そこは、何かを手に入れるためには努力をする、という考え方が失われた社会。原題も邦題も同じ方向だと思う。


                 * * * * * *